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-SAMIRENA-  作者: セミ
4/10

4話;カジキ

なんとも言えない感じです…。






「ただいまぁ〜、いやぁ〜サイレンが誤報でさぁ〜点検やらされて…‥ん?」

少年は自分の部屋にかえってきて、私の変化に気づいた。

私は目から何かが流れてるのに気づいた。

カジキは私の前にきて目線を合わせた。

「どうしたの?」


「…‥…、‥カジ‥キ…、わたしね…ともだち‥おいてきて…‥自分だけ、‥ここにきて…、‥いたくなかったから、…とも、だち…」

一気に目から涙が溢れた。

「…ともだちが、…今ね‥…きてね…、帰ろっ…ってね…」

言葉の途中急に頭が揺れた、カジキが指でおでこをつついたのだ。

頭が揺れたのに驚いて私はカジキを見た。

「正直にこたえな?」

彼と目が合った、彼はにっこりと笑ってくれた。

「あそこに戻りたい?」

私は首を横に振った。

「‥友達とは離れたくない?」

「…‥一緒に‥いたい…。」

少年は立ち上がった。

「じゃあ、友達連れてきちゃおうよ!!」

「‥…できるの…?」

少し止まった。

「な、なんとかなるって!!

な!!」


根拠の無い言葉だったけれど、私はなんだか嬉しかった。


人間は恐いだけじゃなかった。


私の前で笑顔でいるこの人は、‥とても…温かかった…。



「…今日…‥、この部屋に‥いていい…‥?」








日が大分落ちた時間、ここ『レール』のある一室では…。


誰もいない部屋に突然小さな緑色の竜巻が起きた。

竜巻は球になり、パッと光るとそこには 女の子が立っていた。


「…っふぅ‥。」

女の子は大きく1回ため息をついて部屋を出た。

薄暗い廊下を歩いき階段を降りる、そして数メートル歩くと大きな扉が見えた。

扉を開けて中に入る、そこには中年の男性が椅子に腰掛けていた。

「おぉ、帰ったか。

アレはどうした?」

おじさんは女の子に話しかけた。

「…『No.3307』ですが‥、戻りたくない、と。」

この言葉を聞いておじさんはため息をして返す。

「『No.8732』、貴様何か勘違いをしていないか?」

「…‥…、…【任務 『No.3307』の回収】…、‥分かっております!

しかし彼女にも自我を、ヒトと変わらない心を手にしたのです!!

これは彼女が選んだ道なんです!!」

「それが何だ!!?

いくら感情があったとしてもアレは人か?

人形だ、兵器だよ!!

その言葉は女の子にささった。

「…‥いいか?

明日、必ず取り返してこい‥。」

「…‥…はい‥。」

女の子は一度頭を下げてから部屋を出た。

そしてまた先ほどの道を戻り部屋に向かった。


すると部屋の前に誰かが立っていた。

「『No.8732』、彼女は…『No.3307』は?」

その青年は女の子に気づくと声をかけてきた。

「…帰りたく無い、と 言われてしまいました…‥。」

「…そうか‥。」

やはり、と 予想していた感じで返した。

「ボスは‥『No.3307』を物として考えています、やはり私はあの方を好きにはなれません。」

手に力がこもる。

「仕方ないさ、彼女は87%がカプチでつくられている‥。

俺達みたいに人間にカプチを組み込んだわけじゃないんだ。」

「‥しかし…、今の彼女は人間と変わらないのですよ?」

青年は何もこたえない。

「彼女は実験体ではありますが、カプチの補給が必要ないのです!!

ここにとどまらなくても生きていけるのですよ!!」

「…そうやってボスの命令に反していいのか?

君が犠牲になって彼女を助けるのか!!」


女の子は全く動じないで返した。

「私は死んでも構いません。」








いつもは寒い部屋だけど

触れ合う体の温もりが僕等をあたためた


寝息だけが聞こえて

たまに寝返りをするこの娘


寝言だろうか一言言った



「‥一人は…嫌…。」




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