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日々エッセイ  作者: 両天海道


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3/3

初めて競馬場に行った時の話


 私は無類の競馬好きである。

 きっかけは、競走馬をモチーフにしたゲームから始まり、同じ誕生日の馬が世界最強として最高峰のレースで連勝を重ねていた時のことである。

 初めてまともにテレビで見たレースは、五月に開催されるクラシックレースであり、実際には賭けなかったが、来そうだなと思った馬は、急性心不全で亡くなり、そこから半年間は競馬のことなんて興味が薄れていた。

 そんな数年前の記憶を思い返しながら、私は先日関西にある競馬場に行った。

 初めての競馬場に年甲斐もなく、まるで子どものようにはしゃいでいたのを覚えている。

 その日は、春の三歳女馬が最高峰のレースに向けてその挑戦権を獲得するためのレースが行われる日であり、たくさんの人が集まっており、そこには確かに『熱』を感じた。

 レースを見る人、予想をする人、グルメを堪能する人、グッズを買う人、さまざまな人がいて、小さい子どもも沢山いた。


 そんな中、レース前に馬がぐるぐると歩くパドック(出走前の馬を間近で見られる場所)にも多くの人が集まっており、新聞と睨めっこしながら、馬の様子を見ている人もいた。

 私は少し離れた場所から眺めていたのだが、すぐ横には親子連れがいたのを覚えている。

 肩車された小さな女の子が、ぽつりと「十番がいいと思う」と言う。その言葉に、私は思わず目を見開き、ちらりと横目でその子を見てしまった。

 まだ小さな女の子がそんなことを言った衝撃が大きかった。

 私と違ってここに来れる人たちは、これは身近な光景なのだろう。

 そう思うと、私は羨ましいと思ってしまった。


 ここには公園もあり、アスレチック施設もある。

 だからこそ子どもたちにとっても、そして親の目線から見ても、この競馬場という場所は一種のテーマパークのようなものだ。


 そういえば、あの時女の子が言っていた「十番」がどうなったのか、私は結局覚えていない。なにしろ自分が賭けたレース中の記憶すら興奮しすぎて曖昧なのだから。

 それでもただ、パドックで聞いたあの一言だけは、なぜか今でもはっきりと記憶に残っている。

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