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13話:シグルドとの試合1

 ナイミラとの別れから数日後、俺は久しぶりにクレイヴンハート家の門をくぐった。

 屋敷内を歩いていると、執事に呼び止められた。


「アルド様。ご当主様がお呼びです」


 執事が深々と頭を下げ、俺を案内する。ヴァルター――俺の父であり、この家の当主。彼が俺を呼び出した理由は何か。


 いや、決まっている。俺が家を空けていた一年のことを聞きたいのだろう。

 いつもヴァルターがいる部屋に入ると、優しそうな笑みを浮かべていた。


「久しいな、アルド」

「ご無沙汰しております」

「急に「武者修行をしてくる」と言った時は驚いた」


 俺は何も言わずにヴァルターの言葉を待つ。


「それで、どこに行っていた?」

「とある場所で師匠と出会い、そこで鍛えてもらいました」

「師匠?」


 俺は頷く。


「はい。しかし、名前はお教えできません」

「そうか。その者は強いのか?」

「ええ」


 正直、ヴァルターとナイミラが戦えば、彼女が負けるだろう。しかし、魔法などあらゆるものを使えば、ナイミラにも勝機はある。

 それだけの強さを、彼女は持っている。現状、エインヘリヤルの刻印を刻み、不死の狂戦士へと至った俺でも、現状では勝てるビジョンが浮かばない。


「私よりもか?」

「搦手を使えば、師匠も勝てるのではと」

「ふっ、はははっ。是非とも会って戦ってみたいものだ。して、お前は強くなったのか?」


 その言葉に、俺は目を見つめて笑みを浮かべる。


「はい。以前の弱かった自分はもういません」


 俺の言葉に、ヴァルターは興味深そうに目を細めた。そして嬉しそうに微笑んだ。


「弱かった自分はもういない、か。随分と自信がついたようだな。父として息子の成長は嬉しいものだ」

「ええ、自信があります。これまでの修行が無駄ではなかったと断言できます」


 ヴァルターは重厚な椅子に体を預けながら、顎に手を当て考え事をしている。しかし彼はすぐに口を開いた。


「アルド、お前がこの一年で何を得たか、正確に知る必要がある。そのために、もう一度シグルドと試合をしてみないか?」


 シグルド――兄の名を聞いた瞬間、俺の中に過去の記憶が蘇る。一年前の俺には到底届かない強さを持っていた。

 自然と、俺の口元に笑みが浮かんでいた。


「くははっ、答えを聞くまでもないか。お前がどれだけ強くなったのか証明してみろ」

「わかりました。俺の成長をみんなに証明してみましょう」


 広い訓練場に立ち、俺は再びその姿を目にした。相変わらず優しそうな表情をしているシグルドに、俺は歩み寄り声をかける。


「シグルド兄さん、久しぶりですね」

「お前が訓練を止めると言い出した時は驚いたが、武者修業とはな」

「ええ。良き師匠を見つけましたから」

「そうか。それで、まだ回復魔法を?」


 シグルドの問いに、俺は目を見つめながら答える。


「回復魔法の極致を、みんなに見せてあげますよ」

「あはははっ、それでこそ僕の弟だ! いいね! スキルも何かもありでやるかい?」

「はい。じゃないと俺の成長をみせられない」

「ふふっ、そうか。理性を失っても僕が止めるから安心してね」

「シグルド兄さんに僕が止められますか?」

「兄として止めて見せよ」

「そう言うと思ってましたよ」


 互いに距離を取りシグルドと俺は剣を構えた。

 訓練場には国境の防衛をしているエルセリア以外、全員が集まった。家臣たちや兵士たちも、ぞろぞろと集まってきた。


「では、ルールはスキルの使用もありの、なんでもありのルールだ。怪我の許容はどうする?」


 ヴァルターが俺たちに問いかける。


「死にさえしなければいいんじゃないですか?」

「同じく。欠損もポーションで治りますからね」

「ならばそれでいこう」


 前回は俺が未熟問うこともあり、スキル無しの試合だったが、今回は俺の修行の成果を見せる場面でもある。


「――始め!」


 一人の兵士が開始の合図を出す。

 それによって、俺とシグルドの試合が始まった。


 試合が始まるや否や、俺はナイミラ直伝の身体強化を発動して素早くシグルドとの距離を詰めた。軽快な一歩を踏み出すたびに、筋肉が通常の限界を超えた力を引き出すのを感じる。


「おっと――さすがだな」


 シグルドは剣を片手で軽々と振るい、俺の攻撃をいなしながら笑みを浮かべた。その表情には余裕が見えるが、俺には分かる。シグルドの動きには明確な緊張があった。


 彼の剣が振り下ろされる瞬間を見極め、俺は身体を捻って攻撃を回避。そのまま下から強烈な蹴りを放つ。


「――っ!」


 シグルドの身体が後方へ揺れる。普段ならびくともしない相手が、一瞬怯んだ。俺はその隙を逃さず、さらに身体強化の力を高め、連撃を繰り出した。


「この威力……身体強化の比じゃない……!」


 シグルドの目が驚きに見開かれる。周囲の面々もざわついているのが分かった。


「まだまだこんなものじゃない!」


 俺は再びシグルドに突進した。剣だけではなく、拳や蹴り、全身を駆使した猛攻を仕掛ける。シグルドは防戦一方になりながらも、笑みを浮かべ続けていた。


「強くなったな、アルド。だが、もっと熱く戦おうか!」


 シグルドが一瞬、深呼吸をした。

 すると彼の身体から淡い光が放たれ、周囲に広がっていく。それは、彼の職業スキルによるものだとすぐに分かった。


「――剣王領域!」


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