第28話 売られた喧嘩は買いますよ。
悠真の目の前には男なら一度は憧れるハーレムが実在していた。
しかも、この生徒会に所属している女の子は、ただの女の子ではなく、それぞれが国を代表するほど名家の娘なのだ。
まず、会長の「一ノ瀬 栞」は、ダンジョンで一財を築いた一ノ瀬グループの長女で、幼い頃から教育として数多くの習い事をしており、特に”剣道”は全国大会で優勝するほどの実力であった。
そして副会長の「神成 芽衣」は江戸時代から続く”巫女家”であった。そんな巫女家の次の家督は神成 芽衣なのだ。故に芽衣は家を継ぐ者として厳しい修行を乗り越えて今に至る。
そして会計の「相沢 日葵」は、生徒会唯一の2年生で去年の首席者だ。入学してからも一年間、学年一位の座を守り抜くほどの学力を持っているが、かつて自分には取ることが出来なかった試験で満点を取り、しかも一般から首席となった悠真の存在を快く思っていない。
――の3人が現生徒会のメンバーで、ここに悠真が加わり4名で生徒会を回していくことになる。
◇
最初に口を開いたのは生徒会長の一ノ瀬だった。
「初めまして白瀬悠真くん。私は一ノ瀬 栞でこの学校の生徒会長をしています。この学校が創立して初めて一般から首席合格を果たした優秀な生徒が生徒会に入ってくださって本当に心強いです。
一緒にこの学校を良くしていきましょう。」
一ノ瀬先輩は手を差し出してきたので手を握り返そうとした時だった。バン!!と机を叩かれて俺の手はピタリと止まり、音がした方を向くと俺のことをギロリと睨んでいた。
その目はハッキリとした敵意だった。
ここまでの敵意を向けられたのはオークに襲われた時以来だったので流石に驚いていると、その子の反対に座っている人が「ひまりん‥‥落ち着いて。」と声を掛けてくれて、彼女も再び椅子に座ってくれた。
「ごめんね。ひまりんって栞のことになると‥‥ちょっと暴走するところがあるの。でも、根は凄いいい子だから仲良くしてあげてね。」
「はぁ‥‥そうなんですね。」
その話を聞いて俺は”隣の人とは関わらないでおこう”と思うのであった。
「じゃあ、改めて私は副会長の神成 芽衣で、みんなからメイちゃんとか・メイメイって呼ばれてるから、出来れば悠真くんにも名前で呼んで欲しいかな。」
「う"っ‥‥名前ですか?それは流石に良くないんじゃあないですか?先輩ですし入学したばかりの自分が副会長を名前で呼ぶのはまずくないですか?」
「いいの。私は苗字が嫌いだからむしろ~~苗字で呼ぶ方が”失礼”だぞ~~」
「わ、分かりました。なら芽衣先輩と呼ばせてもらいます。」
「うん、お願いね~~。じゃあ、後はひまりんだけだよ‥‥挨拶してないの。」
芽衣先輩にそう言われると「はぁ‥‥」とため息を吐いて嫌な態度100%で俺の方を向いた。
「2年の相沢 日葵で、担当会計です。それと――。」
相沢先輩は静かに立ち上がって俺の真横に来て2人に聞かれないように「気安く栞さまに触れようとしてんじゃーねよ。あと、一般から首席で入学したから調子乗るなよ?ガキが」と暴言を言ってきた。
ここまではっきりと伝えられると流石に俺もムカついたので少し言い返すことにした。
「それはお前だろ?他人の力で首席合格できた”七光り”先輩?」
「――ッ!!」
俺に煽られて相沢先輩はゆでだこのように顔を真っ赤にして怒りを露わにしていた。俺はそんな先輩の顔を見て面白くてヘラヘラと余裕の笑みを浮かべて楽しんでいた。
こうして全員の挨拶が終わり、悠真は「これからよろしくお願いします。」と最後に一礼して生徒会室を出て、校門で待つ両親の元へと向かうのであった。




