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洞を穿ちて察するが如く 氷の解けるが如く  作者: みれにあむ
第一部 王国記篇  第二章 三つの街と広がり行く噂
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(27)揃う神像達

 いいね!機能追加、思ったよりいいね! どの回が面白いと思ってくれたのかが良く分かる。

 多分、これは読者数が少ない時よりも、増えた時に生きそうな機能だ。

 (でもそれより欲しいのは★★★★★なのは作者として仕方が無いね)

 完成した私の礼拝堂の中で、ごろごろ私は転がって行く。

 靴を脱いで上がる部屋は前世での記憶が多分に影響しているけれど、気楽な感じが素晴らしい。

 ごろごろ転がる私は障害物も何の其の。ごろごろ乗り上げて、ごろごろ踏破して、ごろんと転がり降りる。そしてまた逆回転でごろんと乗り上がって、ごろごろごろ。素晴らしい。


「プルーフィアは何をしているのかな?」

「山脈踏破訓練よ?」


 ごろごろごろ。

 ジャスティン山脈の踏破は中々遣り甲斐に満ちている。

 今度は倍速でごろごろと――


「くっくっくっくっ」

「ああ! 山は動かない!」

「じ……地震だね……くく……」

「もう! もう! ヴァレッタ救助隊出動よ!」

「ん~? ヴァレッタ隊行きますわよ~」

「くっぐふっくっくっぐふ……」

「あー! 地震が、凄い地震が!!」

「ぐひひ、参った、勘弁、もう勘弁!」


 到頭ジャスティン大山脈は山体崩壊して、プルーフィア隊とヴァレッタ隊は山裾に放り出されてしまった。


「反省が見えないわよ!」

「ご、御免って」


 そう、ジャスティンお兄様は只今絶賛お仕置き中なのだ。

 主に昔、私へと告げた言葉に拠って。


『そんなのは夢だ。忘れてしまえ! 憶えていてもいい事なんて無いんだから!』


 お兄様はお母様のお腹の中での想い出を否定したけれど、お母様が元に戻ったのは私がそれを憶えていたからだ。

 憶えていたからその事実をお母様に突き付ける事が出来たのだ。


 その事を私はお兄様に胸を張って示し、一つの要求を通した。

 即ち私の鍛錬の補助役である。

 それを疎かにするなんてとんでもない事だ。

 もしも本当にお母様のお腹の中での事を忘れてしまっていたのなら、今もまだお母様は壊れかけたままだったかも知れないのに。


 因みに、今日でジャスティンお兄様が王都から帰って来て五十三日が過ぎている。

 日付で言うなら十一月十二日の闇の日。一週間は光土火風水闇の六日で、闇の日は大体お休みだ。

 この間は出来事が目白押しだった。

 まず、ジャスティンお兄様が帰って来た二日後に、二十日少し後にお父様達がアクトー領での秋会合へ赴くから、それまでに神像を造って欲しいと言われた。

 それぞれの神像の初めに造った一体は礼拝堂に置きたかったから、私の時間はほぼ神像造りに費やして、何とか十柱二十体が完成したのが出発のほぼ二日前。その次の日に神様の解説書をこれも二冊書き上げて、五歳児にこれは児童労働なんちゃら違反ではと思ったけれど、引き渡す時に目を丸くして一つで良かったのにとか言われてしまって、何だか物凄く疲れてしまった。

 その間に、東都と西都の祖父母達や、探索者ギルドのギルド長をしているアロンド叔父様も呼んでの大一族会議も有った。

 そしてお父様とお母様、それからジャスティンお兄様が、私の礼拝堂の完成を見る前にアクトー侯爵領へと向かって、その二日後に私の礼拝堂が完成した。

 その後に、アロンド叔父様に連れられて、大河グラウプルの畔にも行っている。きっとお父様達が居たら許される事は無かったから、アロンド叔父様もネイサン叔父様も無茶をしたものだ。

 私の礼拝堂が完成してから丁度二十日後に、アドルフォお兄様も帰って来た。これが十一月の六日。

 アドルフォお兄様も、それから領内の学園への編入手続きだとか、領の現状の話だとかを聞いたりとかでばたばたしていたから、今日まで余りお話しする事は出来ていなかった。

 お父様達が秋会合から戻って来たのも二日前の十一月十日だから、今日が久々に皆揃ってまったり出来る日なのである。


 因みに、お父様達が秋会合へ行ってから、既に一月近く経っているので、神像もそれだけ種類が増えている。

 秋会合までに造ったのは、次に示す十柱の神像。


 太陽神ララィラーラ様は木像で。

 月神ルーナ様は石像で。

 星々の神リンディラ様は石像で。

 大地の神レゾフォス様は粘土で。

 職能の神エリーン様は石像で。

 商売と生産の神シムビス様は木像で

 生命の神エイラール様は石像で。

 豊穣の神レジム様は木像で。

 鉱物の神グロム様は銅像で。

 知識の神ロッシェ様は木像で。


 グロム様の銅像が一番大変だったけれど、結局精密な型を作って銅を流し込むのでは無くて、大まかな形をした中空の銅塊を造ってから石像と同じく無属性魔力の刃で刻んだ物である。


 そして、秋会合組が出発してから造り上げた神像の内、原作にも姿の描かれていなかったのが次の三柱の神様。


 虚空の神ロシュト様。

 昼の神ラス様。

 夜の神ルン様。


 正確に言うと、ルン様の姿については描写が無かった訳では無い。但し、夜の闇を恐ろしい物と位置付けたのか、邪神としての女神像だ。或いは全てを受け入れる様に両手を広げた女神像というそれだけの描写だ。

 私はラス様と手を繋いで踊っている説を採りたかったから、ラス様もルン様も可愛い縫い包みの人形とした。但し、頭身はそれなりの、だ。

 ラス様の服は晴れ渡った空の色。袖は朝焼けと夕焼けの茜色へとグラデーションさせて。胸元には太陽のペンダントを付けて。

 ルン様の服は呑み込まれそうな夜の色。少し星を(ちりば)めて、やっぱり袖は茜色。髪には月の髪飾り。

 それをレゾフォス様の神像を挟んで配置して、両手を繋げて輪にさせた。レゾフォス様の両脇から互いの顔を覗いている様にポーズを付けた。

 こうすれば、ルン様単体で見ると両手を広げた女神様に見えるけれど、実はその手はラス様と手を繋いでいるのだと、そういう風に見えるだろう。


 その出来映えに満足して、思わずまんまんちゃんあんとする様に、ラス様とルン様がいつも楽しく踊っていられます様に、と、レゾフォス様にもラス様とルン様を見守っていて下さい、と、そんな訳の分からないお祈りをした。

 すると、レゾフォス様の粘土像が動いた。ラス様とルン様の縫い包みを順番に見下ろしてから、溜め息を吐いた様に見えた。

 だから私は慌てて、ルン様が邪神呼ばわりされていたりするから、それはあんまりだと思ったのだと、製作の意図を告げる。

 レゾフォス粘土像はラス様とルン様の縫い包みの頭を撫でて、また初めのポーズに戻って動きを止めた。ラス様とルン様の縫い包みも、その時一瞬私へと楽しげに目を向けた様な気がする。


 これはきっと奇跡とかそう呼ばれる出来事だったのだろう。

 この時にきっと祝福だとかも貰っているから、それは確かな事なんだけれど、でもそれよりも、神々の世界の事は知らないけれどレゾフォス様はきっと普段もラス様やルン様に懐かれて、さっきみたいな困った顔をしているのだろうと思ったのだ。


 そしてもう一つ。ゲームのプルーフィアは、もしかしたらルン様に祈りを捧げていたのでは無いだろうか。ゲームでは闇の御子とされていたけれど、実は夜の祝福だったのでは無いだろうか。

 確か、旧礼拝堂から持ち出されたがらくたの中に、小さな女人像が有った。助けてくれない聖神ラーオに失望したプルーフィアは、ラーオとは違う女神に救いを見出して、こっそりと祈りを捧げていたのでは無いだろうか。ルンの支配する夜の時間に。

 夜の闇から恐怖を連想する事も有るかも知れないけれど、真実夜が恐怖の象徴ならそんな中で無防備に眠れる筈が無い。夜の神ルンが司るのは精神の癒しと静寂だ。きっとルンは祈るプルーフィアに憐れを感じてくれたのだろう。


 けれど、ちょっとほっこりした気分になれるラス様とルン様とは違い、ロシュト様はちょっと酷い事になってしまって後悔している。

 星々の輝く虚空から思い付いてしまったのが、暗いダンスフロアと煌めくスポットライトにミラーボール。土曜日の夜にフィーバーする人。

 今世での週末は闇の日だから、イメージとしても合っている。

 それらがごちゃ混ぜになって出来上がってしまったのが、顔を隠す深いフードと足下まで届く漆黒のローブに輝く星々を煌めかせ、天と地を指差してポーズを決める正体不明の男神。

 それに合わせて追加で造ったリンディラ様も、お揃いのダンスドレスでノリノリのポーズを付けてみた。


 出来上がってから我に返って、これは無いなと思ったけれど、その時ロシュト様とリンディラ様の衣装に埋め込んだ色取り取りの星々が瞬いた。丸でこれが気に入ったとでも言う様に。

 御蔭で神像の並ぶ一角が、異様な雰囲気になってしまっている。


 因みに、属性神の中では土の神ムドー様と、光の神ジラー様、それから闇の神ロアン様しか造れていない。

 水の神スイラ様は、その気になれば氷を削って作る事は出来るけれど、直ぐに溶けてしまうだろう。魔の神シャフ様、死の神フォス様、火の神ボロム様、風の神フルム様、雷の神ディーン様については、そもそも形を作れない。火や水その物に祈りを捧げるのが一番早くて間違いが無い。


 それでムドー様は粘土像にした。普通の土ではやっぱりどうしても固まらない。土台にした土の上に粘土像を立てているから、それで許して欲しいところ。

 ジラー様とロアン様はつい最近まで造っていて、漸く完成した最後の神像だ。

 と言っても像は一つ。薄墨色の色硝子で仮面を付けた怪しい人物像を造って、幹竹割りに真っ二つにする様に衝立を設けた土台に設置する。衝立の側面と後ろの壁を白く塗った右側に輝煌石の灯りを設け、左側は側面と壁を黒く塗り潰す。ギターを持った次郎さんか、海の中に領地の在る男爵様みたいな感じだ。

 こうすると、光っている白い側からは神像が闇の神ロアン様に見えて、影になった黒い側からは神像が光の神ジラー様に見える。

 そして像を造り上げた時に、誰かが正解と告げたかの様に多分私は祝福を得た。看破とかそんな感じの力だと思う。


 きっと王国初の神の名を知る者として、神々の注目を浴びているのだろう。

 もう慣れたけれど、祈ってもいないでのこれには、初めはちょっと吃驚したから。

 でも、一応これで知る限り造れる限りの神様の像は揃った。漸く他の事にも手を付ける事が出来そうだ――


「お嬢様? 私も神様にお祈りしたい時は、此処に来ていいの?」


 ――と思ったけれど、そんな考えは甘かったらしい。

 差し入れのクッキーを持ってきてくれたメイドさんと暫し視線を交わす。


「……分かった。皆の為の神像も造っておく」

「あ、プルーフィア。お父様からも話が有ると思うが、神像は偉人の像と偽って街にも置く事になりそうだ。

 だから、うん、家の分も含めて最低でも四組は必要になると思う、よ?」


 いえ、全然足りなかった。なんてこった。

 私は暫し、本気で放心したのである。

 運営に実は要望出してるけどどうなるかなぁ。本文中タグで話数ジャンプ出来る様になれば、ゲームブック風な作品が作れそうなので<<5>>とかで5話にジャンプ出来る様にして欲しいなーと要望出してます。そんなに難しそうに思わないけどどうなんでしょう?

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