表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/86

天音の今に足りないもの

第15話


 僕たちは、高校3年生になっていた。


 高校剣道の大会は夏に集中している。高校2年の終わりから高校3年の夏まで、僕たちは剣道に集中した。


 太斗は我が部の主将として奮闘したが、全国目前で敗れた。僕も選手として名を連ね、精一杯力を尽くしたが、やはり超高校級の闘いには力及ばなかった。ただ僕の名前は、剣道を始めてわずか2年余りの選手として大いに注目された。


 だが、負けは負けだ。

 千代も注目選手として期待されたが、全国には一歩届かなかった。


 僕たちの剣道部生活は、意外にあっけなく終わった。



「あーー終わった!なぁ天音!これからどうする?OBとして後輩に稽古付けてやるか?暇だし」

「太斗、そういうのって煙たいと思わないのか?空気読めよ」

「あはは!そうだな!で、天音も進学だろ?これから受験勉強一直線!どこに行くんだ?決めてんのか?」

「ん、うん、そうだなぁ」


 僕の頭の中に志望校は一校しかない。だけどまだ言えない。

 僕たちがそんなことを話しているところに、千代が通りかかった。


「お!千代!おまえもよっぽど暇してるな?」

「しっつれいね!太斗、私はあんたみたいな暇人じゃないの!今だって部活に顔出して、後輩の指導してきたんだから!」

「うわっ、天音、ここにいたぞ?言ってやれよ~、空気読めって!」

「え?なんの空気?酸素?二酸化炭素?字なら読めるよ?」


 千代は意外に、中々の天然だった。


「千代さぁ、それで大学通ると思ってんのか?よっぽど勉強しないと、どこにも行けないんじゃないか?」

「もう、失礼だわ、私、あんたよりよっぽど成績いいんだから!!多分!」


 千代はやっぱり天然だ。剣道着を着ているときとは別人みたい。


「へぇ、千代って勉強出来たんだ。剣道ばっかりやってると思った」

「そ、そう言う天音くんはどうなの?やっぱり剣道ばっかりやってたでしょ?太斗ほどじゃないけど、受験は、その~、どこに行くのかな?」

「う~ん、俺ね、もう行くとこ決めてるんだけどさ、う~ん、ちょっと頑張れば大丈夫かなぁ」

「げげ!まじか!天音はもう決めてんの?で、大丈夫そうって?なんだよそれ!いつの間に勉強してんのさ」

「あはは、言ってなかったか、俺の母様ははさまは、学校の先生なのだよ。だからまぁ、その辺は抜かりなしって言うか、ね?」

「うぁ!反則だ!!千代!ここに反則負けの人がいるぞ?」

「え?天音くんのお母さんって先生だったの?じゃ、どこに進学するの?大学なんだよね?」

「うん、大学。でもね、決めてはいるけど、もう少し考えようかなって」

「そうなんだ。じゃ、今度教えてね!必ずだよ?」



 僕は剣道を通じて強くなった。剣道はもちろんだが、安座真さんには剣道の他に、霊気の使い方を習っていたんだ。みんなには剣道の稽古にしか見えなかったはずだけど、僕と安座真さんの稽古は全て、霊気を鍛錬するためのものだった。


 そしてもうひとつ、安座真さんがこれまで経験してきた不可思議な現象、特に沖縄でのことを追体験させてもらっていた。それで僕の霊力は、2年前と比較にならないぐらい大きくなっているし、様々な怪異に対する知識も身についていた。


 安座真さんの話では、僕の力は安座真さんを遙かに超えているらしい。


 でも、あともう少し、もう少しだけ強くなりたい。安座真さんに教えてもらったことだけではなく、自分の経験として、強くなりたいんだ。


 そうだ、今の僕に必要なのは、実戦経験だ。



 僕の実戦経験、それは意外と早く訪れた。




つづく


お読み頂きまして、ありがとうございます。

毎日数話ずつ更新していますので、ぜひ続きをお読みいただきたいと思います。

気に入っていただけましたら、ブックマークや評価をしていただけますと嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ