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第25話 信じてくれて、ありがとう

 アレクサンドとフォーティスは、別の場所にいたアンゼリカ、ソフィアと合流していた。

「―――あーあ、本当に時間戻しちゃったよ」

 半分呆れた声をあげるアンゼリカに、アレクサンドは苦笑交じりに言う。

「すまなかったね。でも、君もこうすることに異論はなかっただろう?」

「……まあ、そうなんだけど」

 アレクサンド達は、人類の殲滅を始める前、話をしていた。もしも実結(みゆ)が、特級(とっきゅう)であることを全人類に知られたとしても、何の見返りもなく人類を守る道を選んだとしたら、自分達は手を引こうと。


 ―――特級が堂々と生きられるように人間を滅ぼす。それが過去にただの人間が特級にしたこととあまり変わらない気がしました


 実結からそう言われなければ、きっと手を引くという選択肢さえ、自分達から出なかっただろう。実結はまさしく、自分達が道を外しそうになっていたところを救ってくれたのだ。

「あの、これからどうするんですか?」

 見上げて来るソフィアの頭を、アレクサンドは優しく撫でる。

「さて、どうしようか。ボクの別荘なら、人払いを済ませれば、みんな一緒に生活できるかな」

 そんな話をしながら、アレクサンドはふいに足を止めた。他の特級達も彼にならって足を止める。全員が、ずっと気づいていた。

「……ルーさん、お久しぶりですね。五年ぶりでしょうか」

 アレクサンドがそっと振り返ると、少し離れた場所にルーが立っていた。

「もうそんなに経っていたんだね。時の流れは思ったよりも早いみたいだ」

 微笑んで返すルーに、アレクサンドも微笑む。アンゼリカ達はアレクサンドの様子を見て、ルーは敵ではないと判断した。彼らの間に流れる空気が、とても穏やかなものになる。

 それから少しの間だけ、ルーとアレクサンドは話をした。会っていなかった五年間の出来事を、簡潔に。それでも空気が重くなることはない。

 やがて、話に満足したのか、ルーは話を切り上げる。

「僕はこれで失礼するよ。……ミユちゃんのことを信じてくれて、ありがとう」

 そう言って立ち去ろうとしたルーに、アレクサンドが尋ねる。

「ルーさん。あなたなら、ご友人が殺される前まで時間を戻せるのではないですか?」

 立ち止まったルーは、アレクサンド達に背を向けたまま答えた。

「うん。きっと戻せるだろうね。でも、僕はしたくない」

 ずっと思っていた。あの日まで時間を戻して、親友も家族も故郷も失わない未来に変えたいと。だが、その魔法を知ったのは、マギステルと出会った後だった。

 それから、アプレやアレクサンド、実結、そして。


 ―――この魔法を完成させて、ルー君が辛い思いをしない世界に連れてってあげる!


 そんな約束をして、姿を消した、あの子。

「僕には大切な人がたくさんいる。彼らを無かったことにしてまで戻ったら、あいつに怒られてしまうよ」

 だから自分は、自分の為だけに時間を戻さない。

 そしてルーは、そこから立ち去った。残されたアレクサンド達は、再び歩き出す。


 人類の殲滅は無かったことになり、ティラエアの時間は、平穏に進みだした。


次の話から第3章に入ります。

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