第92話 体育祭 開催。
《――グラウンド》
生徒、保護者、来賓――その全てが揃い、ざわめきに満ちていた会場が、ある一瞬を境に静まり返る。放送設備から小さくノイズが走り、やがてマイクに声が乗った。
「これより、私立白王中等教育学校体育祭を開催いたします。」
その一言で、空気が張り詰める。やがて整列していた各団が一斉に動き出した。足並みを揃えた行進は一切の乱れもなく、縦横ともに綺麗に揃っている。そうして、右からA団、B団、C団、D団の順で整列した。
「続いては、生徒代表である生徒会長よりご挨拶をいただきます。」
ゆっくりと、一人の生徒が壇上へと歩み出る。その姿が現れた瞬間――周囲の空気が一段、引き締まった。それは単なる役職ではなく、彼女が持つ人を引き寄せる魅力によるものだ。
マイクの前に立つと、わずかに視線を巡らせ――静かに口を開いた。
「本日は、私立白王中等教育学校体育祭にご来場いただき、誠にありがとうございます。」
いつもながら、よく通る声だった。その声は静まり返った会場に澄み渡り、誰もがその言葉に耳を傾けていた。
「本日の体育祭は、日々積み重ねてきた努力を形として示す場であり、同時に仲間と競い、支え合うことで新たな成長を得る機会でもあります。この場に立つ全ての者が、それぞれの立場で最善を尽くし、この一日を通して何かを得られることを願っております。」
一瞬の静寂。
「そして――」
わずかに声のトーンが変わる。
「勝敗だけに囚われることなく、自らの限界に挑み、誇れる時間を過ごしてください。以上をもちまして、生徒会長の挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。」
一礼。
その動作一つで、場の空気が完成する。
「――これより、私立白王中等教育学校体育祭開会式を終了します。第一種目は50メートル走です。出場する人は門にお並びください。」
と開会式が終わり、それぞれの団の場所へ戻り応援に備える者、自分の種目に備える者、自分の競技がまだまだだと余裕をかます者と、色々な過ごし方がある中で、体育祭が始まった。
◇
いよいよ体育祭が始まった。
俺が出場するのは3種目目の借り物競争なので、50メートル走と障害物50メートル走のあとになるため、しばらくは待機となる。
ならば、ここはちゃんと応援でもするべきかと、製作で作ったお手製のペットボトルバットを持って応援することにした。
「♪~♪~」
三年生主導の元、オリジナルの応援歌に合わせて俺も声を出して自分の団の応援をする。そういえば俺は自分がどこの団にいるのかを言っていなかったな。
うちのクラスはC団だ。
残念なことなのかは分からないが、生徒会の人とは全員もれなく違う団になった。ただ、風紀委員長の七瀬先輩と同じ団になり、ここからでも先輩の横顔を確認することが出来る。
監視のつもりではないが、ちょくちょくその動向は追っておくことにする。何かあった時に備えられるようにな。
そうして50メートル走は着々と進んでいき、総合ポイントは一位がA団、二位がC団、三位がB団、四位がD団となった。
まぁ、まだ一番最初の種目が終わったばかりだからポイントの変動などはこれからだと思う。ただ二位という位置でスタートできたのは良いことだと言える。
まぁ、一位はA団で、一ノ瀬先輩がいる団であった。




