第18話 見知らぬ少女。
俺に話しかけて来たのは俺と同じぐらいの女の子で、病院服を着ているので俺と同じで入院しているのだろう。
「筋トレ‥‥だけど。」
「キントレ?何それ?」
「筋トレっていうのは筋肉トレーニングの略で、要は体を鍛えてるってこと。」
「ふーーん。何で体を鍛えてるの?その服を着てるってことは入院してるってことだよね?それなのに体を鍛えて意味あるの?どうせ寝るだけでしょ?」
「だからするんだよ。自分の体が弱いから強くするの。もともと強いなら強くする必要なんてない。弱いから強くするんだ。」
「弱いから強くする。私の‥‥体も強く出来る?負けない体になれる?」
「なれるよ。自分が心底からなれるって思っているなら、俺はなれると思う。」
「そう。分かったわ、ありがとう。あなたのお陰でやってみようと思う。あなた――名前は?」
「白瀬 悠真。」
「しろせ ゆうまね。覚えておくわ。また会いましょ、それじゃあね――ゆうま。」
そう言って女の子は庭から去って行った。
いきなり呼び捨てか。それに俺の名前は聞いてくるのに、自分は名乗って行かないのかよ。まぁ、いいけど‥‥続きをするか。
と再び筋トレを再開する悠真であった。
◇
「お嬢様。勝手に病室を出るのはお止めください。」
「ただの散歩よ。散歩ぐらい一人でさせて欲しいわ。それより用意して欲しい物があるの。」
「はぁ‥‥ほんとうにお嬢様は。はい、なんでしょう?」
「私、体を鍛えようと思うわ。だから、部屋に筋肉トレーニングを出来る物を用意して欲しいの。」
「え?私の聞き間違いですか?今、お嬢様‥‥体を鍛えると仰いましたか?」
「えぇ、そう言いました。」
「‥‥またまた御冗談を。お嬢様が筋トレをしたいなど言うはずがありません。何か、悪い物でも食べましたか?」
「冗談でもないし、悪い物も食べてません。私の意志で筋トレをしたいと言っているのです。用意できますか?」
「まぁ‥‥可能ですけど‥‥本当にやるんですか?筋トレを始めるとなるとリハビリからですよ?本当にやるんですか?私達的には嬉しいですけど。」
「大丈夫です。私は何者にも負けない体を作ります。もう二度と病気に負けない為に。」
「分かりました。そこまでの気持ちがあるのでしたら、もう止めません。手配いたします。」
「頼むわ」
さて、ゆうまが言っていたことが本当なのかを確かめさせてもらうわ。もし、それが本当だった時はあなたを友人として認知してあげましょう。
◇
「じゃあ悠真くん。退院おめでとう。雪ちゃんは明日、退院するからね。」
「はい、ありがとうございます。色々とお世話になりました。」
「はーーい、気を付けてね。」
そうして病院を離れて両親が待つ車に乗った。
「お帰り悠真ッ!!」
姉が笑顔で待っていた。
「まだ家についてないよ姉さん。」
「いいの。こうして会えたんだからお帰りでいいの。」
「そうだね。じゃあ俺も“ただいま”だね。」
「うん、お帰り!!」
と家族との再会を果たすのだった。
ダンジョンブレイクという危機を乗り越えて、これからは安全な日々と、このダンジョンブレイクの危機に直面したからこそ自分にはまだ人を守るだけの力が足りてないことが分かった。
だから、これからはデイリークエストとウィークリークエストだけじゃあなく、何もない時も鍛えてステータスを上げて少しでも強くなって、こういう危機が起きたとしても俺だけの力で乗り越えることが出来る。そして、それは雪や家族を守ることに繋がる。
と俺は決心するのだった。




