第55話 タッグマッチ③
「皆様!!待ちに待ったこの日がやって参りました!!若き才能がぶつかり合う、年に一度の大舞台――!!」
巨大モニターに映し出されたスタジオの光景。そこには、満員の観客席と、スポットライトに照らされた実況席があった。
「只今より――『探索者タッグマッチ――未来の日本を支える探索者を発掘しよう!!』を開催致しますッ!!」
――ワァァァァァァァァァァッ!!と、スタジオを埋め尽くす観客達の歓声と拍手が、スピーカー越しに渋谷ダンジョン前へと響き渡る。
巨大モニターの前に整列する出場者達。その全員が、画面に映る熱狂を静かに見つめていた。
「実況は私、南 修也!!そして本日の特別解説には、探索者協会本部より元Sランク探索者・神崎さんをお迎えしております!!」
カメラがスタジオから切り替わり、渋谷ダンジョン前の出場者達を順番に映し出す。
「今年は総勢15組が参戦!!名門育成校の首席コンビか!?それとも無名の実力者か!?はたまた、あの東雲グループかッ!!栄光の席を手に入れるのは、誰だッ!!皆様ッ!!一秒たりとも目を離してはいけませんよッ!!」
観客席のボルテージは最高潮に達する。
「それでは未来を掴み取るのは誰だ!!今、若き探索者達によるタッグマッチの開始です!!」
その掛け声と共に、出場者は全員ダンジョンの中へと入って行く。
◇
ダンジョンへ足を踏み入れる前に、このイベントのルールを簡単に説明しておこう。
今回のタッグマッチは、制限時間六時間のポイント制で行われる。勝敗は――終了時点で最も多くのポイントを獲得していたチームが優勝となる。
ポイントの獲得方法は、大きく分けて二種類ある。
一つ目は、魔物討伐ポイント。
E・Fランクは5ポイント。
Dランクは10ポイント。
Cランクは30ポイント。
Bランクは80ポイント。
Aランクは200ポイント。
と、ランクが上がれば上がるだけもらえるポイントも増えていくが、当然、討伐するのも難しく時間が掛かるので、下のランクでポイントを稼ぐのか、一か八か高ランクを狙うのかが重要になる。
そして、戦闘においてもう1つ危惧しなければならないことがある。それは――ポイントが入るのは、最後の一撃を与えたチームのみということ。
――つまり、横取りは“あり”ということだ。
他チームの戦闘に介入するのも自由。ただし攻撃出来るのは魔物のみで、チーム同士の直接攻撃は禁止。要は、ラストヒットを奪った者勝ちってわけだ。
そして二つ目が、魔石ポイント。
討伐後にドロップした魔石には、別途ポイントが設定されている。
E・Fランクは5ポイント。
Dランク魔石は10ポイント。
Cランクは15ポイント。
Bランクは40ポイント。
Aランクは120ポイント。
さらに、魔石の純度によって倍率がある。
低純度はそのまま。
中純度は1.5倍。
高純度は2倍と振り幅があるので、持って帰る魔石は慎重に選ぶ必要がある。
例えば、Bランク高純度なら40×2で80ポイントになる。つまり、討伐と合わせれば160ポイントになる。
数を狩るか‥‥質を狙うか‥‥それとも、横から奪うか。戦い方次第でどうにでもなるルールだ。
ただ一つ言えるのは――これは実力だけの勝負じゃない。
状況判断と、駆け引き。そして、奪う覚悟があるかどうかだ。
さて――どう料理するか。




