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洞を穿ちて察するが如く 氷の解けるが如く  作者: みれにあむ
第一部 王国記篇  第三章 神罰の雷《いかづち》
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(51)鳥の斃し方を模索する

 TUEEEにはしていないよ! 相性なんだよ!

 さて、スキルについては整理してみたけれど、ダンジョン固有の魔法とは何だろうか。


 原作では、ダンジョンは魔力溜まりに発生すると書かれていた。

 多くは大地の下を流れる魔力の流れの噴き出し口に。地脈とか龍脈とか龍穴とか書かれている作品も有ったかな。

 他には水の流れの傍らに水のダンジョンが出来たり、風の吹き荒ぶ谷に風のダンジョンが出来たり。

 珍しい所では強大な魔力を垂れ流す魔獣の住み処にもダンジョンが出来たりする。


 そういう意味では、この鳥の洞窟は珍し処の中でも珍しい部類だ。

 地上に鳥達の鳴き声が響いていた様に、とても強大とは言えない鳥の魔獣の魔力が凝って出来た様なダンジョンだ。

 地脈のダンジョンとは違って、いつ枯れるとも知れないから、そういう意味でも攻略の優先度は高い。


 こういう魔獣が関与しているダンジョンは、恐らくその魔獣が用いていた魔法なり魔術なりがダンジョンの固有魔法となっているのだろう。

 実際に、このダンジョンの周りに棲息する鳥の魔獣は、このダンジョンの鳥の魔物と同じ様な攻撃をしてくるらしいから。

 でも地脈のダンジョンや他の魔力溜まりのダンジョンは良く分からない。何故なら、混ざり合った魔力がどういう作用を引き起こしているか分からないから。

 結局固有魔法を得られないダンジョンというのも珍しくは無いらしい。


 スキルの場合は、神様の調整が入っていて、自分の持っている魔力の使い方を含めて伝授される感じ。

 ダンジョンの固有魔法の場合は、使い方なんて教えて貰えないけれど、魔法としての完成品を渡される様な物なのだろう。昨日までの私は二階層迄の部品しか手に入らなかっただけ。今日からはその気になれば十階層迄の部品が手に入って、それで何かの魔法が完成するならその魔法を使う事が出来る様になるのだろう。


 その部品をなるべく早く手に入れる為に、私は目に付いた魔物を殲滅するのだ。


 鳥の洞窟は、青黒い岩壁をした体育館程の空間が、二つ三つ繋がった形をした洞窟となっている。

 岩壁にはこの鳥の洞窟特有の枯葉色した薬草が、所々鳥の巣の様に見えるコロニー(群生地)を作っている。

 この薬草アニーラは熱冷ましになるけれど、大量に有るから価値は低い。とは言っても、一階層と二階層に生えていた分は、観光客に軒並み毟られて、今では殆ど見掛けない。


 逆に三階層に降りた途端、腰に着けた輝煌石の灯りに照らし出された辺りの様子は、鳥の繁殖地かの様なのだから、少しだけ笑ってしまう。

 鳥の洞窟に出る鳥の姿をした魔物は、何故かこのコロニーを巣に見立てて立て籠もるから、鳥の姿が見えなくても本当はどれだけ居るか分からない。


 その魔物を追い立てる為に、私は足下の小石を拾い上げて、薬草が揺れたコロニーへと投げ付けた。

 途端にピチピチと騒がしくなる。


 実は、鳥の洞窟はその固有魔法が有用故に一度は行くべき場所として知られているが、探索場所としての人気は無い。

 今も私の周りに探索者の姿は無く、時折見掛ける人も只この階層を通り抜けて行くだけだ。

 何と言っても鳥の魔物は小鳥の小ささで、しかも空を飛んでいる。しかも、今目の前でコロニーから飛び出てきた様に、一度に複数羽を相手にする必要が有る。

 つまり、多くの探索者にとっては相性が悪い。

 纏めて相手に出来るスキルが有るなら良い狩り場だが、そういう探索者はもっと深部で活動しているに違い無い。


 まぁ、だからこそ力よりも技を磨かなければ先が無い私にとっては、良い訓練場にもなるのだけれど。


 ――ピチ♪


 一鳴きして上空から矢の様に飛び込んできた小鳥の一羽を、横飛びに躱しざまの一振りで、見事ラケットは叩き落とす。

 前世で中学の頃はテニス部だったのだ。柄の長さが違っても、ラケットを振る感覚には馴染んでいる。

 次々と突撃してくる小鳥達を、避けて叩いて、また避けて。

 そうしている内に他のコロニーからも小鳥が飛び出してくるので、慌てる事無く避けて叩いて。


 そんな事が出来るのも、ここがまだ三階層で、一度に襲い掛かって来る小鳥が三羽程度だったり、突撃するその速さもゆっくり目のラリー(テニスの打ち合い)程度だからだけれど。

 ただ、折角準備してきたけれど、ラケットは余り良く無い。

 柄にしている棒が走り高跳び出来そうな良く撓る棒というのも有るけれど、思った以上に当て辛く、当たったなら当たったでラケットの痛みが酷い。


 一つの広場で出て来た小鳥は六十羽前後だったけれど、その後魔石を拾いながら、私は溜め息を吐いてラケットのアタッチメントを虚空蔵屋敷へと戻すのだった。


 ラケットを使わないのなら、槍だと前から決めていた。

 テニスのラリー(打ち合い)じゃ無いのだから、振り抜けば続く攻撃は()けるしか無いと分かっていたからだ。相手が一人でボールも一つだからラリーは続くけれど、相手が五人でボールも五個なら破綻するのは当然の事。それなら振るだけでは無くて、突くのも自在な槍の方が使える筈。

 そう思いつつもラケットから試したのは、出来るだけ安全を確保したかったからだけれど、どうにも我流は旨くない。

 ラケット術なんてスキルは持っていないから仕方が無いが、槍術なら五年の内にスキルを手に入れて持っている。

 独自路線を貫けない容赦の無さに乾いた笑いを溢しながらも、無属性魔力の腕と自分の腕とで、二本の槍をしっかりと構えた。


 それで望んだ三つの内の二つ目の広場。

 やっぱり六十羽ばかりの小鳥が現れて、斃せはしたが、どうにも槍も旨くない。

 もしかしたら槍は、と言うよりも剣も含めた近接武器は、自分よりも高い位置へと一撃を加えるのは不得手なのでは無いだろうか。

 踏み込みの勢いを乗せられず、言ってみれば手打ちの一撃でしか無い。私の様に非力ならば、尚更威力は地に墜ちる。


 それなら高所の敵には弓矢か鉄砲か投擲かはたまた魔術かと思いつつ、魔石を拾い集めて三つ目の広場へと向かう。

 十二の管理ダンジョンの地図はすっかり頭の中に入っているから、迷う事は全く無い。


 弓も私にとっては無属性魔力の腕でしか扱えない微妙な武器だ。それも弓を引いている間中魔力を消費するのだから、ちょっとコスパが馬鹿にならない。

 鉄砲なんて手を付けてもいない。魔術を延ばせばこれからも鉄砲が必要になる事は無いだろう。

 洞窟に散らばる小石を考慮に入れると、投擲が現実的。勿論スキルとして持っているから、色々と手を加える事が出来る。

 魔術は投擲の小石を加速するのが妥当な使い方だろう。魔力の消耗と回復がどの程度で釣り合うのか、それはこれから試していこう。


 方針を決めたなら、虚空蔵屋敷の空きスペースを一つ区切り、小石用の場所として確保する。

 辺りに散らばる小石をジャラリとそこに流し込めば準備完了。

 小石を一つコロニーに投げ込んで、シューティングゲームスタート。

 先程までとは違い、待機する小鳥達にも小石は飛んで撃破していく。

 撃ち落とせなかった突撃小鳥は、無属性魔力の手で簡単に捕まえられて、地面に投げ付けるだけで(とど)めとなった。


 う~ん……楽と言えば楽だけれど、ダンジョンの魔物を斃した武具もダンジョンの魔力で強化される事を考えると、ちょっとどころで無く勿体無い。

 悩みつつも、効率良く無駄にならない斃し方の模索は続く。


 結局三階層では二百個近いレベル一魔石が手に入った。感覚的には凡そ四千円というところ。

 次の階層からレベル二魔石になるから、魔物の強さも跳ね上がってくる可能性が有る。


 結局三階層に降りてからは一言も喋らずに、頭の中ではぐるぐると考えながら、私は四階層へと向かうのだった。

 とぼけた顔して……

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