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『神の手違いが生んだ報われぬ者の転生録』  作者: Lark224a


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第11話 ダンジョンブレイク。

《ダンジョン管理局 視点》


ダンジョン管理局では日本にある全てのダンジョンのマナ濃度を毎分毎秒で管理し、すぐに問題があれば対応できるように優秀な研究員とAIによって24時間体制で監視体制をとっていた。


そして、今日も完璧に管理されていたのだが――大きな問題が起きた。


八王子のダンジョンのマナ濃度が安全域だったものが、瞬く間にダンジョンブレイクが起こる域まで一気に急増したのだ。施設内部には猛々しい警報音が鳴り響いた。


当然、そんなことなど頭にない研究員達はパニックを起こす。


「大変です!!八王子のダンジョンのマナ濃度が急激に増加しています。既に、その濃度はダンジョンブレイクの域までに達しています!!」


「なんだとっ!!なぜだ!!なぜ、そんなことが起きてる!!ちゃんと、監視していたのか!?」


「はい!!いつも通り管理していましたがッ‥‥分かりません。」


「チッ!!いや今はいい。既にその濃度なら吸引ではどうにもならん。なら、ダンジョンを中心に半径10キロに避難警報を鳴らせ!!そして、警察、自衛隊、ギルドにすぐに連絡を回せっ!!


いいか!!これは訓練ではない!!俺達の対応が遅れれば被害が増大する。必ず、最小限の被害で留めるぞ!!いいなッ!!」


「「はいッ!!!!」」


と研究員達はダンジョンブレイクに対しての対応を始めた。



《主人公 視点》


避難のアナウンスが流れたあとは大パニックが起きた。


ダンジョンブレイク。


その言葉はこの世界に住む住人なら誰しもが恐れる言葉だった。ダンジョンに住む化け物がその住処から出てきて人間を襲いに来る。その被害はとてつもないもので、かつてアメリカでダンジョンブレイクが発生した時は、その対応に遅れ何百万人という人が亡くなった。


その災害が今、自分がいる場所で起こっている。


この事実に冷静でいられる者などいるはずがなく、避難のアナウンスが流れると我先へと逃げ出し始めた。


当然、俺達四人も逃げなければならない。


「悠真!!逃げるよっ!!」

「雪っ!!行くわよっ!!」


母と千歳さんが自分の子供の手を取って逃げ出し始めようとする時だった。雪の横で自分達と同じぐらいの子供が人に押されて倒れてしまった。


それを見た雪は千歳さんの手を放して、その子のところに向かって走って行ったのだ。


「雪っ!!待ちなさいっ!!」


千歳さんが叫ぶが、既に人の波が来ていて一度その手を放してしまったら、もう掴むことは出来ない。そのまま俺達三人は人の波に押されて‥‥雪との距離がどんどん離れて行く。


前世の俺であれば無視していた。自分には関係ないと他人を信用せず、他人に興味がなく、自分が生きることに精一杯だったあの時の俺であればな―――だが!!今は違う。


雪と過ごした時間が俺の中では“かけがえのない大切な時間”となって心に刻まれていた。


俺は母の手を放して雪に向かって走り出した。当然、母は叫ぶが俺の足は止まらない。雪を助けないとという強い気持ちが思考を越えて前に出ていた。多分、考えるよりも先に体が動くというのはこういう時のことを言うのだろう。


そして母が人に押されて見えなくなる、その最後の時に――


「母さん!!雪を助けてくる!!絶対に2人で戻ってくるから!!」


と一言だけ言い残して雪の手を取るのだった。



「大丈夫かっ!!雪。」


「うんっ!!私は大丈夫だよ。君‥‥大丈夫?立てる?」


「ぐすん。ママ‥‥どこ。」


と涙を流していたので、俺は背中をさすって言葉を掛けた。


「大丈夫だ。ママとはすぐ会える。怪我とかはないか?歩けるか?」


「コクン。」


「よし。このままこの人達の後をゆっくりとついて行くんだ。行けるか?」


「わ、分かった。」


とその子を送り出して俺と雪も人の流れに乗って行こうとしたその時だった――ドカン!!と大きな爆発音が遠くの場所から聞こえてきた。


もちろん、この状況でそんな爆発音が聞こえてきたら人はどうなるか?そんなのは子供でも分かる。さらなるパニックが起こるだ。そして、その予想通り「逃げろ!!」という声と共に後ろから大量の人が走ってきた。


その大量の人の波に雪が巻き込まれてしまい「キャ!!」と悲鳴を上げた。


「大丈夫か!?」


俺は人に突き飛ばされた雪にすぐさま駆け寄り言葉を掛けた。


「うん‥‥だいじょ――イタッ」


雪は右足を抑えていた。

どうやらこけた時に足を怪我してしまったようだ。


「見せてみろ」


「う、うん。」


足は痛々しく赤く腫れていた。


この足じゃあこの人の中を歩いて行くのは不可能だ。ならどうする?誰かに助けを求めるか?いや、この状況だぞ。誰も助けてくるわけがない。だからと言ってこのまま動かないわけにもいかない。


と必死に考えていると、雪が俺の手を取り「私は大丈夫だから‥‥悠真は先に行って」と笑顔で言ってきた。


俺はその顔を見てハッとさせられた。


俺が雪を不安にさせてどうするんだ。こんな時に他人を頼ろうとしてどうする。俺が守ってやらないと、安心させてやらないとダメだろ!!何の為に今まで努力してきたんだ?こういう時に役に立てるようにだろ!!


「バカを言うな。お前を置いていけるわけないだろッ!!安心しろッ!!絶対に俺が何とかするから!!だから、先に行ってなんて思ってもないこと言うな‥‥恐怖で手が震えてるぞ。


大丈夫だ。絶対に‥‥俺が‥‥何とかする。」


「う、うん‥‥ッ ご、ごめんね。わ、私‥‥怖いよ‥‥悠真。」


雪は大量の涙を流していた。俺はそんな雪の頭をポンポンと優しく叩いて。


「あぁ。俺に任せろ。」


この絶望的な状況をどうにかする方法を考えるのであった。

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