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『神の手違いが生んだ報われぬ者の転生録』  作者: Lark224a


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第13話 ブラッティーオーガVS黒の箱舟

「戦血の鬼‥‥ブラッティーオーガ6体。つまり“咆哮”は使ったあとのようですね。」


「だな。6パーティーだから1体につき1パーティーで対処することになる。相手はSランクだ。簡単に倒せる相手じゃないが俺達ならやれる。


これよりAランクパーティーはブラッティーオーガとの戦闘を開始する。他のパーティーはそれ以外の魔物を排除しろ。そして、それでも討ち漏らした魔物は更に後ろにいるC、Dのパーティーが排除しろと指令を出せ。」


「既にそのように通達しています。」


「ふん。相変わらず仕事が速いな。」


「はい。もう黒の箱舟として10年になりますから、リーダーが何を考えているのかぐらい簡単に分かりますよ。」


「だな。お前――やるぞ!!」


「「「はい」」」


こうしてAランク対ブラッティーオーガの戦闘が始まった。



「美咲!!強化バフを付けろ!!悠悟ッ!!魔法は行けそうかッ!?」


「グッ‥‥バフは‥‥はぁ‥‥既に最大限付けてます!!でも相手の防御が固すぎます!!」


「こっちも同じですよ!!魔法だって何度も撃ってますよ!!でも、厚い魔法・物理の両方の防御が強すぎて貫通出来ないです!!しかもそれに加えての‥‥グッ‥‥このスピードですよッ!!


こんなのスーパーカーの戦車じゃないですかッ!!」


「ふん。スーパーカーの戦車か‥‥確かにその通りだな。」


黒の箱舟とブラッティーオーガの戦闘は手数自体は黒の箱舟の方が多いが、圧倒的に火力不足であった。ブラッティーオーガの肌は鋼鉄以上の強度を持ちながら、受けた魔力を受け流すという特性を持っている。


つまりだ。打撃・斬撃・銃弾といった衝撃に強く、それに加えてマナを受け流す機能まで備わっているというハイブリッドな肌をしている。並みの冒険者であれば傷を付けることすら出来ない。


ただ。今回の相手はAランクの冒険者だ。この程度で負けるパーティーではない。


「だったら“複合”ならどうだ?」


「「!!」」


「まず、俺が“強璧”と“挑発”のスキルを使って奴の攻撃を全て受けきる。そして、その間に悠悟の氷魔法を清隆の双剣に付与をする。そして清隆は自身の最強のスキルに付与された氷魔法で攻撃する。


これだったら、流石に奴の防御だって貫通できるだろ。厄介なのは奴の肌だ。物理魔法の両方を防御している最強の盾に亀裂を入れることが出来たら後はそこを中心に攻撃して行くだけだ!!どうだ?」


「確かにそれは行けると思います‥‥清隆はどうだ?」


「自分がやれる。あいつの固い肌を切り裂いてやる。」


と2人の男は賛成をするが、このパーティーの唯一の女性である美咲が反対をした。


「ダメです!!そんなことをすれば‥‥あなたが死んでしまいます。ブラッティーオーガの攻撃を一人で受けきるなんて無理ですし、仮に受けきれたとしても‥‥もう探索者を続けていくことが出来ない体になるのかも知れないんですよ?」


ここまでして否定する理由わけは、この女性はこの黒の箱舟のリーダーと先月結婚したばかりで、これからの人生を共に歩んで行くと誓い合ったばかりで、それが難しくなる可能性が目の前で起ころうとしていた。


「大丈夫だ。いつもそうだったろ?俺達は探索者なんだ。人を守る力が与えられた人なんだ。俺達の後ろには何万人という人が魔物の恐怖で今は怯えている。そしてここで俺達が負ければその人達は成す術もなく蹂躙されるだろう。


俺はそんなのは嫌だ。ここで命を張れないなら‥‥俺は‥‥俺が探索者になった意味がないッ!!」


男の覚悟は固く、この瞳には恐怖も諦めも映っていなかった。美咲はその瞳を見て「分かったわ。やるわ」と男と同じように覚悟を決めるのだった。



「よしッ!!やるぞ!!スキル『挑発』 スキル『強壁』」


そのスキルを発動するとブラッティーオーガが男に向かってスーパーカー並みの速度で近づき、その拳を振り下ろした。男は逃げることもせずその盾で受け止めるが、その衝撃は凄まじく、受けた衝撃が体を貫通した。


「グハッ!!」


と血を吐くが目だけはブラッティーオーガを睨みつけていた。


まだ撃ってこいと!!俺は負けてないぞ!!この程度か!!とその瞳は語っていた。オーガは男の瞳を見てニヤリと笑みを浮かべてその盾を殴り続けた!!


これは男と男の我慢比べで、先に折れた方が負ける。



リーダーがブラッティーオーガの攻撃に耐えているなか、他の3人は“最後の準備”をしていた。


複合とは何かと何かを掛け合わせることで本来のパワーの何倍もの威力を出すことが出来るのだが、その分扱うのが何十倍も難しいのだ。


今回の場合だと、魔法使いが双剣が耐えられるだけの氷魔法を作りそれを付与すること。この時、もう一人の女が全体のバランスが崩れないように魔法と双剣を覆うようにマナを被せて、最後は複合する。


これは互いの力量と技術と信頼関係が無ければ絶対に出来ない行為で、しかも、今回は愛する者の命も掛かっていて一度の失敗も許されない状態だった。


二人のマナがゆっくりとではあるが双剣に乗っていくなか、一人は仲間を信じて目をつぶり、集中力を極限まで高めてこの二撃で命を屠ることだけを考えていた。


そしてその時はやってきた。


男が持っている双剣が氷魔法の冷気を纏い白く輝いた。そしてそれを感じ取った男は双剣を構えてブラッティーオーガに向かって全力で駆け出した。


右肩から左わき腹にかけて一撃!!左肩から右わき腹にかけて二撃!!とオーガの体には双剣によって深くクロスの傷跡が刻まれた。


「グアアアアア!!!」


と痛みで声を荒げるが、その魂までは刈り取ることは出来なかった。そしてオーガは痛みに苦しみながらも拳を握って既に瀕死の男に向かって拳を振り下ろそうとした――その時だった。


オーガの体の中央から氷柱が突き刺さっていた。


「‥‥これで三撃だ。」


双剣の攻撃は氷魔法によって強化されたわけだが、その効力は逆にも言えることで“双剣のスキルによって氷魔法が強化”されたとも言える。強化された氷魔法がオーガの体の内部で二重で発動され、巨大な氷柱を生み出したのだ。


「は、ははは‥‥グハッ!!こ、この勝負は‥‥俺の勝ち‥‥だな。」


男と男の我慢勝負に勝った男はその場に倒れ、オーガは塵となって消えるのだった。


ブラッティーオーガVS黒の箱舟はギリギリのところで黒の箱舟の勝利で幕を閉じた。

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