表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
洞を穿ちて察するが如く 氷の解けるが如く  作者: みれにあむ
第一部 王国記篇  第一章 神の名前と祈りの作法
10/95

(10)思い立ったが吉日

 一話三千文字なら毎日更新も出来るの……か?

 まあ、この作品だけならという事でしょうね。

 原作世界には、ダンジョンと思われる物が色々と名前を変えて登場した。

 エーリーンの森では、精霊へと進化する為の、神秘の祭壇として。

 スグトヴァルドの荒野では、魔王の思念が残る幻影の洞窟として。

 嵐の山中でライバッハ達が一夜の宿とし、悪夢との戦いを繰り広げた山肌の洞窟もそう。

 収蔵されている宝物が、年代を経る毎に力を増すと伝えられている、フォルム王の秘密の宝物庫もそう。


 でも不思議な事に、それらは同じ物なのではとのインタビューに、原作者は否と答えていたのを憶えている。


 当時はファンの間でも論争が起きていた憶えが有るけれど、今思えばもしかして原作者も分かっていなかったのではと考えてしまう。

 原作者は、本気でこの世界の一シーンを電波的に受け取っていただけで、原作者の中に設定だとかは無かったのでは無いかと。

 それならあの刊行ペースも理解出来るし、インタビューへの妙ちきりんな回答も納得だ。


 まぁ、そんな原作者の事は置いとくとして、私が原作を読み込んで結論付けたダンジョンの真実を述べよう。

 私が得た結論、それは、ダンジョンは魔力の集積装置という事だった。


 作品毎に名前が違うから、ここではダンジョンで統一する。

 ダンジョンには魔物が出る。魔物を斃しても、固形化した魔力である魔石以外は落とさない。ドロップアイテムも無ければ、死体も霞と消えてしまう。

 ダンジョンに宝箱などは出ない。しかし、先に探索した者達が残していった様々な道具が見付かる事は有る。そういった道具は稀に魔力で強化されていて、高額で取引される。

 ダンジョンには属性が有り、同じダンジョンで活動していると、固有の魔法やスキルが使える様に成る可能性が有る。

 ダンジョンで活動している方が強く成れる。但し、ダンジョンで何処まで強くなれるかは、個々のダンジョンで上限が決まっている。


 神秘の祭壇も、幻影の洞窟も、山肌の洞窟も、秘密の宝物庫も、この点は共通している。

 これで違う物だと言われてファンが混乱するのも当然だ。


 序でに言うと、生き物にも属性が有る。

 人族は弱い全属性か或いは無属性と言われている。

 半妖精と言われているシルフェンは風属性に偏り、エルフィンは森属性に偏っていると言われている。

 エーリーンの神秘の祭壇は、森属性のエルフィンを、更に森属性に偏らせる物と考えれば、どうして進化するのかも筋が通ってくる。


 ここまで推測通りだと、暫定にしろほぼ確定と思っていいだろう。

 この世界が原作世界と同じかどうかは、実際に自分でダンジョンに入って確かめるしか無い。

 それは流石に五歳では無謀だ。


 ただ、其処までの確証を得なくても、お父様に話をして手頃なダンジョンの整備をして貰う事は出来るかも知れない。

 そうなったなら、きっとダンジョンは探索者だけの物では無く、領民の観光地や小遣い稼ぎの場にもなるだろう。

 逃げるにしろ戦うにしろ領民の力の底上げは必要で、魔石が確保しやすくなるなら領の発展にも期待出来る。そして私がダンジョンデビューする時にも、きっと安全に探索が出来る様になっている。


 まぁ、そんなに都合が良く進む訳が無いけれど、それを論じれる程には私はこの領の事すら知らない。

 生まれからの虚弱体質の所為で、これ迄ずっと館の敷地の中だけで過ごしてきて、街にすら出た事が無いのだから。


 だから、今私がやらないといけないのは、まずはお父様に私の考えを相談する事と、今の私でのお勉強のやり直しと、実際に街に出てみる事ね。

 それで知識の不足が補えたなら、もっといい案が浮かんでくるかも知れないし、違う方向性の解決策が見えるかも知れない。

 下手の考え休むに似たりと言うし、百聞は一見に如かずとも言われてた。頭の中だけで考えた事が上手く行く筈は無いんだから、仮定を立てたなら後は実験して実証していけばいい。それで間違っていたなら修正していけばいい。それが科学的思考というものだ。


 そうと決まれば思い立ったが吉日と、私はその場を離れてお父様の執務室へと向かった。

 前世の私ならずっと考え込んでいそうだけど、五歳のプルーフィアは挑戦心を前面に出していくんだから!



「――そうか。プルーフィアは戦争が起こると思っているんだね?」

「分からないわ。だって私の魂が知ってる事って、観光案内みたいな感じで本当の事か分からないもの。

 王都の貴族は、教会派の貴族以外を人として見ていないって私の魂は感じているけど、それもお兄様達に聞いてみないと確かめ様が無いわ。

 でも、もしも戦争になっちゃったら、王都の騎士団には敵わないのよ」

「それは王都の騎士団がダンジョンで訓練しているからかい? う~ん、グリムフィード騎士団も、魔境に接しているだけに精強で鳴らしていたんだがなぁ」


 運良くお父様が執務室で一人だったからと、突撃して話をした。

 思いの外にお父様は真面目に話を聞いてくれているけれど、少し戯ける様な態度を見せたりと、ちょっと危機感が足りないと思う。

 むん! と腕を組んで睨み付けてはみるけれど、きっと五歳児の私では迫力が足りないだろう。

 それを補うのは何時だって言葉しか無い。


「ダンジョンで鍛えたら強くなるのは、ダンジョンの魔力が加わるからよ?

 そして人族の魔力は無属性に偏っていて、他はどれも少しだけ。

 王都の騎士団が訓練に使っているのは無属性のダンジョンで五十階層も有るわ。

 例えば無属性魔力が十だったとしてね、ダンジョンを一階層下ればダンジョンの魔力が一加わるとしたら、王都のダンジョンの十階層で訓練している騎士の無属性魔力は二十。同じ十階層で鍛えていても、それが水や火のダンジョンなら、魔力は十少ししか無いわ。

 同じ様に鍛えているつもりでも、倍も違ってしまうのよ。

 それに向こうは五十階層も有るんだから、技で凌ごうと思っても力で蹂躙されてしまうわ。

 学園ダンジョンは土属性だけど、二十階層踏破が卒業資格だから、王都の貴族は全員それだけの実力が有るのよ。

 軽く見ていたら、遊び半分で嬲り殺しにされてしまうわね」


 そう、この王都のダンジョンが恐らく王国を王国たらしめた力の源泉だ。

 想定する敵が武力チート持ちというのは、中々にきつい物が有る。

 しかもその武力チートなダンジョンは、チートな敵騎士を量産するのだから、勝負が出来ると思う事がまず間違いだ。


「此処の騎士が訓練しているのは森のダンジョンの三十層。……確かにプルーフィアが言うのが本当なら、王都の騎士の実力を上方修正せねばならんな。

 しかしそれならプルーフィアの魂は、何をすれば良いと言っているのだ?」

「それは分からないのよ。観光案内みたいに王国の事を知っているだけなのよ? 私も街に出た事なんて無いし。

 でも、王都や教会には知られずに、領民皆の実力を底上げしないといけないのよ。

 私は弱めのダンジョンを幾つか見繕って、低階層ならピクニックに行けるくらいに整備しちゃうのはどうかと思ったのだけど。

 魔物を斃さなくてもダンジョンに居れば少しは強くなるのよ。鍛えてると思わせずに鍛えられるし、魔石がそれだけ手に入れば領も豊かになるし、ダンジョンで大怪我をする初心者も減るだろうし、何か有った時に魔境に逃げるのも出来るかも知れないわ。

 ねぇ、お父様、魔境の向こうには何が有るの? 魔境を抜けて、別の国まで逃げる事は出来るのかしら?」


 多分私は五歳の子供らしからぬ言葉を喋っていたのだろう。

 お父様は必死に言い募る私の瞳を、真面目な顔でじっと見詰めていたのだった。

 まだ安定しない。書き始めは中々上手く行かないね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ