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洞を穿ちて察するが如く 氷の解けるが如く  作者: みれにあむ
第一部 王国記篇  第三章 神罰の雷《いかづち》
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(67)底上げと引き上げ

 どんどんTUEEEになっていく主人公。

 取り敢えず、グリムフィード領の実力を底上げしないといけないと思いつつも、ちょっとスピンボール・ルーレットの攻略法とか、魔石を砕いての位階上げなんかは、広めてしまっていい物か分からない。

 迂闊に広めると、教会の耳にまで入ってしまうからね。


 アロンド叔父様は中々館にはやって来ないから、今日はその辺りの相談もしてしまおうと、書いたばかりの攻略法を片手に探索者ギルドに出向いている。

 勿論、ショーとして。


「ギルド長に、ですか?」

「そう、取り次いで貰える? 今日が駄目なら出直すけど、多分直接報告しないと怒られそうなんだ」


 こんな事を十歳の新人探索者が言ってきても、普通なら言い諭されて終わりかも知れないけれど、ここで案外役に立ったのが銀色の登録タグだ。

 ランクBの事実は、思ったよりも大きいのかも知れない。

 首を傾げられながらもアロンド叔父様に取り次いで貰って、そして私は一人ギルド長室へと向かっている。


 コンコンとノックをして、「どうぞ」との応えに扉を開ける。

 「お邪魔するね」と声を掛けて、中へ入って後ろを向いて扉を閉めて、そしてもう一度振り返る。

 そこでは副ギルド長のエルザさんが、真ん丸に目を見開いてから、机に突っ伏す所だった。


 流石エルザさん。一目で気が付くとは中々やる――と言いたい所だけど、実際にはプルーフィアとショーの両方を知っている人は、結構直ぐに気が付いている。

 もしかしたら変装にもなっていないのかも知れないと、気を付けておく必要が有りそうだ。


「くくく、漸く噂のショーに会えたというのに、どうした?」

「――アロンド、知ってたね!?」

「ランク試験の時にな。――いいか? ショーだぞ? この格好の時はな。――ショーは先にそこのソファに座っておけ」


 相変わらずエルザさんはアロンド叔父様と仲が良さそうだけれど、実はまだ一緒になってない。

 私も経験なんて無いから分からないけど、大人の恋愛は難解だ。


 でも、今日の目的はお節介な仲人少女では無い。私は目の前のテーブルに持って来た資料を広げるのだった。



「スピンボール・ルーレットの四十八階層、か。無茶苦茶だな」

「いや、書いてるの見れば分かるよね? トラップに引っ掛けて、同士討ちで自滅させてるから、私の力なんて関係無いし。誰でも出来て、それでいてちゃんと位階も上がるってなると、扱いに困ってね。手っ取り早く位階を底上げ出来そうだけど、実力を磨かないでのそれだと、コントロール出来ないで自分がころころ転がっても笑えないしさ。教会の耳に入っても、ね」

「……ランクB以上で面接した結果次第という所だな。で、もう一つは階層以上の位階上げか。――これは秘匿だな。そもそも魔石を砕くというのがお前にしか出来んだろうよ」

「あー、うん、そうかも知れないね」

「それで最後は魔法も取り入れた戦闘訓練な。これは俺では無くイルカサルに言う話だな」

「そうだと思うけど、まぁ一応参考に。

 知ってる? 今、護衛騎士に訓練して貰ってるけど、魔法無しだと手も足も出ないのに、スピンボール・ルーレットの回転魔法を使ったら、何もさせないで勝っちゃったよ?

 魔法を使えるか否かで凄い違いみたい」

「多分それはお前ならではだな。普通は魔法を使うのに溜めと集中が要るものだ」


 襲来する真剣な顔をしたエルザさんの指先を躱しながら、新しい情報に目を瞬いた。

 ……成る程、カヌレが魔法を使う時に、むむむと唸って、たぁー! とやっていたのはねたでは無かったのか。


「まぁ、いいや。お父様に話したら、結局騎士がダンジョンに潜る事になるだろうし、後は任せるね。

 あと検証出来てないから資料は作ってないけど、ダンジョンで上がる位階、あれはダンジョン毎じゃ無くて、ダンジョンの魔物の種類毎に設定されてるみたい。

 鳥の洞窟なら青と緑の小鳥での位階は上限まで上げたけど、赤い小鳥はまだもう少し上げられるし、黄色い小鳥は今で半分位かな?」

「……黄色? 居たか、そんな鳥」

「心当たりは無いねぇ?」

「最下層で、ずっと薬草のコロニーに隠れてるよ? 一つの広場に一羽か二羽居ればいいくらいだけど。どんな魔法を使える様になるかも分からないし。私の場合は参考にならないしね」


 何と言っても、私は魔術として発動してしまうから。それを普通の魔法に見せ掛けようとするのは、魔術でそれっぽく見せているだけになる。

 魔術師では無い人には参考にもならない。


「もしかして、あたしも赤の鳥魔法が使える様になったり?」

「可能性は有るんじゃ無いかなぁ?」

「ギルド長! 早速明日から――」

「いや、皆まで言うな。鳥魔法の検証は任せよう」


 アロンド叔父様のその言葉にエルザさんがにまにまとしているけれど、言うべき事は言っておかなければならない。


「暫くは早朝私が殲滅するよ? 最下層だけだけど、時間を置いた方がいいかもね?」

「あー、うん、ショー君の正体知っちゃったら、うん、そうかもねー」


 プルーフィアがした事を知っているからか、エルザさんはそう言って呆れた様に笑うのだった。



 でも、それから数日して分かった事。

 黄色い小鳥は、期待に反して残念な小鳥だった。


 何をするのか実際に見てみないと魔術を組む参考にも出来無いと、まぁ、何とか薬草のコロニーから追い出してみたら、囮に置いていた人形へ向かって眩く輝きながら突撃し、そして人形を壊す事も出来ずにその場に失神して落ちた。


 ただ、速い。恐ろしく(はや)い。(まさ)しく迅雷とは斯くの如しと言わんばかりに(はや)い。

 そして恐らくは貴重な雷属性の魔力を持っている。きっとあの残念な突撃は、敵を感電させる事が一番の目的で、物理的な威力は二の次なのだ。


 尤も、仲間が全滅しても出て来ないなら、残念としか言えないのだけれど。

 ただ、どうしても雷の力は必要だから、私にとっては福音だった。



 それからまた一月ばかりが過ぎた或る日の事、再びのギルド長室で私はエルザさんから報告を受けた。

 赤の鳥魔法が使える様になったと。


 それは何より。私の推測の裏付けが取れて、この時から取得する固有魔法に狙いを付けての探索が可能になった。

 グリムフィード領の実力は、底上げもされると共に、上位の実力者達も更に引き上げられて行く事となったのである。

 ぐはっ!? TUEEEになると物語が続かなくなるのですよ。だからTUEEEにはしないつもりでしたのに、チート知識を持った主人公が勤勉に頑張るとTUEEEに成らざるを得ない罠。色んな制約を設けている他の作者の作品を見ても、制約設けていてさえTUEEEになってますしね。

 う~ん、教会との対決までしか脳内プロット出来上がってないけど、案外そこで完結するのが良いように思えてきた。

 まぁ、この作品は当初毎日(今は週二)更新&三千文字縛りの練習だった訳で、かなり粗いからそれでもいいのかなぁ?

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