6話;任務
キャラクターの名前が数字なので なかなか分かりづらくなってしまうよぉ…。
とある部屋で、小さな女の子が机を前に本を開いていた。
しかし目線は本ではなく、机に落書きされている数字。
「No.3307…あなたも考えているのでしょう…?」
ため息を一回して本に目を移した。
〈―世は友と共にあり、邪は背後で蠢[うごめ]く―、〉
この一文に目が止まった。
コンコン!!
ドアを叩く音が聞こえた、女の子は本を閉じて椅子をおり、扉を開けた。
そこには青年が立っており一言口にした。
「任務だ。」
《*》
昨日、イリアに教えてもらった大きな木のある草原が、鮮明に頭に浮かぶ。
「ど…どうしたの‥?」
ボケッとしている私を見て、カジキが私に話しかけてきた。
「あ…ぃえ…‥、別に‥…。」
私はいつものベランダから空を眺めた。
鳥は自由に空を舞い、色々な世界を見て回っているのだろう。
風と言う水を羽でこいで、空と言う海をおよぐ彼等を羨ましく思えた。
「外‥、遊びに行く?」
「え!?」
「まぁ〜、こっそりと…内緒でね!!」
私は一度、外の景色を一通り眺めてからもう一度カジキの方へと向き直した。
「行く?」
「…うん!」
《*》
薄暗い廊下を青年と女の子が歩いていた。
「…‥。」
「…‥。」
2人は無言のまま少し離れて歩き奥の部屋に進んだ。
扉を開けるとそこには先に席に座っている者がいた。
「おぉ!!『No.8732』、遅ぇいぞぉ!!」
「『No.00』!!こっちこっち!!隣、隣!!」
「…ぅるせぇ…‥。」
そこには小さな男の子、非常に明るい女性に口の悪い男性、3人がいた。
2人も席に着き、目の前にいる白衣の男性が話し始める。
「任務内容の確認だ。
目的は『実験体 万能戦闘型カプチ体 No.3307』の回収だ。」
白衣の言った
「回収」
という言葉にあの女の子は反応し、睨みつける様に白衣の男性を見た。
しかし白衣の男性はお構いなしに話を進める。
「『No4374.』『No.4696』『No.7116』は障害となるものの排除、」
先に席に着いていたあの3人の事だ。
「『No.8732』は目標に直線あたれ、」
あの女の子の事。
「そして『No.00』、お前はその時の状況により判断、行動しろ。」
これは最後に残った青年の事だ。
白衣の男性は続ける。
「今から5時間後、任務開始だ‥、いいな。」
白衣の男性はその説明だけを終え部屋を出ていく、部屋にはあの5人が残った。
「さぁて、今のうちにゆっくりとゴロゴロしてよっかね!!!」
「あ〜、5時間かぁ〜早く会いたいなぁ〜。」
「‥…‥。」
「一応任務という事を忘れるなよ…。」
部屋は急に静かになった。
しかし部屋には1人、女の子の姿が残っていた。
一度会ったあの時の彼女の顔が頭に浮かぶ。
―帰リタクナイ―
あの時すでに彼女の気持ちはハッキリと分かっていた。
女の子の手に力がこもる。
「…私がいますからね‥。」