第59話 タッグマッチ⑦
「はぁ‥‥はぁ‥‥たった一回の戦闘で‥‥この疲労か。」
身体強化。確かに、その能力は強い。だけど、体がその出力に全くついて行けてない。もっと基礎ステータスを上げて耐えられる体を作らないと。
――今後の課題だな。
今回の戦闘で初めて”身体強化”を使用して、その課題もちゃんと見えた。自分ではそこそこ強いと思っていたが、全然、まだまだ何だと分からされた。
「さてと、そろそろ戻るか。」
魔物を追いかけたせいで咲と離れてしまったので、重い体を動かして来た道を戻る。
あぁ~~体が重い。咲は大丈夫だろうか?まぁ、あんだけ自信満々で毒針を受けて死んでいたら笑いものだな‥‥そんなこと起こるはずがないんだけどな。
と、目の前には仁王立ちでボスのように出迎える咲がいた。
「お疲れ。」
「そっちもね。」
と軽い言葉を交わしてパン!!とハイタッチをするのだった。
「本番で成功させるなんてやるじゃん。でも、時間が掛かり過ぎだね。俺じゃなかったら時間切れで間違いなく死んでたよ?」
「うるさいわ。そんなこと悠真に言われなくても知っているわ。すごく難しいのよ?相手の未来の行動を狙って聞くのって。出来るなら変わって欲しいものだわ。」
「ハハハっ‥‥だろうね。戦闘中に予想ではなく確定の未来を聞くのは、しんどいと思うよ。でも、その分、出来たら強いでしょ。さっきの毒針だって全く見えていなかったのに”飛んでくるルート”を天啓で聞いたから、避けられたんでしょ。」
「まぁ、そうね。」
「なら、もっと使いこなせるようにならないとね。まぁ、それは咲だけじゃなく‥‥俺もだけどね。」
俺達は探索者としてはニュービーで、まだまだ成長できる余地がたくさん残っている。焦って成長する必要はないが、確実に前に進む必要はある。
まずは、このイベントを優勝するところからだな。
「じゃあ、そろそろ行く――ピカッ」
と急に危機感知が発動したので、すぐさま鉄剣を抜いて”何か”を弾いた。
「ダガー??誰だ!?」
飛んできた方に向かって叫ぶと”二人の男”が影から出て来た。
「おいおい‥‥防がれているじゃねーかよ。男の方はしっかり潰せよ。」
「うるせーー。あいつ、探知系のスキルを持ってやがる。俺の攻撃に絶対に気付いてなかったのに、防ぎやがった。」
「誰だ‥‥お前ら。何で俺達に攻撃をしてくる。ルールでは人へと直接的な攻撃は禁止だぞ?分かっているのか?」
「ハハハハ!!おこちゃまだな!!聞いたか?ルールだってよ。これが、あの東雲家の騎士とはなぁ、東雲家も落ちたものだな。」
「黙りなさい。貴方のようなゲスのクズが私達の東雲家をバカにすることは許しません。今すぐ謝罪をしなさい。もし、謝罪をしないなら覚悟することです。このイベントが終わった後に償わせますよ。」
「ゲスでクズか。確かにそれは言う通りだ。俺達はゲス野郎でクズ野郎だからな。だからこそ、謝罪などしないし償うことも絶対にない。何故なら、お前たちは生きてこのイベントを終わることはないからだ。お前達はここで俺達に殺されるんだからなぁ!!」
この二人から感じるこの殺気は本物だった。恐らく狙いは俺ではなく――咲だ。奴らの言葉から東雲家に対しての強い憎しみを感じる。
「おいおい‥‥落ち着け。今、この場でおっぱじめたらカメラの周期までには終わらないだろう。東雲家の娘だけだったら良かったんだけど、男が残っているなら場を変えよう。必ずやり合える機会は来る。」
「ふ~~そうだったね。今回は挨拶だけだったな。覚悟しておけよ東雲 咲。俺達は絶対にお前を‥‥殺すからな。」
――と二人は姿を消して行った。




