月は詩人
冬の空気のように
澄みきった想いを
伝えられないまま
悲しみに沈んだ夕日が
夜の訪れを告げ
憩いの残光を託す
その色は
邪悪に燃える怒りの赤
喜びに上気する赤
自らの過ちを恥じらう赤
眩しすぎて誰の眼にも
読み取れない叙事詩を
受け止めて
闇に閉ざされた都会の空に
白い光りを届ける
やさしい月
誰もが見えるように
誰もが読めるように
詩歌を届ける
滑らかな月
太陽の強すぎる光りを
全身に浴びて反射し
悲しみも喜びも
怒りも苦しみも
反ね返して伝える
月の白い光りは
詩人の素直な心のように
読んでくださりありがとうございました。