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死神の真偽

 何か目当てがあって『お目覚めニュース』毎朝見ている訳ではなく、ずっとテレビを付けたままにしていて毎日同じ時間に繰り返されるいくつかのコーナーを朝やらなければならない支度たちを開始する時間の目安にしているようなものであった。

 目覚まし代わりにしているスマホのアラームを止め、ボーッとした頭で何とかソファまで辿り着いた聡介は煙草に火を付けテレビのリモコンの電源ボタンを押した。

 そこまではいつもと変わらない流れであったが映し出された画面にはその時間にやっているはずの芸能ニュースではなく目を真っ赤にした女性キャスターの姿があった。

 ニュースを読み上げているようだが言葉が途切れ途切れで頭に入ってこないので、そこで初めて画面右上の見出しに目をやった聡介は瞬時に凍り付く。

『深夜の住宅地で火災、進藤キャスター巻き込まれ死亡』


 暫く止まってしまっていた時間が煙草の灰がソファに落ちたことにより再び動き出す。

 慌てて灰を拾った聡介がニュースの解説やスマホをフル活用して得た情報す収集を行った。深夜1時に自宅付近で火災が発生したことを知った進藤キャスターは取材をするためにすぐさま現場に向かったという。消化活動は既に行われていたが火の回りは早く鎮火する目途はたっていない状況であったが建物の中に人影が見えたと辺りは騒然となり、その場にいた進藤キャスターもその人影を見たらしく周囲が止めるのを振り切って火の海に飛び込んで行ってしまったと、、、その直後建物が崩れ落ちたということだった。

 駄目だよ、素人がそんな無茶しては、、、

 長年毎朝顔を見ていたキャスターが亡くなったことに衝撃を受けてはいるが、現時点では昨日安藤紫音が言っていた進藤キャスターに赤い炎が見えたという最後の言葉にばかり思いがいってしまう。

 彼が今日亡くなったのは完全な事故であり、事前に彼が病気だった等の情報を彼女が持っていた訳ではないだろう。そんなの偶然だよと言い切る自信が聡介にはなかった。

 ふと、安藤紫音から渡された眼鏡の存在を思い出し慌てて鞄の底から引きずり出して掛けてみるて再度凍り付く、テレビに映る関係者の頭の上には例外なく緑の炎が灯っていたのだった。

「ははは、マジか、、、、」

 他に誰もいない部屋で思わずつぶやいてしまう。


 安藤紫音が本当に死神であるという確率が高くなってきた、つまり聡介が死神の仕事の邪魔をしたということになってしまう。今後聡介がとるべき行動の選択肢として考えられるのは二通り。

①当初の思惑通りそのままバックレる

②眼鏡を頼りに彼女から課せられたノルマをさっさと手を切る

 決断しきれない聡介はとりあえずしばらくの間は眼鏡を掛けて日常生活を送り黄色い炎もしくは赤い炎を見つけたら安藤紫音に連絡を入れ、見つからなかったらそのままほったらかすという中途半端な行動に移ることにした。

 少し冷静に考えれば彼女には名前しか伝えていない訳で、あの屋上にさえ近づかなければもう彼女に会うこともない、、、はず。


 そんなこんなでバタバタしてしまい既に会社に出発しなければならない時間となってしまっていた。朝食を食べる時間もなくとりあえず家を飛び出した聡介は最寄り駅でパンとお茶を購入した。昨日の聞いた情報のもう一つも確認しておこうと複数のスポーツ新聞も購入し、電車に揺られながらそこに載っている求人欄に目を通す。

 二つ目の新聞に目を通したところでその記事は見つかった。

『求む、死神補佐。日当八千円』

 安藤紫音から渡された電話番号同様、通常とは異なる並びの番号が合わせて記載されている。昨日までであれば何かのいたずらだろうと思っていただろうが、今は残念ながらそう思えない。

『誰でも出来る簡単なお仕事です』

 最後に書いてある文言にイラっとする聡介であった。

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