(60)ランクC試験?
六十話目か~。私にしては凄いペースですよ!
通う度に崇拝の域を高めている学校を終えて、ちょっと精神的な疲れを感じながらショーとして探索所ギルドへ出向けば、翌日にランクC試験と知らされてテンションが急上昇した。
もしかして、私ってチョロい?
もうその日は久々に休む事として、プルーウィでお茶を楽しんで、館に戻ったなら小物屋に卸すフィギュアを造って、気紛れに管理ダンジョンの攻略書を書く。
ジュエルスターの斃し方なんて、これは中々価値が高いのでは無いだろうか?
ロマンチック、死すべし! きっと独り身の探索者達が、目を血走らせてジュエルスター狩りに走るに違い無い。
そしてそわそわしながら朝ご飯を食べて、直ぐに駆け付けた探索者ギルド。
「来たよー!」
と声を掛ければ、後ろの方に居た職員が笑いながら二階に上がって行って、そう時間を掛けずにアロンド叔父様が降りてきた。
何時か見た盾二枚とは違って、随分と身軽だ。
「じゃあ、行くか!」
「うん!」
どうやら試験を受けるのは私だけらしいと知って、ちょっと安心する。
でも、探索者ギルドをアロンド叔父様と一緒に出たら、結構な視線が集中した。
ギルド長と一緒に探索。それはやっぱり目立つらしい。
私はそっと気配を消したのである。
「で、何処に案内してくれるんだ?」
「それだけど、撤退の決断も含めて評価してくれるんだったら、何処でもいいよ? ギルド長は何を見たいの?」
「成る程な。実際には十階層から下には降りてない分、判断力も評価しろという事か。確かにそれは斥候に必要な能力だ。妥当な言い分と認めよう。
寧ろそういう事にするのなら、俺もいざと言う時に護りに入る事だけ考えれば済む分、気が楽だ」
そういう言い方をするという事は、オルカスさんとは違ってアロンド叔父様は私がランクを上げる事にも特に反対は無いらしいと、更に私は安心する。
思っていた以上に緊張していた体からも、ほっとしてちょっと力が抜けていい感じ。
「なら、今日は序でに姪の成長を見せて貰う事にして、幾つかダンジョンを回ってみるか。
まずは全滅させていたらしい鳥の洞窟とスピンボール・ルーレット、それからジュエルスター洞窟だな。時間が有るなら巣穴もか」
「また厄介なダンジョンばかり」
「うん? 全滅させたのでは無いのか?」
「人気が無かったからね。魔術師としての力を使えばそこそこ行けるけれど、人前で使うつもりは無いし」
「……嫉妬を警戒しているのか?」
「それも有るね。努力したら身に付くと断言出来ないからね。絶対妬まれるよ。
でもそれよりも、腕は立っても高が子供っていう隙の有る立場から外れたく無いからね。館の図書室に有る初級魔導大全に魔術師の成り方が書いてあるくらいだから、知らないだけで世の中には一杯魔術師って居そうだし、特に教会には多そうだよね。魔術師を知っているだけに、私が魔術師と知られたら警戒されるのが目に見えてるよ。
しかもグリムフィードに有ったのは初級だけだよ、初級! 半分以上は首を傾げる様な事しか書いてなかったけれど、上級を知る魔術師が出向いて来たらと思うとぞっとするよ。
まぁ、魔術師として鍛錬するのに人気の無いダンジョンは好都合だけれど、私はいざと言う時の囮で切り札だから魔術師とばれる訳には行かないんだよ」
物語で見たこの世界を冒険したいという気持ちも有るけれど、まずはグリムフィードが安泰で無ければ前へ進む事なんて出来る筈が無い。
魔境へ踏み込んだら偶々前後に人が居なかった故に、アロンド叔父様とそんな会話を交わしつつ、厄介と言いつつも私は鳥の洞窟へと足を向けるのだった。
そんな鳥の洞窟もささっと十階層迄は素通りしての十一階層。
上の検問に居た騎士が物珍しげに十一階層の入り口まで降りて来ているので、最初は普通に戦ってみる。
「輝煌石の灯りは消しちゃっていい? 鳥目だから暗い方が有利なんだよ」
「――そんなのは聞いた事が無いが、好きにやってみろ」
了解を得たので、輝煌石には覆いを被せる。
アロンド叔父様も付き合って灯りを消してくれている。
まだ光っているのは様子を見に来ていた検問の騎士。がくりと肩を落として十階層へと戻って行った。
「見ている人は居なくなったけど、まずは普通に戦うね。小鳥の魔物は枯葉色の薬草コロニーに隠れているから、まずは隠れている小鳥を出来るだけ投擲で斃して、コロニーから飛び出してきても鳥目だから暫く余裕が有るし、編隊を組むまで投擲で落とすよ。余裕が有れば気絶して落ちる程度に手加減して、止めは得物で刺して育てる感じかな?
編隊を組んで襲い掛かって来るのは、基本は避けて槍で叩き落としているね。
――じゃあ、始めるね」
と宣言して、手に取ったのは大量のレベル三魔石。今日は時間短縮を心懸ける事にした。
全身を使って軽く投げた魔石が、コロニーに隠れた小鳥を撃つ。
次々に撃つ。
無属性魔力は人前で封印するとしても、この眼はまずばれる事は無い。
気にしないままに次々と撃つ。
軽く投げても斃せるのは、流石は小鳥と言う所か。
それでも十少しを数えた時には、数羽の小鳥が点在するコロニーから飛び出して、二十を数える前に隠れていた小鳥達は全て上空で待機していた。
そう、まだ待機だ。
遠慮無く私は魔石を投げる。
十一階層になっても一つの広場に棲む小鳥は六十羽程度らしい。
容赦無く半数を落とした時に、時間が掛かった影響か、小鳥達は初めて見る行動に出た。
私を見付けられないからか、小鳥達はその高度を下げて来たのだ。
高度を下げた小鳥は槍で仕留めて、結局編隊での突撃を繰り出して来たのは最後の六羽になってからだった。
当然危なげ無く避けて叩き落として終了だ。
「時間は掛かったけど、この分なら十五階層迄この遣り方でも通じそうだね」
「そう時間が掛かったとは思えないが、見事なものだな」
そんな事を言っていたアロンド叔父様も、続く十二階層から十五階層迄、一階層毎に人の姿の無い広場を一つ、無属性魔力も用いて私が殲滅を始めると、顔付きも真面目に静かになってしまった。
「と、こんな感じで編隊組ませなければ、鳥の洞窟は深く潜っても違いなんて感じないかな」
アロンド叔父様は失礼な事に溜め息を吐いた。
続いてはスピンボール・ルーレット。
時々人が居た鳥の洞窟とは違って、此処では本当に探索者の姿を見ない。
消しても意味の無い輝煌石の灯りは点けたままにして、十一階層迄一気に降りた。
「此処の魔物は失神させられれば対処も楽なんだけど、失神させるのが難しいんだよ。失神させても殻が硬く成り過ぎてたら私じゃ歯が立たないし、撤退だね。
失神させるのは魔石を急所に思い切りぶつければいいよ。急所の正確な場所は解剖図鑑に載せてあるけど、まぁ、頭の辺りだね」
「そう言えば、解剖図鑑も手懸けているんだったな。言われるまで気が付かなかったぞ?」
「何時の話だよ、も~。続きを説明するね。
魔石を使ってるのは、石で投擲するより強かったらいいなって試しただけ。でも、それで魔物は失神するし、魔石の魔力も減ってるから、きっと魔力の衝撃とか出てるんだと思うよ。投げて良し、鎚に括り付けて良し。他のダンジョンでもかなりお役立ちだね」
そう言いながら、バゴンと魔石を射ち出して、ダンゴムシを失神させる。十階層のレベル四魔石が通じた事にほっとする。
「もっと浅い階層ならこの器具で頭を開けたんだけど、大きくなるとそうも行かなくて、無理矢理口を開かせてそこから槍を突き入れているね。口の中まで硬くなったらもうお手上げ。他のダンジョンで強くなってからリベンジするしか無いね」
アロンド叔父様は金鋏に似た道具を感心して見ているけれど、道具とかの準備をしないで力業で何とかしようとする探索者は結局稼げないと私は思う。
その後十五階層まで、一匹ずつ斃して終わり。
一旦街に戻って昼ご飯にした。
次はアロンド叔父様視点。
でもって、冒険者に成るのです×3は一旦完結設定にした!! 続きは追加シナリオ扱いだけど!
そっちも自信作なので興味が有ったら是非♪




