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1.お年頃

 ワガママで自由奔放な三姫の意見が、奇跡のごとく一致した。


「うー、ちやほやされたいですわ」


「あー、何か目立ちたい」


「えー、親父のが人気なのあり得ない。私が注目浴びないの何か腹立つ」


 三姫「何か始めないと」


「副総督っ」


「お嬢、どうされました」


「人気者になるにはどうしたらいいかしら?」


「お嬢は、十分注目の的かと。なので必要ないと思われる」


「そ、れ、じ、ゃ、あ、駄目なの」


「何がご不満で?」


「もっとこうガーっと、バーっと人気者になりたいの」


 難解だ!?何を言ってるのか、サッパリわからん。


「この話は、お父様に内緒でお願い。良いアイデア浮かんだら教えて」


「この命に賭けて」


 魔姫の無理難題を、どうしたものかと悩む副総督だった。


 翼が風を浴びて、とても心地よい。城の外壁に立つ竜族の青年と少女。


「兄上、何かとても目立つ方法はありませぬか?」


「何を唐突に!何故目立ちたい?」


「無性にちやほやされたくなりもうして」


 当然のことだと言わんばかりに告げる妹は、その無い胸を張り自信満々だった。


 意味がわからん、ちやほやされることに何の意味がある?


 過度な評価は、己の実力の半分も出せなくなる。


 溜め息を吐き、過保護に育っているとはいえ、馬鹿な妹に育ったものだ。


「太鼓持ちが欲しいのか?」


 可愛らしく首を振り、間違いを意思表示する。


「何故、ちやほやされたい?」


 むむむ…兄上怒ってる。眉間に皺が寄っている。承認欲求満たされたいだけ、何て言ったら絶対怒るよね。


「えーと、王女として民に愛される人物になりたいから…何て、、、ハッハッハ…」


 この妹は、ずっと馬鹿だと思っていたが、こんなマトモなことを言うようになっていたとは。


「わかった。俺にできることなら何でもする」


 兄として、妹の成長を喜べる日がくるとは思わなかった。


 シンプルだが、精巧な作りの玉座に腰を掛ける壮齢な男。それに対し、若く美しいスラリとした体型の少女が文句を言う。


「どうしたら親父みたいにモテるんだよ?教えろよ」


「そうだな、民の声に耳を傾かせ…」


「そういうのいいから、さっさと教えろよ」


「…聞けよ」


 威厳のある顔で、プイっとそっぽを向く。


 煌びやかな身なりをしているが、とても王様とは思えない態度だ。


「ムカつく」


「勝手にムカついてろ。じゃじゃ馬娘が」


「人がこんなに頭を下げて頼んでいるのに、この態度だよ。クソオヤジ、もう頼まない」


「いつお前が頭を下げたんだよ」


「うるせー、クソオヤジ」


「お前の方が、うるせーよ」


 王城には、いつもの風景がそこにはあった。

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