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『神の手違いが生んだ報われぬ者の転生録』  作者: Lark224a


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第58話 タッグマッチ⑥

”身体強化”は凄まじいスキルだと痛感していた。


スキルを発動する前はほぼ互角で、何なら盾を持っている相手が有利まであったのが、今は――圧倒している。ただ、こっち一に対して相手は三なので、数での有利でイーブンにされている。


だが、圧倒的に不利な状態だったのが、互角にまでなったのだ。後は、咲の準備が整うまで時間を稼ぐだけで、攻める必要は全くない。



相手は数でのコンビネーションを使って、手数での勝負を仕掛けてくる。


一体目の魔物が俺の動きを止める為に、一直線に小型盾を構えながら走ってくる。後ろには咲がいるので受けるしかないと、相手も分かって攻撃をしてくる。


――ガチン!!と鉄剣で受け止めた。それによって片手と武器を封じられる。もちろん、その隙を逃す訳がなく、連続で二体目の魔物が上からダガーで攻撃を仕掛けてきた。


俺の心に焦りは全くない。こういう連携を仕掛けてくることは分かっていた。来ると分かっている攻撃を受けるほど間抜けじゃない。


俺は一体目の魔物の小型盾を蹴り上げて、二体目の魔物にぶつけてその攻撃を止める。そして、追撃と言わんばかりに蹴りの反動を使ったまま高速で一回転をして「後ろ回し蹴り」を顔面に向かって放とうとするが、左側から「危機感知」を感じて、すぐさま攻撃を止めてバク転でその攻撃を避ける。


――体のギリギリのところを毒針が抜けて行く。


全ての攻防が終わり――再び、静寂が戻る。


‥‥このままなら行ける。と一連のやり取りから俺は確かな感触を感じ取っていた。


相手の攻撃は俺の攻撃より威力は弱いので、今の状態なら一撃は受けても余裕はあるが、相手は俺の攻撃をまともに受けた時点で死が確定する。


一撃の重さに雲泥の差がある。なら、俺が絶対に警戒しないといけないのは「近接による攻撃」ではなく「針の攻撃」だ。


あれだけは受けてはいけない。あれを食らった時点で全ての有利が消える。それは向こうも分かっている。だから、さっきの一連のコンビネーションの締めを”針”で締めてきた。


つまり、決定打は短剣の攻撃ではなく”針”の攻撃であるということだ。


なら、俺の取るべき選択は、相手との距離を一定に保って針の攻撃を仕掛けてこようとした瞬間に、間を詰めて攻撃を潰すこと。


そう考えた俺は――構えを変える。


普段は剣を胸の前ぐらいで構えているが、今は速度を重視して姿勢を低くし、剣を顔の前で構えることで、いつでも走り出せるように、そして、そのまま走り斬りを出来るようにした。


ただ、この構えは攻撃と速度に振っているので守りには弱くなってしまうが、今の俺の身体能力ならフィジカルでどうにか出来ると踏んでいた。


だが、相手は俺のその考えまで読んでいた。


先頭に一体の魔物だけを残して、後の二体は距離を開けて後ろへと下がったのだ。


こうなってしまったら、このまま二体の魔物を追いかけようとすれば、前の魔物に邪魔をされて追いかけることは出来ないし、何より咲と引き離されてしまい”毒針の餌食”になる。


前に行くことも出来ず、後ろには咲がいるので毒針の攻撃を避けることも出来ず、防ぐには剣で弾くしかない。


一本もミスすることなく全て弾けるか?かなり怪しいな。


人数による戦術に完全に詰みかけていたその時だった。後ろから「前に行きなさい!!」という声が聞こえてきた。


一瞬だけ振り返って咲の顔を確認すると、その表情は自信に満ち溢れた顔をしていた。この追い詰められた状況でこれだけの自信満々の表情が出来るのだ。その意味は”一つ”しかない。


わざわざ言葉にしなくてもしっかり伝わったので、咲の言われた通りに目の前にいる魔物に向かって走り出した。


すると、予想していた通りに後ろの魔物が咲に向かって毒針を放つが、俺はそれを無視して目の前にいる魔物に全力で斬りかかった。


魔物は小型盾で防御をするが、その程度の盾では俺の全力の一撃を防ぐことなど出来るわけがなく、盾ごと魔物を両断するのだった。


そして、すぐさま加速をして後ろの魔物に向かって走るが、魔物は俺にビビッて防御ではなく逃げようとしていた。


――逃がすわけないだろ!!と剣を投げた。


投げられた剣は魔物に向かって飛んで行った。もちろん剣先は魔物に向けてある。投げられた剣はブスリ!!と魔物の体を貫いた。そして剣という重りが無くなったことで走る速度は上がり、最後の魔物にも追いついた。


そして、最後は”己の拳”で――決着をつけた。

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