第35話 中学生の日常。
「じゃあこの問題を誰かに解いてもらおうかな。それじゃあ、今日は22日だから――」
と指名をしようとした時に、丁度キーンコーンカーンコーンと終了の鐘が鳴った。
「ありゃ‥‥それじゃあ、この問題は宿題ね。次の授業は答え合わせから始めるからね。じゃあ、白瀬くん、終了の挨拶をお願い。」
「はい。起立――礼。」
俺の言葉に続いて「ありがとうございました」とお辞儀をして、授業は終了した。この授業の後は待望のお昼休みで、弁当を持ったり、学食に行ったりと、各々の過ごし方をする。
「悠真‥‥いっしょに食べましょ?」
声を掛けて来たのは咲であった。咲は毎日お昼になると俺の席にやってきて、一緒に食べようと声を掛けてくる。
「ごめんね。今日は生徒会に呼ばれているから、生徒会室で食べようと思ってる。」
と、色々な言い訳をして断っている。
「そう。生徒会なら仕方がないわね。」
「うん、ごめんね。」
咲に謝罪をして、弁当を持って教室を出て、生徒会室へと向かった。
はぁ‥‥いつになったら諦めるのかな。俺は誰とも食べる気はないって、気付かないのかな?いや、多分気付いている。俺が断るって分かっていて誘って来てる。
俺だって、咲と二人なら食べてもいいかなと思ってはいる。でも、咲と一緒にご飯を取るっていうことは、他の五人も一緒になるのが嫌なんだ。あの、自分より下の者だと分かった時の見下す視線が受け付けない。
まぁ、今日は本当に生徒会の仕事があるし、それに会長も今日からしばらくは忙しくなるって言っていたから、断る理由が出来て俺も助かる。そろそろ理由にも限界を感じていたから。
さて、俺が生徒会に入って今日が初めての仕事になるわけだけど、具体的に何をするのかを全く聞かされていないが、大丈夫なのだろうか?まぁ‥‥何とかなるだろ。
と、そんな軽い感じで生徒会室に入ると、部屋には会長だけだった。
「お疲れ様です――会長。他の人達はまだですか?」
「うん、お疲れ。他のメンバーは遅れているようだね。本来なら二人を待ちたいとこなのだが、先に食べていようか。」
「はい。じゃあ、自分はお茶を入れますね。」
「ありがとう。」
この白王の生徒会室には、普通はない物が色々と置かれている。例えば、テレビだ。
このテレビは本来はモニター代わりに置かれているが、普通にテレビを見ることも出来るし、何ならサブスクして入るような配信サービスも見れるので、過去の生徒会メンバーは黙って見ていた者もいたらしい。
そして部屋の脇には、そこそこ大きめの冷蔵庫が置かれている。
冷蔵庫の中は私物しか入っておらず、会長の飲み物や、会議中につまめるようにチョコレートなどが入っている。
そんな家電に加えて、生徒会メンバーが個人で持ってきた私物が色々と置かれた生徒会室は、完全に学生の一人暮らしのスターターセットの部屋になってしまっている。
現にこのお茶は会長が持ってきたもので、ポットは前の生徒会の人が持ってきて、そのまま置いて帰ったものを自由に使っている。この生徒会は色々とヤバいのではないのか、とも思うが、それは俺だけなのだろうか?
そんなこんなでお茶が出来上がったので、会長の元に持っていく。
「会長。お茶が入りましたよ。」
「ありがとう。それじゃあ、食べようか。」
「はい。」
そうして会長と昼食を始めていると、会長が「どう?もう学校には慣れた?」と聞いてきた。
「そうですね。大分、慣れましたかね。」
「そうか。悠真はその‥‥部活とかはしないの?」
「部活はしないですね。個人的にスポーツとはやってこなかったので、得意な種目もないですし。」
「じゃあ、放課後は‥‥ダンジョンに潜るだけなんだね?」
その言葉を聞いた俺の箸はピタッと止まり、会長の方を見ると、会長も俺の方を見ていたので、これは言い逃れは出来ないと判断した俺は、素直に話をすることにした。
「どうして自分がダンジョンに潜っていることを知っているんですか?誰にも言っていないんですけど‥‥一ノ瀬家の情報って奴ですか?」
「まぁ‥‥そうだね。あ、でも、勘違いしないでね。別に家から君に対して特別な指示は受けてない。この質問をしたのは私の興味だから。」
「なるほど。つまり会長は、家の情報から俺のことは知っただけで、他は何の指示も受けていないし、質問をしたのはただの好奇心だったと言うことですか?それは‥‥流石に無理があると思いますよ。
まぁ、会長が家からどんな指示を受けていたとしても、何も変わらないですけどね。会長の言う通り、放課後はダンジョンに潜っているので、部活は出来ないです。これで満足してもらえましたか?」
「う、うん‥‥あ、ありがとう。」
と微妙な空気になると、「ごめーーん、遅れた。」と「すいません。遅れました」と、芽衣先輩と相沢先輩が部屋に入ってきたことで、この話は無くなった。




