第48話 校長からお話し。
咲め‥‥結局、最後まで何の話なのかを言わなかった。そこまで隠す理由はなんだ?校長と話したことと言えば入学式の時だけだから、特にそれほどの関わりはないはず。
そうなるとやっぱり、咲の騎士になったことへの挨拶と考えるのが普通だが、なぜ今になってという疑問が出る。もう騎士になって一ヶ月で、クラスのほとんどの人だって知っているのに、今になって挨拶は遅い気がする。
いや~~どれだけ考えても分からんな。もう、こうなったら出たとこ勝負だな。挨拶なら普通に挨拶をするし、それ以外なら話を聞いて考えればいいか。
と、先のことは先の自分に任せることにして、俺は授業に集中するのだった。
◇
そして、昼休みになり食事を済ませてから、咲と共に校長室へとやってきた。
「それでまだ‥‥話の内容は秘密なのか?もう、数分もしないうちに聞かされるんだから、今、聞いても問題ないだろ?」
「ダメよ‥‥っていうか、私も知らないよね。」
今になって新事実が出て来た。
まさか孫娘でもある咲も知らないのか。これは絶対に挨拶じゃないな。挨拶なら咲には伝えているだろう。てか、秘密にする必要がない。
「おいおい。それを今になって言うのかよ。朝、私も知らないわって言ってくれたら、こっちももっと考えたのに。絶対に挨拶じゃないじゃん。何か、覚えはないのか?」
「いや~~それが全くないのよね。私も呼び出されてから色々と考えたけど‥‥ないよね。」
「はぁ‥‥仕方ない。覚悟を決めるか。」
「そうね。私のおじい様だから、なかなかのお人だからね。何を言われてもいいように準備はしておきましょう。」
◇
――ガチャ。と校長室に入ると、既に向こうはソファに座って、話す準備は出来ているぞ、とスタンバっていた。その姿を見た俺は「ゴクン。」と唾を飲み込んだ。
「おじい様。本日はどういった御用でしょうか?」
「おぉ‥‥来たか。まぁ、話をする前に二人とも座りなさい。」
「「はい。」」
「飲み物はお茶でいいか?」
「はい。私はそれでいいわ。悠真もいいわよね?」
「うん、自分も大丈夫です。」
「じゃあ、ちょっと待っておれ。すぐ入れるからの。」
部屋に入った時はマジで終わったと思ったが、今のところの空気感は悪くない。
座らせてももらうことも出来たし、こういう話は何かをやらかしている時には確実に“立ち”だろうから、怒ってはいないことが分かって良かった。
ふぅ~と心の中で一息吐くと「お茶が入ったぞ」と校長先生が戻って来た。よし、本番はここからだ!!と、解いた糸をもう一度強く結ぶのであった。
「それで校長先生。今日は、どういったお話でしょうか?私が孫娘さんの騎士になったことについてでしょうか?」
「おぉ~~そうじゃったそうじゃった。お主がまさか咲の騎士になるとは思わなんだ。あの入学式でお主と話したことも、こういった繋がりがあることを示しておったのかも知れんなぁ。その話も詳しく聞きたいのじゃが、本題は別じゃ。
実は、ワシの知り合いにこういったイベントを開催しておる者がおってな。」
と先生から一枚のチラシを見せられた。そのチラシには「探索者タッグマッチ――未来の日本を支える探索者を発掘しよう!!」と書かれていた。
「これが、どうかしたの?」
「実は、その参加者の1ペアが諸事情で出られんくなったんじゃ。そこでお主ら二人に出てもらえないか?という相談じゃ。」
「いやいや待ってください。この手の探索者イベントは、育成学校から出すのが普通ではないのですか?」
「もちろんその通りじゃ。だから、参加者のほとんどは育成学校の者が出ることになっておる。じゃがの~~どっかの誰かさんが育成学校の推薦を全て断って、普通の学校に入った者がおってな。
ワシもどうするか悩んでおったのじゃが、本人が探索者にならずに静かに暮らすことを望んでおると思ったのじゃ。しかし、その者はなんと騎士になってしまった。
いや~こうなってしまったらワシの力でも‥‥止めることは出来んの~。」
「こ、この‥‥あははは‥‥なるほど。それは困りましたね。」
俺は校長の話を聞いて、キレそうだった。そして咲に関しては、顔を隠して笑っていた。
「ふふ。悠真‥‥諦めるしかないわよ。これは貴方には断ることは出来ないわ。」
「分かってるよ。こうなってしまったからには‥‥出ますよ。」
こうして「探索者タッグマッチ――未来の日本を支える探索者を発掘しよう!!」に参加することが決まった。




