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洞を穿ちて察するが如く 氷の解けるが如く  作者: みれにあむ
第一部 王国記篇  第三章 神罰の雷《いかづち》
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(58)グリムフィード領の管理ダンジョン 十一と十二

 TUEEEにはしない予定が……。

 他の探索者達も頑張るんだよ!!(少女二人が有力株かな)

 今週はダンジョンを昼で上がったり休みにした日も有っただけに、学校の前日と言っても勉強詰めにならなくても良さそうだと判断する。

 それなら残り二つのダンジョンを、この闇の日の内に行ってしまおうと考えた。

 今日の内に管理ダンジョンの十階層迄制覇したなら、来週はランクC試験を受けよう。


「プルーフィア様ぁ。私もダンジョンに連れてって下さいよぉ」


 情けなさ抜群のカヌレの嘆きを背中に受けながら、私は今日もダンジョンへと走る。


 まずは魔罠のダンジョン。要するに、魔物が(トラップ)みたいになっている。

 それ以外の魔物が出て来ないから、ダンジョンに出現する罠に慣れるには最適。

 と言うよりも、よくぞこんな待ち伏せや自爆する魔物ばかり集まったものだと感心する。


 寧ろそれを言うなら魔境のダンジョンが多種多様なのかも知れないけれど。


 ただ、魔術師からすると全てばればれで訓練にならない。

 何か絡繰りの有る罠でも無いので、見付ければ壊す様に処理するだけと言うのも味気ない。

 淡々と通路上に在る罠だけを処理して進み、かなり早い時間に引き上げてしまった。


 一旦館に戻って、昼ご飯とラライラーラ様への祈りを捧げてから、最後のダンジョンであるアスレチックへと向かう。

 アスレチックは管理ダンジョンの中でも一番遠いから、ちょっと飛ばして走って行く。


 このダンジョンには魔物が出ない。そんな変わり種のダンジョンだ。

 魔物に成る筈だった魔力は、ダンジョン内の地形を動かす力として使われているらしい。

 つまり、昇降する床や伸び縮みする梁を伝って、先へと進むのがこのダンジョンだ。

 かなり楽しい。


 無属性魔力が使える私は結構大胆に飛び渡っているけれど、それが無ければ(さぞ)かし怖ろしい事だろう。

 しかし、やはり楽しいのだ。

 魔物が出ないから魔石も採れず、稼ぎの無いダンジョンにも関わらず、人の姿は結構目にする。

 そして二十階層迄辿り着けば、案外簡単に地形操作の固有魔法を得る事が出来るらしい。


 スピンボール・ルーレットの転がす魔法は変則的だったけれど、これこそ本当のスネアかも知れない。


 階層が浅いと起伏も小さく、一二階層では楽しそうに遊んでいる子供達も多い。

 階層が深くなると動きも起伏も大きくなって、背の低い私には不利になるけれど、道具を使えば差は無くなるし、無属性魔力を使えば途端に有利だ。以前から無属性魔力で大人程度の力は発揮出来たけれど、ダンジョンに潜って位階が上がったからか、大人四五人程度には強化されている。

 まぁ、腕力はそんなに強くなった気はしない。と言っても位階が上がると力も強くなるというあれは、パッシブの身体強化が掛かっている様な物だから、そこを全部自分でコントロール出来る魔術師には当て嵌らないのだけれど。身体強化すれば、多分結構な力持ちだ。


 鑑定で見てみれば、私の位階は七。世の中に知られている常識では、まだ駆け出しの探索者で、元の倍も力を出せる訳では無い程度。

 魔術師だからこそ得られる恩恵が凄まじい。


「よっ! とっ! たっ!」


 声を出して飛び跳ねてみるも、違和感が凄い。

 他のダンジョンで声を出す癖が付くと拙いと思って、音を立てずに移動する事を心に決める。

 人に見られている所では無属性魔力は封印する事に決めているから、道具を使ってぴょんぴょんと。

 良く撓る十フィート棒を使っての棒高跳び。鉤爪ロープを使っての崖登り。どこぞのトレジャーハンターの様に、鉤爪ロープを使って宙を渡ったりもした。

 いざとなれば無属性魔力が使えるから出来る、大胆なアクションだ。

 とても楽しい。


 七階層迄来ると、挑戦者達の中に見知った顔を見付けた。

 同期の女の子達が、果敢に難所を攻めている。

 伸び上がる柱に飛び乗って、一番伸びた時に壁へ向かってダッシュ! 壁走りで数歩歩いてからジャンプしたぎりぎりの場所に別の柱から突き出ている棘が在って、それを掴まえたら逆上がりの要領で棘に登る。今度は棘を足場に対岸の足場へとジャンプ。

 完全にスタイリッシュアクションゲーム仕様! 楽しそう!


 人が落ちそうな所には探索者ギルドが床マットを敷いているけれど、それでも危険には変わりない。

 だけどこんなのを見てしまえば、挑戦せずには居られないのだろう。


 因みに、ルートは決まって無い。先人が渡れそうな所を開拓していった結果のルートが今有るだけで、他のルートを行っても間違いじゃ無い。

 主要部分には輝煌石の灯りが設けられているけれど、それ以外の場所も見えるのは魔術師な私の特性だ。


 ふむふむとルートを吟味している私の前で、少女の片割れのミリアがマットに落ちる。

 もう一人のケニッカは棘を掴む所まで進んだけれど、棘に登る前に落ちてしまった。


「ケニッカは先に行ってればいいのに」

「まぐれよ。実力でないと、どちらにしても先には行けないわ」

「あ~、先に進んだケニッカにロープで引っ張り上げて貰う計画が~」


 少女二人の探索者が珍しいのか、周りに居る探索者の反応も柔らかい。

 私も彼女達に一言声を掛ける事にした。


「やぁ、久し振り。調子はどう?」

「「あ! ショー君!!」」


 絡まれたら面倒とは思っていても、そうで無ければ同期に特に隔意も無いから、普通に話し掛けてくる少女達とは直ぐに打ち解ける事が出来た。


「ショー君、学校にいないんだもの。もしかしてリンシャの学校?」

「違うよ? 一応貴族の係累って奴だから、通ってる学校が違うんだ」

「「……お貴族様だった!!」」


 目と口をあんぐりと見開いてから、少女達は焦りだした。


「やばい! ガルダーが処刑されちゃう!?」

「幾ら馬鹿でも処刑されるのは遣り過ぎよ!?」

「あはははは、そんな事しないよ? 大体あの時私は何も言わなかったよね?」

「……ショー君が理性的で、ガルダー助かった?」

「ガルダーはショー君にお礼するべ――しないわね。ガルダーだし」

「うん、しないね」


 そんな雑談をしている間にも、私の順番が回ってくる。


「「ショー君、頑張れー」」


 声援を受けながら挑むのもいい。バフ(強化の魔法)でも掛かった様な気になってくる。

 縮んでくる柱にダッシュして、少し駆け上って、ぐいっと攀じ上って、頂点に来る直前で壁へと向かってダッシュして、少し登りながらの壁走り。ぴょんと飛んで棘を掴んで、棘の上へとくるり立ち上がり、そこからは別ルート。

 背後の柱のそのまた向こうの別の柱、その高みにも棘が在る。後ろ手に鉤爪を投げて、しっかり引っ掛けたなら、急いでロープを手繰りながらの振り子移動。そして逆側の壁沿いに在る柱の上に悠々と着地。そこからは壁沿いの動かない柱の上をぴょんぴょん進んで、結構な高みまで上ったら、また振り子移動で出口直前の伸びる梁にどんぴしゃりで着地。


「おい、居なくなったぞ?」

「落ちてないよな? あれ……うお! 彼処だ! 出口の直前!!」

「何時の間に!? 確実に新記録出たぞ!?」

「新ルート来たか!? 探せー!!」


 盛り上がっている皆にばいばいと手を振って、私は八階層に移動した。

 アスレチック、凄い楽しい♪



 ~※~※~※~



「…………分かりました。ランクC試験の予約ですね。土火風水の日なら何時(いつ)でも構わないと。希望のダンジョンはございますか?」

「え? 希望出していいの? それなら鳥の洞窟かなぁ? ――あ、やっぱり無し! ……て、言ってもいられないか。オルカスさんかイサナさんかザメルさんが付いて来てくれるなら、樹海以外なら何処でもいいよ?」

「もしかして、知り合い?」

「ん~、手の内見せても問題無さそうな人。あ! ギルド長でもいいよ?」

「ふふ、ギルド長ね。いいわ、聞いといてあげる。

 それよりショー君、探索者に成ってから本当の所魔石はどれだけ稼げたの?」

「一杯稼いだよ? 十階層だけでも殲滅出来たら五百個近く手に入るし」

「殲滅、ね。――例えば他の人の居ない階層にショー君が行ったら?」

「当然殲滅するでしょ? 時間が経てばまた出現するんだから」

「ショー君がジュエルスターに行ったら?」

「仕事場でいちゃついている人達なんて敵と同じだよね! ロマンチック死すべし!!」

「同意!!」


 どうやら、私のした事が結構な噂になっていた様である。

 ロマンチック死すべし!!w

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