第10話 ショッピングモール。
今回からは一本投稿です。
今日は白河家と一緒にショッピングモールに来ている。
メンバーは俺、梓(母親)、雪、千歳さんの4人で、姉は学校、俺の父親は仕事の為、白河さん側の父親はついて来ていないが理由は不明だ。
まぁ、いつものメンバーである。姉は学校が無ければ間違いなく参加していたと思う。
そうしてショッピングモールを見ていると母がいつもの如く「悠真は何か欲しい物はないの?」と聞いてきたので、俺もいつも通り――。
「特にないかな。」
と返事をする。
母は俺と何処かに出かける度に欲しいものはないのか聞いてくる。まぁ、俺が子供として特にねだるということをしてこなかったのが原因なのだろうが、物欲がないのだから仕方がない。
俺は目で“見える物”より“見えない物”の方が欲しい。
「そう。何か欲しい物があれば言いなさいね。」
「はーい。」
と母とのやり取りを終わらせると千歳さんが――。
「悠真くんは大人しくて偉いわよね。家の子なんて何処かに行くとあれ買って、これ買って言って凄いんだから。」
と言ってきた。
本来であれば大人しい子供は羨ましいことなのだが、大人し過ぎるのも親にとっては困りもので、現に母親は子供が何が好きで何が嫌いなのかを知ることが出来ていない。
それは誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントの時に何を渡したら喜ぶのかが分からないし、じゃあ本人に聞いても「別に要らないかな」と返ってくるので、親としては打つ手がない。
「そ、そうね。悠真は大人しくて‥‥た、助かるわ。」
と無理に返事を返すと「悠真!!これ見て!!凄く可愛くない!!」とはしゃぐ雪がやってきて、その姿を見た千歳さんが――
「本当に羨ましいわ‥‥その大人しさが欲しい。」
と呟くのであった。
そのやり取りを見た俺は、多分俺と雪を足したら丁度いいぐらいの子供が良いんだろうなと思いながら、雪の相手をするのであった。
◇
一通りの買い物と昼食を済ませてショッピングモールを出た。
結局、俺は何一つとして欲しいものはなく、母が勧めてくる物に返事をして買い物を済ませて、白河家は雪があれがいい、これがいいとねだる、千歳さんがダメというやり取りを何度もしていたが、何個かは買ってもらえていたので雪は笑顔で嬉しそうだった。
そうして帰路についたのは昼過ぎだった。
「久しぶりに買い物が楽しかった。千歳さんはどうでした?」
「もちろん楽しかったです。やっぱり女同士だと時間も気にせずゆっくりと見れるからいいですよね。これが旦那と一緒だと“まだか?”とか“長くないか?”と色々と言ってきてじっくり見れないんですよね?」
「そうそう。女の買い物は長いのは常識ですよね。女の唯一の楽しみなんだからじっくり見たいですよね。」
「全くです!!」
とママ同士で買い物について盛り上がっていた。
俺は見た目こそ子供だが、中身は成人した男なのだが、正直、父側もある程度は買い物の長さに許容していると思う。仮に許容してなかったら一緒に買い物など来ないはずだ。だから、小言が出るのは長さだけじゃなく他の要因もあると俺は思う。
例えば、こっちの服とこっちの服はどっちが良い?とかね。
あれは旦那側からしたら一番嫌な質問だと思う。嫁が求めている物を当てないといけなく、もし外せば「あなたって私のことを見てないのね」と嫌なことを言われる可能性もあるので外すことが絶対に出来なく、それが嫌になって早く終わらせたいと思ってしまい小言が出るようになる。
そういうわけで時間だけじゃなく他の要因が小言の原因になっている可能性もあるという話で、正直、俺から言わせてもらえば別に待つ必要はないと思う。互いに時間だけ決めて各々が好きな物を見ればいいと思うが、そういう話じゃないのだろう。
そんなどうでもいいことを考えていると――ビィーー!!ビィーー!!と警報音が鳴り響くと。
『八王子ダンジョンでダンジョンブレイク発生!!近隣住民の皆様は指定された避難所に避難してください!!繰り返します!!八王子ダンジョンでダンジョンブレイク発生!!近隣住民の皆様は指定された避難所に避難してください!!』
とダンジョンブレイクを知らせるアナウンスが流れた。
八王子‥‥それは今、俺達がいる場所だった。




