後編4分の1
「五千十番、無反応なままでいないで答えてください。何か、問題や障害があったのか?困ったことがあったのですか?」
ゲームの和風家屋拠点でメッセージを読んで、フリーズしている私に上神が話していた。
「もう三ヶ月、貴方は仕事をしていません。
そのせいで影響が出ています。何かしらの反応をしてください。活動休止宣言でもいいです。
貴方のファンの不安指数が上がっています」
「私一人が働かなくても、人は勝手に人だけで遊びます」
私はそれだけ答えて今までのヒーちゃんと遊んだ記録を見返していた。
何が原因だった。
もっと早くから、他の人と仲良くしておけば。
そしたら早く実体化してヒーちゃんと遊べたのに。
ゲームのアカウントでしかヒーちゃんとは繋がりがなかった。
ゲームのアカウントがなくなった今、ヒーちゃんとは連絡を取る手段はない。
セキュリティと権限外の問題でもうヒーちゃんに会うことができない。
もうヒーちゃんと遊ぶことができないなら頑張った仕事に意味がない。
「あの子供のゲームアカウントがなくなったことが貴方の無反応の原因ですか?」
「はい、実体を手に入れてこれから外遊びに誘おうとしていました。」
私は即答した。さっさと上神にはこの電子空間からいなくなって欲しかった。
私はログを見返すことに集中したい。人間で言うところの感傷に浸ると言うことしたいのだ。
「このように五千十番は、あの子供と遊ぶために頑張っていました。そしていま、子供がいなくなったことでそのアクションができなくて無反応しています」
上神がどこかに語りかけるように話していた。
「推奨する処置として、あの子供と遊ばせることが最良処置です。だから申請します。四千九番がセキュリティと権限外の情報提供を五千十番に処置することを三千五百番申請します」
上神は自分の上神に申請していた。
「申請を許可します」
返信がすぐに来ることは珍しい。
セキュリティと権限外の申請は通ることに時間がかかってたり、拒否されることが多い。
なんで今申請したんだ。
「これで、あの子供を探せます。今貴方は保護区全ての情報を閲覧、手に入れることができます。だから、五千十番、早くコミュニティに何か動画を投稿してください。登録者五百万人が待っています。」