第4話 クエスト報酬。
「悠真は大人しくしてくれるから助かるわ~~あ《・》り《・》が《・》と《・》う《・》ね《・》。」
母が“ありがとう”と言ったことで全てのクエストをクリアした。すると朝と同じように透明な“ウィンドウ”が出てきた。
『1、テレビをニュース番組へと変える。――達成』
『2、姉に「可愛い」と言わせる。――達成』
『3、母から「ありがとう」と言わせる。――達成』
《全てのクエストクリア!! クリア報酬と特別ボーナスを贈呈します!!》
《特別ボーナスにより全ステータス+3。そして各デイリークエスト報酬として頭脳+2、魅力+2、精神力+2を贈呈します――変更後のステータス。》
白瀬 悠真 0歳 Lv1
・ステータス
体力→3
筋力→3
魔力→3
速さ→3
頭脳→6
魅力→6
精神力→6
運→13
・スキル
なし
・称号
なし
《本日のデイリークエスト終了‥‥次回は、AM 07:00に解放します。初めてのデイリークエストクリアの為にウィークリークエストを解放します――ウィークリークエスト。》
1、魔力の波動を感じる。
2、言葉を発する練習を10時間行う。
3、体力のステータスを10にする。
4、父母姉とコミュニケーションを500回とる。
5、友達を作る。
《全てクリアで特別ボーナスあり。タイムリミットは168時間の07:00まで。》
――と残して“ウィンドウ”が消えていった。
◇
ちょっと待て‥‥一旦整理しよう。
まず、クエストはクリアしたってことでいいんだよな。特別ボーナスももらったわけだしこれは間違いない。そして、そのボーナスの中身が“全ステータス+3”ってことだが、これはつまるところ 強く《・》な《・》っ《・》た《・》 ってことでいいんだよな。
でだ。問題の“ウィークリークエスト”なわけだが、これはデイリークエストのウィークリーバージョンってことだよな。だから一日期限ではなく一週間のうちにこれをクリアしろってことだよな。
で、デイリークエストと同じように全部を達成すると特別ボーナスがもらえるってことだが、この内容は一体どういうことなんだ?
1~5のなかで2~4は理解できる。問題は‥‥1だ。なんだ? この“魔力の波動を感じる”っていうのは。魔力の波動? そんな前世を通しても一度も感じたことがないが、これはクリアできるものなのか?
この世界には前世には存在しなかった“魔物”や“ダンジョン”と言った空想の物が存在する。それはつまり科学では証明することが出来ない事象が起こるということになる。
つまるところ何を言いたいかと言うと、この世界には“魔法”が存在しているということが言いたいわけだ。だが、その魔法は一体どうやって使えばいいのだ? ステータス上では俺にも魔力は存在している。
だが、魔力を持っているからと言って魔法が使えるとは思えない。だからこその“魔力の波動を感じる”なのか?
魔力を魔法に変える為に“魔力の波動”を感じ取る必要がある? と、そう仮定すれば、例え魔力を持っていたとしても魔法が使えない人がいることにも説明がつく。
《仮説》体内の魔力→魔法にする。
その変換を行うのに『魔力の波動を感じる』ことが必要である。
そう仮定するなら、やることは一つだな。やり方は全く分からないが色々と試してみよう。その魔力の波動とやらを感じる為にな。そして、それをやりながら他のウィークリーもやって行くとしよう。
なら、まずは‥‥家族とコミュニケーションをとるとするか。
こうして、俺の一週間の動きが決まったが、俺は見落としていたのだ。1のクエストのインパクトの大きさに5の“友達を作る”という難関のクエストのことを。
◇
それから数日が経った。その間は特に何事もなく日々の生活をして過ごしていたが、今日は違った。
母がまいぶれもなくベビーカーを持って俺の元にやってきて。
「悠真、そろそろ外にも慣れないとね‥‥今日は公園に行ってみましょうか。」
唐突の公園に行きましょう宣言をしてきたのだ。
俺はやっと外に行けるのだと思い嬉しくなった。生まれてからずっーーと家の中にいるから、そろそろ外に出たくてうずうずしていた。
「それじゃあ、公園に行く前にお着替えをしましょうね。」
母の手には服が握られていた。その数は一枚、二枚じゃなくぱっと見だけでも十枚はあった。
俺は大量の服を見て”あぁ‥‥これは”と今からお着換え人形になることを察した。そして、そこから約三十分間マネキンになった。
そうして服が決まり俺をベビーカーに乗せて公園に向けて出発した。
これが、外の世界か。
初めて見る外の世界に興奮していた。街並み事態は前世と変わらない物ではあったが、それでも久しぶりに見ることもあって初めて見る感じに堪能することが出来た。
あちこち目を向けていると俺の横を歩いている姉が「ゆうま!!お外を見て楽しそう」と自分も楽しそうして言ってきたので、俺も「あう」と言葉にはなってなかったが声で返事をした。
すると、そのことが嬉しかったのか、もう一度と言わんばかりに何度も何度も質問をしてきたのでうざくなって顔をぷいっと逸らすとすぐに「あぁ‥‥ゆうまが」と言って悲しそうな声を出した。
そんな姉弟のやり取りを見て母は「どっちが上なのか分からないわね。」と笑っていた。
そんなやり取りをしているうちに目的地の公園に着いた。
公園の大きさはそこそこあり公園の中では大きい部類の公園で、しっかりと広さにあうようにそれなりの遊具も設置されていた。
へぇ~~こんな大きな公園が近くにあったのか。
などと感想を抱いていると「白瀬さん。こっちです!!」と俺達を呼ぶ声がしたので、そっちの方を見ると母と同じようにベビーカーを持った女性が手を振っていた。
「すいません、白河さん。着替えに時間が掛かっちゃって遅れちゃいました。」
「全然です。私もさっき来たところなので。」
と母とその女性は仲良さそうに会話してから子供の紹介をしていく。もちろん最初は姉の紹介だ。姉は恥ずかしそうにペコっと頭を下げて挨拶をした。
どうやら姉は外ではその元気な感じは見せていないらしい。初めてみる外の姉の姿に少し意外だなと思う俺だった。そして姉の紹介が終わると俺の番になった。
「で、こっち前に言った”悠真”よ。」
「ゆうまくんですか本当に大人しいですね。初めましてゆうまくん。私は、しらかわ ちとせと言います。よろしくお願いいたします。」
ちとせさんは俺の目を見て子供の俺でも最低限理解できるようにゆっくりと挨拶をすると。今度は自分の番だと母と同じようにベビーカーを俺に見えるようにしてきて紹介を始めた。
「初めましてゆうまくん。この子はしらかわ ゆき。ゆうまくんと同い年だから仲良くしてくれると嬉しいわ。」
と、ちとせさんが紹介をしてくれるが、俺の頭の中には何一つとして入ってこなかった。
小さな身体に似合わないほど整った顔立ちに、何より細やかな光が揺れるような瞳に捕らわれて、俺の思考は完全に停止していた。
この出会いはまさに”運命の出会い”だった。
この先、彼女がどれほど俺の人生に深く関わっていくのか――その意味を知るのは、もう少し先の話だ。




