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第4話 異界の地 2


優也は引っ張られながら木々の間を走り抜けた。

時折、身体に木の枝が擦れ傷がつくが今はそんなこと気にしてる場合ではない。


(何アレ?え?何あの生き物)


優也は引っ張られたまま走りながら先ほど襲われた生き物の姿を思い浮かべる。

恐竜のような頭に尻尾。背中には立派な翼がついており、手には鋭い爪。


それは今までゲーム、漫画、小説などでしか見たことのなかったドラゴンの姿だった。


(有り得ない!!有り得ない!!ドラゴンなんて空想の生き物だろッ!!)


優也はあまりの出来事にブンブンと首を振った。


優也が先ほどみた生き物の存在を否定していると、引っ張られてた腕が離された。

どうやら、腕を引っ張っていた人物が立ち止まったらしい。


「とりあえず、ここまで来れば大丈夫よね」


その声を聞くとハッとした。

優也はこの人物に、ドラゴンような生き物から助けてもらったのだ。お礼を言わなければならない。


優也は顔をあげると、目を見開く。

目の前にいたのは、優也と同じくらいの少女。きれいな真紅の髪が腰まで伸び、頭のてっぺんから毛がアンテナのように二本はねている。

服装は丈が長めの服、腰の辺りを小物がいくつかはいりそうなポシェットをつけている。下は短パンのような太ももまでの短いズボン。短パンの両外側からヒラヒラとした膝まである布が、垂れ下がっている。

足元には膝まであるブーツ。

首元にはグリーンの石をネックレスのようにかけており、手には指の空いたグローブのようなものをはめている。


そして、優也が目を見開いた原因である顔はとても愛らしい。


優也があまりの相手の美少女さに見惚れていると、少女は青みがかった瞳で優也をじっと見つめその小さな口から可愛らしい声を出した。


「あんた、バカ?」


「へ?」


優也は思わず間の抜けた声をだした。可愛らしい声とは裏腹に出てきた言葉はなんとも可愛くない。


少女は優也の反応に眉を寄せる。


「だからバカなのか?って聞いてんの!!」


「なっ!?」



少女がもう一度優也に向かって言葉を放つと、優也は口をあんぐりと開けた。


いくら命の恩人だとはいえ、初対面なのにバカ呼ばわりはいただけない。優也はムッとするも相手は美少女で命の恩人。

優也はイラつきを抑えきっぱり言った。


「バカじゃない!!」


優也の言葉に少女は上から下まで優也の確認するよう視線を動かした。


「じゃあ、自殺願望者」


「ちげぇよ!!なんでそうなるんだッ!!」


少女の言葉に優也は反射的に突っ込んだ。


どうして、初対面なのにバカだの自殺願望者だの言われなきゃならないのか。

優也は、不満気に少女を見つめる。


すると、少女はそんな視線を気にも止めず腕を組み優也を見据えた。



「まぁ、あんたがどこで何して野垂れ死にようがわたしには関係ないけどね。ゴルチェ村付近で死ぬのはやめてくれる?」


「いやいや、だから自殺願望者じゃないって!!……ってゴルチェ村?」


少女の言葉に突っ込みながらも出てきた村の名前に首を傾げる。聞いたことない名前だ。

優也が首をかしげるも、少女はそれに答えることもなく話は終わったとばかりに歩き出した。

優也は慌てて少女を呼び止める。


「ち、ちょっと待って!!」


少女はその声に振り向いた。顔を見ると面倒臭そうで渋々といった感じだ。


「何よ」


「あのさ、ここどこ?」


優也はとりあえず一番気になっていたことを聞いてみた。

そう、自分はいったいどこにいるのか。

優也の言葉を聞くと少女は呆れたような声をだす。


「何、あんた。その年で迷子になったわけ?」


「えっと迷子というか……これ迷子でいいのか?」


少女の言葉に優也は口の中でその言葉をぶつぶつ呟きながら、首を傾げた。

はたして、異世界に迷い込んだことを迷子なんて簡単に言っていいのだろうか。


迷子の規模が違う気がする。


少女は優也が悩んでいるのを見るとまたため息をついた。


「で、あんたどっから来たわけ?」


乃木市のぎし!!」


「ノギシ?」


期待を込めるように言った優也の言葉を繰り返すよう口にする少女。


「何それ?そんな国聞いたことないわよ」


「……そ、そっか」


少女の答えはある程度分かっていたものの。やはり期待をこめていたため、優也はガックリと肩を落とし顔を俯かせた。



「まぁ、わたしが知らないだけでバッチャンが知ってるかもしれないし……一緒に来る?」


少女の何気ない言葉に優也はピクッと反応しガバッと顔を上げた。


「いいのか?」


「仕方ないからね。あっ、勘違いしないでよ!!あんたのためじゃなくゴルチェ村付近で死なれたら迷惑なだけなんだから!!」


少女は優也に向かってビシッと指を突きつけきっぱりと言った。

少女がツンデレなのかそれとも本気で言ってるのか耐性のない優也には分からない。


分かってるのはとりあえず少女について行けばこの最悪な事態を解消できる糸口が掴めるかもしれないということだ。


「ありがとうな。っと、そうだ!!俺の名前は相沢優也。お前は?」


「ふぅーん、アイザワユウヤね……わたしはシアンよ」


少女改めシアンは、優也に名前を教えるとスタスタと歩き出した。

優也はそれに慌ててついて行く。




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