第75話 明かされた結果。
「はぁ?一体‥‥どうして、俺達が最下位なんだ?」
俺達はそれなりの結果を残したはずだ。主だけじゃなく他の魔物だって倒していた。その分だけの得点でも最下位になることは絶対にないと言い切れる。
なのに、結果は最下位。
「なぁ?どうしてだ?どうして俺達が最下位になったんだ?雪なら分かるのか?」
「うん。私は知っているよ。」
「頼む、教えてくれ。」
「‥‥分かったよ。あの戦いの後ね、悠真はそれまでの疲労もあって気絶したと思うんだけど、私も同じように戦闘の消耗で動けなくなったの。主の部屋で気絶する私と悠真‥‥一体誰が外に連れ出したんだと思う?」
「それはイベントのスタッフとか東雲家の関係者じゃないのか?咲が事情を話して呼んで来たんだろ?」
「違うよ。私達を助けたのは咲ちゃんだよ。咲ちゃんは一度逃げてから、もう一度戻って来たの。理由は天啓で悠真の死を知ったから。だから、咲ちゃんはその未来を変える為に戻って来た。でも、その結果は集合時刻には間に合わず、二人は失格となった。
まぁ、私の場合はもう一人のペアにゴールさせていたから良かったんだけどね。」
その話を聞いた俺は咲の方を向いて「本当なのか?」と聞くと、咲は首をコクンと振って肯定するのだった。
そうか。俺の死を天啓で悟ったから優勝の道を捨てて、失格になる道を取ったんだ。全ては俺のミスか。俺が主を倒した後に気など抜いていなかったら、いや、そもそも無暗に突っ込んだのが良くなかったんだ。
あのデカい一撃を食らっていなかったら、その後の戦闘後に倒れるなんてことは起こらなかったはずだ。全ては、俺の弱さと判断のミスの結果だ。それを、咲に背負わせるなんて‥‥ダメだろ。
俺は自分のミスと失敗を理解した。なら、取るべき行動は一つで‥‥俺は咲に向かって頭を深々と下げた。
「‥‥すまん。俺のミスだ。任せろ!!と必ず優勝させてやる!!と約束しておきながら、結果はこの様だ。これじゃあ、東雲家の騎士を名乗るのはあまりにも分不相応過ぎる。俺を騎士から解――」
「ダメ!!」
今まで沈黙を貫いていた咲が、俺の言葉を遮るように声を荒げた。
「だから言いたくなかったの。悠真は‥‥この結果を知れば‥‥絶対に騎士を辞めるって言い出すと分かっていたから、言いたくなかったの!!」
「だって、仕方ないじゃないか。俺は俺の役目を果たせなかった。咲を優勝に導くことが出来なかった。それは騎士として相応しくないだろ?咲のお父さんだって言っていただろ?君に期待するって。俺は、その期待に応えることが出来なかった。だから、辞めるしかないんだ。」
「このバカ!!」
突然の罵声と、あの礼儀の権化である咲の口から暴言が出るなんて思いもしなかった。
「何もかもが間違っているわ!!確かに優勝することは出来なかった。騎士として主の願いを叶えることはできなかった。それは事実だわ。でも、騎士の仕事はちゃんと完璧に熟していたわ!!騎士の仕事の中で最も大事なのは”主を守る”ことよ!!
悠真はそれを完璧にやってのけたわ!!ダンジョンに入ってからずっと私を守る為に魔物と戦い続けて、マンティコアとの戦闘だって全身ズタボロになりながら勝利して、そして最後は私の刺客まで倒した!!
これだけの成果を出しておきながら、騎士として役目を果たせていないわけがないでしょ!!もし仮に、私の周りや家族が悠真を否定しても、私は、私だけはそれを絶対に認めないわ!!
あなたは‥‥白瀬悠真は私の絶対の騎士よっ!!分かったっ!!」
咲は目に一杯の涙を浮かべていた。俺はその表情を見て「ふんっ」と笑いが出た。そして、真剣な顔つきに戻して前に咲に誓いをした時と同じ体勢を取った。
そして俺は、静かに頭を下げた。
「分かりました。自分は――東雲 咲の騎士です。」
と再び、誓うのであった。




