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プロローグ

 今回は異世界転移ものを書かせて頂きました。投稿日時は前作と同じで、毎週月曜日の朝10時を予定しております。前作からそこまで経っていませんが、暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。

「次の方、どうぞー!」

「はーい」

 見えない空間の向こうから、検査の担当員の声が聞こえ、私は返事をした。そして、目の前にある見えない空間に入る。“空間魔法”によって外界から隔離されたこの場所の中は、外から見えないし何も聞こえない。このようなプライバシーが関わる検査には必要な魔法だ。

 担当員に検査用紙を渡すと、身長や体重を測る前と同じことを聞かれる。

「学年組と名前を教えてください」

「一年三組の白菊(しらぎく)ミユです」

「では、こちらの水晶に右手で触れてください」

 担当員に促され、私は目の前の白い台の上にある、透明な水晶に右手で触れる。この水晶は、触れた者の魔力値によって、色を変化させる。私が触れた水晶はたちまち色を変え、橙色寄りの黄色になった。

「えーっと、白菊さんの魔力値は、“B(プラス)”ですね。一年生でこの値なら、卒業までにAランクに行ける可能性が高いですよ」

 検査用紙の欄に魔力値を書き記すと、担当員は私ににっこりと笑いかける。私も曖昧に笑いかける。良かった。今回もなんとかごまかせた。

 この世界は、魔力値によってランクが分けられる。水晶の色が白色から橙色ならA(プラス)~A(マイナス)、黄色から緑色ならB+~B-、水色から紫色ならC+~C-になる。魔力値はこの世界ではかなり重要視されているもので、就職先はこの魔力値で選べる範囲が変わるのだ。まあ、選べる範囲が変わると言っても、C-だからって奴隷にしかなれないと言った差別があるわけではなく、ごく些細な違い程度だが。このランクで考えると、私は真ん中より少し上くらいの魔力値と言ったところだ。

 これで私の健康診断は終わりなので、検査用紙は担当員に渡したまま、見えない空間から出る。もといた体育館の、まだ健康診断が終わっていない生徒の列を眺めながら、私は体育館から出て行った。

「あっ、やっと出てきた。こっちこっち」

 体育館の外で待っていた女子生徒三人のうちの一人が、私に声をかけて、手招きする。私は軽めに走って、彼女達に駆け寄る。彼女達は、中等部からの友人だ。そして、私の秘密を知っている数少ない人達でもある。

「これで今日終わりだし、ミユん家に遊びに行ってもいい?」

「いいよー。寮に戻っても暇なだけだし」

 そんな会話をしながら、私達は学園の校門をくぐり抜ける。


 さて、ここまでの間で、魔法や魔力なんて単語が当たり前のように出ている時点で、私の言う“この世界”が普通とは異なることに気づいただろう。そう、ここは誰もが魔法を使える世界だ。今から三年前、私はこの世界に偶然、やってきたのだ。


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