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-SAMIRENA-  作者: セミ
5/10

5話;後一週間

話数は進むけど何とも言えないよね…、やっぱり…。




朝、体を何かが温める。

目をゆっくり開けると 空に見える 輝くものの光が身を包んでいた…。




ベランダから見える外の景色は すっかり私をとりこにした。

部屋の中から持ってきた椅子に座り、また私は小鳥の歌を楽しんでいた。

すると部屋の中から カタリ と音が聞こえた、中を見ると男の子が寝惚けながら歩く、そしてこっちを見て一言。

「…‥おはよ‥!」

「…‥‥ぅん…。」

彼はそのまま洗面場に向かった。


昨日の事を空を見ながら思い返してみた。

『戻りたくないなら連れてきちゃえばいい!!』

カジキが出してくれた結論である、…簡単な事じゃない、けれど彼の自信に溢れた根拠の無い言葉は、『きっとできる』、そう思わしてくれた。


「サミレナ、ちょっと…」

後ろからカジキが私を呼んだ。

しかし彼は私服姿ではなく、キチッとしたキマの軍服を身にまとっていた。

「…‥えっとぉ〜‥いや、やっぱいいや!!

ちょっと出かけてくるから。

…‥1人で…大丈夫?」

昨日自分の部屋に戻ったら私が泣いていたからだろうか、一声かけてくれた。

一応

「大丈夫」

、と口にはしたがそれは嘘であるのは事実なのだ。


彼が部屋からいなくなるとなんだか寂しくなった。






少年はキチッとした格好である部屋に入った。

「‥失礼します…。」

部屋には沢山の本と資料、大きな机にコンピューター、そして勲章をつけた30代後半ぐらいの男性がいた。

「カジキ君…だったね、どうだい?

『アレ』は?」

少年はその男の言葉が妙に腹に立つ。

「…‥カプチ体‥、サミレナですが、単に体をつくる物が違うだけで、後は人と何ら変わらないようですが?」

「ほぅ…、しかしアレは調査によると実験体なのだよ、普通とは違うモノを必ずもっているのだ。」

少年は無言立っている、拳には力がこもる。

「いいな?

後一週間だ、一週間で見つけられないならば解剖調査に入る。」



「…‥分かっております‥。」







私はあのベランダでカジキのオススメの食べ物を口に入れていた。


私は車の中で『No.3307』ではなくなった、私はあの日から『サミレナ』、という名前を持つ人間になれたと思っている。

しかし 私のともだちはまだ私を『No.3307』と思っているのだ。


『実験体 万能戦闘型カプチ体 No.3307』


私はこの文字を捨てたのだ。

だが、これは捨てたつもりなのだ。

実際はちっぽけな砂の生物から生まれたヒトならざるヒト、人間にはいくら頑張ってもあがこうもなれはしない。


「カ〜プチちゃん!!」

突然部屋から女性の声が耳に入り、驚いてそちらを向いた。

そこにはセミロングの茶髪、服装は下だけキマの軍服のズボンを履いた女性がいた。

「…‥誰…?」

「あぁ、私?

私はイリア、ここの通信・情報伝達役。

暇だから遊びに来ちゃった!!」

そう言って彼女は笑ってみせる。

そして彼女も部屋の椅子を1つベランダに置き、私の横に座った。

「…‥。」

「…ここは好き?」

イリアが訪ねてきた。

「…‥ん‥。」

「何で?」

簡単に返した私に理由まで訪ねてきた。

「‥え…、‥あ、…‥明るい‥し、‥空が…‥空があるから…‥。」

「そお、私も好きだよここ。

‥そうだ!!

今度カジキにさぁ、連れて行ってもらいなよ!!」

どこに? 聞く間も無かった。

「おっきな木がある草原があるんだよ、‥まぁ他には何もないんだけど、気持ち良いから!!」

彼女は笑いながら私の肩をパンパン、と軽くたたく。




イリア…

この人を見る度に、笑っている姿を見るとあの人が頭に浮かぶ…


No.7116‥


あなたも…

あなたも…空が好きだったよね…‥




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