恋愛ギャグ小説【カオス103回もプロポーズ】
(トラックのブレイキ音)
キッキーーイイイ
「僕は死にましぇんです
好きです。
あなたで103回目のプロポーズです。」
「僕と付き合ってください。」
「はーあぁ」
「あんたさぁ
いきなり道路に飛び出して、
僕は死にませんって
ちょーーーー迷惑じゃん
トラックの人に謝りなさいよ。
僕は頭がオカシイんですって、
引かれても賠償金は請求しませんって」
「早く書面もらって」
「はーいスイマセンでした。」
「後さぁ103回も好きですって言いまくってるってどうなのよ!
誰でも手当たり次第言ってますって
自分で言ってるようなもんじゃないの」
「おっしゃる通りです僕はバカです。」
「なんかさぁ。ダメ元で言ってる感じもするよねぇ。104回目もありますって 感じがするんだけど、どうなのよ。」
「はい、確かに
これまで102人、全員違う人です。」
「うわ最悪じゃん」
「はい。最悪です僕は」
「一貫性ゼロかよ」
「おっしゃる通りです。
ですが――」
「まだ“ですが”あるの?」
「103人目のあなたは、
初めて“ちゃんと怒ってくれた人”です。」
「は?」
「今までは、無視か、通報か、ビンタでした。」
「それが普通なのよ!!」
「でもあなたは、
ちゃんと僕を止めて、
トラックの人に謝らせてくれました。」
「いやそれ人として当たり前だからね?」
「はい。
だから――」
「だから?」
「初めて、“まともに振られたい”と思いました。」
「意味わかんないんだけど!?」
「今までは、まともに
振られることすらできなかったので。」
「……あーもう」
彼女、頭を抱える。
「ねぇ」
はい。
「あんたさ」
はい。
「103人に告白してきたんでしょ?」
はい。
「その中でさ」
……はい。
「一番マシな終わり方したの、今じゃない?」
……確かに。
「でしょ?」
はい。
「じゃあさ」
……はい。
「それで満足して、今日は帰りな」
……。
「104回目とか言うなよ?」
……。
男、少し考える。
そして――
「……わかりました」
「ほんとに?」
はい。
104回目はやめます。
「お、珍しく素直」
代わりに――
「は?」
“就職活動”に切り替えます。
「は???」
恋愛ではなく、“採用試験”として挑みます。
「余計ダメだろそれ!!」
「志望動機:好きだからです。」
「だから雑なんだよ全部!!」
「自己PR:103回落ちても折れません。」
「メンタルだけは強いな!!」
彼女、深くため息。
「……あんたさぁ」
はい。
「その情熱、別のとこで使いなよ」
……。
「ラーメン屋でもやれば?」
……!
「103回も通えば常連になれるでしょ」
……!!
男、ゆっくり頷く。
「……確かに」
「でしょ?」
「まずは一人目の常連を目指します」
「方向ちょっとズレてるけどまぁいいわ」
男、深く頭を下げる。
「ありがとうございました!」
「はいはい、もう道路に出るなよ」
はい!!
男、去る。
数秒後――
また戻ってくる。
「すみません」
「まだいたの!?」
「最後に一つだけ」
「なに!?」
「あなた、ラーメン好きですか?」
「……普通だけど」
「では――」
深く一礼。
「104杯目、お待ちしております」
「結局カウント続いてんじゃねぇか!!」
トラックのクラクション。
運転手「今度は店でやれェ!!」
103回目のプロポーズの失敗。
しかし男のカウントは、別の意味で止まらなかった。
恋愛ギャグ小説【カオス103回もプロポーズ】 完結




