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洞を穿ちて察するが如く 氷の解けるが如く  作者: みれにあむ
第一部 王国記篇  第三章 神罰の雷《いかづち》
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(62)ショー君の謎

 こっちのストックも溜めなきゃ。

 領都グリームの学校に通うミリアは、通学路の途中で親友のケニッカを見付けて傍に駆け寄る。


「ケニッカお早う! ショー君の情報何か掴めた?」

「お早う。朝から行き成りね。その話は教室でするわよ?」

「おおぅ? 何か厄介な感じ?」

「じゃなくて、謎が謎を呼ぶ感じ」


 そんな事を喋りながら、ミリアはケニッカと手を繋いで、ぶんぶん振り回しながら歩いて行く。

 ケニッカと二人きりならお喋りなのはミリアの方。

 他に誰かが居るなら、ミリアはケニッカの後ろに隠れてお喋りするのは主にケニッカ。

 そんな二人の間柄だった。


「それで、お店に来るって言ってた貴族のお客さんからは何か聞けたの?」

「――それが居ないのよ。ショーなんて名前をした貴族の男子は。ショー君が嘘を言ってたとは思えないけどね」

「おー……確かに謎ですな、それは。役場に有ったグリムフィード貴族名鑑にも無かったしね」

「十歳に成るまでは貴族名鑑にも名前が載らないらしいから、まだ分からないけどね」


 この二人、ダンジョンでショーと出会ってから、ショーが誰なのか気になって役場にまで調べに行ったりしていた。

 ただ、貴族名鑑に名前が載るのは十歳からと有って、何も分からなかったのだが。


「ねぇねぇ、何の話?」

「ダンジョン? ケニッカ達は何処まで進んだの?」


 ミリアとケニッカはいつも一緒に居るけれど、他にも友達は居るから話し掛けられもする。

 そして今の時期、その話題はダンジョンの話で持ち切りだ。

 一足早く探索者に成った子や、逆に一足遅く探索になった子ら。

 誰かが話をしていたら、情報を求めて集まってくるのもいつもの事だった。


「ん~、そうね、今は身の熟しが大事って思うから、アスレチックの八階層をこの前クリアしたわよ? でも今は、七階層で会った貴族の男子が誰なんだろうって話をしていたの」

「余裕でランクD合格、一人で、凄いよ!」


 人が増えると片言になるミリアを、ケニッカが呆れた様子で眺めている。

 話をしていれば直ぐに喋れる様になるけれど、始めにこうなってしまうのはどうにも癖になってしまっていて直らない。


「えー? 誰?? どんな子??」

「貴族なら貴族名鑑に載ってないの?」


 やっぱり誰もが一度は思い浮かべるのが貴族名鑑だ。


「うん、十歳に成るまでは貴族名鑑にも載らないみたいって話をしてたのよ」

「ケニッカのお店でも、心当たり無いって」

「十歳に成ったばかりらしいけど、凄く落ち着いてるのよ? 小さいけど」

「うん、ガルダーが相手にもならなかったし。小っちゃいけど」


 余程小さいのが印象的だったのだろうか。


「う~~あ~~! 気~に~な~る~!」

「どんな子なのよ! 想像出来ないし!」


 そんな断片的な情報を聞かされたクラスメートは堪った物じゃ無い。

 興味ばかりが刺激されて、身悶えする羽目になっていた。


「飛び切りの可愛い系男子なのに、動いて喋ると凄く格好いいわね」

「でも、本気なんて全然見せてない感じ。凄い余裕って感じだった!」

「アスレチックの七階層にもふらっと現れて、コースレコード掻っ攫って行ったわ」

「練習無しの一発クリアだったしね!」


 わいわいと盛り上がっていって、でも結局正体が分からないという事に話が収束していく。


「でも、う~ん、何処かで見た気はするんだよ」

「ミリアが? じゃあ、グリームで?」

「多分……」

「う~ん、憶えてないのは、小さかったから気にしなかったのかも知れないわね?」

「うん、小っちゃかった。妹より小っちゃいくらい!」

「それは言い過ぎ。でも、迷子でも無いなら歳下の子を気にしないわ」


 そこからまた話は盛り上がって、容姿や雰囲気といった細かい話に入って行く。


「髪は濃い青だった! それで小っちゃいから直ぐ分かるよ」

「もう、ミリア。小っちゃいってばっかり言ってたら、ショー君に怒られるよ?」

「おあう!? それは駄目! じゃあ、軽装だったとかは?」

「それもアスレチックだったからかも知れないわ。でも、上等そうな革鎧だったわね」

「……やっぱり、小っちゃくって青髪っていうのが一番だし。私が言ってたっていうのは内緒で!」

「それにしても、誰なのかしらね、ショー君は」

「オルカス様とザメル様は名鑑にも載ってたのにね」

「親しげにしていたから、貴族なのは確かなのに」

「は! 貴族の関係者って言っても、どうせ召し使いの子供だとかに決まってるぜ!」


 自分の名前も挙がっていて気になっていたのか、呼ばれてもいないガルダーが割り込んだ。

 少女達はぎょっとしたが、いつもの事だと気持ち悪そうにするだけだ。

 そんな中、話の中心に居た二人は、ちょっとだけ感心した様子を見せる。


「ガルダーにしては鋭い? でもそんな感じでも無かったし?」

「うん、オルカス様は気安かったわ」

「弟とか、甥っ子とか、それくらいには近い感じだったよね」

「ヴァチェリー様関係で、アクトー侯爵様筋の親戚とかかも」

「うわ!? そっちの方がやばい!?」

「でも、それだとミリアが見覚え有るっていうのがね……」

「謎が謎を呼ぶ!?」

「う~ん……本当に謎かも」


 こうしてミリアとケニッカの友人達にショーの情報は広まったが、謎は深まるばかりだった。


 しかし、そうして知られる様になると、少女達の中には大胆な行動に出る者も出て来るものである。


「――え? ミリアとケニッカの友達?

 う~ん、私も迂闊だったけど参ったな。私が貴族の係累というのは、余り広めて欲しく無いんだ。

 ――召し使いの子供?

 ああ、それでも良……くは無いね、貴族の関係者というのを匂わせるのも無しにしてくれる?

 ううん、嘘は言ってないよ。それは此処の専属のオルカスさんやザメルさんに聞いてもいいし。でも、受付の人とかは知らないし、下手に広めて何が有っても責任持てないからね?」


 ショーに突撃した少女へと返されたその言葉を聞かされて、少女達は唇を指先で押さえ秘密にする事を誓ったのである。

 それは、少女達の心を翻弄する、傍迷惑な謎の少年ショーが誕生した瞬間だった。

 冒険者に成るのです×3完結後に書いた話がこれ。

 うん、ストック切れるぎりぎりだったんだよ!

 完結設定しただけで完結ブーストPV十倍。でも、ポイントそんなに増えず。

 最初で最後のブーストがー……。


 まぁ、気にせず書いていきますがね。

 ではでは、また次回をお楽しみに~♪

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