第65話 タッグマッチ⑬
「ん?う"う‥‥あれ?咲?」
目を覚ますと目の前に咲の顔があった。どうやら、俺は気を失っていたみたいだ。
「全く、気絶するなら前もってするって言いなさいよね。急に倒れたから心配したじゃない。」
「言えるもんなら言ってる。俺も気絶するなんて思ってなかった。悪いな。膝枕なんてさせてよ。今、起きるから――って、おい。」
と起き上がろうとしたが――止められた。
「そのまま寝ておきなさい。今の悠真の体には休息が必要よ。幸い、ボスは倒したのだから、このまま休憩していても問題ないわ。」
「いや、流石に‥‥ずっと膝枕をさせるのは悪いだろ。咲だって辛いだろ?」
「問題ないわ。それとも何かしら、私に膝枕をされるのは嫌なのかしら?」
咲は不敵な笑みを浮かべて圧を掛けてきた。
「‥‥分かった。俺の負け。しばらくこのままでいさせてもらうから、その圧をしまえって。心臓に悪い。」
「分かればいいのよ。それで体の方はどうなの?」
「うーーん、そうだな。」
――と色々と動かして確認する。
さっきまで感じていた”激痛”は感じない。頭の方も軽く動かしてみたが‥‥特に問題はない。強いて言うなら手が痛いぐらいかな?
多分、マンティコアの固い皮膚をボコボコに殴ったから、その時に負傷したのだろう。折れてないといいが、十中八九‥‥折れているだろう。
「体の方は特に痛みは感じないかな。強いて言うなら手が痛いぐらいかな?」
「そう。なら、帰り道は自力で歩けそうね。」
「あぁ‥‥大丈夫だ。今さら聞くことじゃないのかも知れないけど、マンティコアはちゃんと倒せたんだよな?」
「えぇ、もちろんよ。倒せてなかったら呑気に横になっていないわ。」
「だよな。それでドロップ品は?それなりの魔石を落としたか?」
「それは、自分の目で確認しなさい。」
咲が指を指している方向を見ると、そこには今まで見たことがないほどの”巨大”かつ”輝き”をまとった魔石が落ちていた。
主の討伐とその魔石で俺達の一位は間違いないだろう。
振り返れば本当に大変だった。
渋谷ダンジョンの魔物は八王子の魔物とは子と親ぐらいの違いがあって初めは慣れなかったが、戦っていくうちに、その強さにも慣れてきて倒せるようになったのはいいが、優勝を目指すにはもっと強い魔物を倒す必要があって‥‥。
まさか、主の討伐をすることになるなんて‥‥思いもしなかった。でも、やり遂げた。
「‥‥俺達の優勝だな。」
「えぇ、そうね。後は、帰るだけね。そろそろ動けそう?」
「あぁ‥‥助かった。」
と体を起こそうとした時だった。ピカーンと危機感知が反応した。
俺はすぐさま反応して体を動かそうとするが、それほど俊敏に動けるほど体は回復しておらず、まともに動くことは出来なかった。そして、飛んできたナイフが咲に命中すると思った‥‥その時だった。
――ガキーーンと何処からか氷壁が作られて俺達を守った。
「この魔法‥‥氷の属性‥‥まさか‥‥」
と入口の方を見ると――そこには”雪”が立っていた。
「お待たせ‥‥悠真。助けに来たよ!!」
「雪ッ‥‥どうしてお前が‥‥ここにいる!?」
「詳しい話は後でね。今は――こっちに集中しないと。」
と雪が見る先には開幕に俺達を襲ってきた二人組が立っていた。
「‥‥また、邪魔が入った。とっとと死ねばいいのによぉ~~どいつもこいつも‥‥邪魔してきて鬱陶しいいい!!」
「おいっ、そう熱くなるな。あいつらを見ろ?完全に死にかけのカスだ。だから、あの魔法使いを殺せば、全てにケリが着く。」
「あぁ‥‥そうだな~~やっとだな。」
――チッ!!ここで襲われるなんて‥‥あり得ないだろう。クソッ!!ついてない。




