62話 オルトロス継戦
デュークの猛攻を受けオルトロスは前回、自分を倒した時と同じ様に雄叫びを上げ、体を一回り大きくさせた。
恐らく此処からは全力で行くって事なのだろう。
それでもなおデュークは一歩も引かず戦ってくれた。
デュークが戦ってオルトロスの注意を引き受けてくれている間になんとかゴウキ、ハクレン、自分は動ける様になった。
ただ、その頃にはデュークの黒かった骨が徐々に白くなり攻撃が弱々しくなっていた。
そんな弱々しいデュークではオルトロスの攻撃を盾で弾き返すこともできず、遂にまともに攻撃を喰らい吹き飛ばされる。
『回復魔術Lv2』を使いデュークを回復させようとしたが『狂化』のスキルによって回復系のアイテムやスキルは効果が無くなっている様で、そのまま死に戻りしてしまった。
デュークの頑張りで大勢を立て直す事ができた。
ゴウキ、ハクレンのHPを全回復させてMPを使いすぎた為、イナバとオリーブとの『合体』を解除する。
「ありがとう、イナバ、オリーブ」
イナバとオリーブを送還して新たにルフとビャクを召喚する。
「出番だよ。ルフ、ビャク」
もう1体、召喚できるが後の事を考えて温存する。
ルフの素早さと『風属性魔術Lv3』、ビャクの魔術攻撃力とMP量が合わさればより強い魔術で大ダメージを与えられる。
「ゴウキ、ハクレン!こっからは全力で行って良いよ」
「ギヒ」
ニヤリと笑うゴウキとゆっくりと頷くハクレン。
特にゴウキはデュークがやられてからはフラストレーションが溜まりまくりで全身に力が入りまくっていた。
ゴウキとデュークは一緒にいる事が多いからね。仲間がやられた事にイライラしてたんだと思う。
今はそれを解放できる事への喜びが溢れ出していた。
ゴウキは『鬼気』と『鉄拳』を使用する。
ゴウキの拳は鉄の様に頑丈になり、周りに赤いオーラが現れ一時的に身体能力がパワーアップする。
ハクレンは『鬼化』を使用している。
鬼の角が生え鬼の様に強くなっている。
ゴウキは手に持った斧と鉄の様に硬くなった拳で右側からオルトロスに攻撃を行い、ハクレンは手に持ったロッドで左側から攻撃する。
自分はルフと『合体』した事で翼が生え、攻撃が当たらない空中に移動する。
魔術のLvが3になっているのは従獣達の中でもルフだけ。そして従獣の中で1番魔術攻撃力、魔術防御力、総MP量が高いのがビャクである。
ビャクの場合、代わりに他のステータスが1番低い。まぁステータスも自分調べだからあまり正確では無いんだけど、間違ってはいないと思う。
要するに、そんなルフとビャクと『合体』した今、放つ『風属性魔術Lv3』はこれまででも最強の魔術となるって事になる。
「ストームカッター!」
ウィンドカッターが複数荒れ狂いながら、オルトロスに襲い掛かる。
ドゴンッ!!!
通常のルフが出すストームカッターは3、4個のウィンドカッターが発射されるのだが、ビャクの魔術攻撃力が上乗せされた自分が使うと10個以上のウィンドカッターが発射された。
普通のモンスターであれば全身を切り刻まれて終わりであろうがオルトロスは耐え切った。
しかも、ゴウキとハクレンの攻撃を受けつつ耐え切った。なんつー耐久力だよ。
その後も何発か魔術を放ったがオルトロスは全てを正面から受けて耐え切ってみせた。
どうやら、ゴウキとハクレンも体力に限界が見え始めたのか最初程の勢いが無くなってきている。
「グルゥゥゥゥオオオオン」
そんな隙をつく様にオルトロスは2度目のパワーアップをした。
身体が大きくなり、先程迄とは段違いに速くなった。
これには耐えきれずゴウキとハクレンが吹き飛ばされてしまい、その衝撃で死に戻りする。
ゴウキとハクレンはよく頑張ってくれた。
恐らくオルトロスのHPを半分以上削ってくれたであろう。
自分も残り少なくなってきたMPを使い魔術を発動する。
「ストームカッター!!!」
地面に着地してルフとビャクとの『合体』を解除する。
ルフとビャクもありがとう。
ここからは後半戦だ。
マメ、コン、マナ、レオン、リオンを召喚する。
マナとリオンと『合体』する。
マナとの『合体』でMPを回復させつつリオンの素早さでオルトロスの攻撃を躱す戦法。
マメとコンのコンビネーションは健在で正直、2人がかりならゴウキにだって勝てると思う。
コンがオルトロスに接近して素早い動きで翻弄しつつ、短剣で攻撃。コンに夢中になっているオルトロスの隙をついマメがハンマーで殴打する。
息の合った2人の動きに隙はない。
なんせ、クラン対抗戦の際にアオバラやサクラに直接鍛えてもらったからね。
勿論、レオンと自分も見ているだけでなく攻撃する。
レオンの爪の攻撃に合わせて自分もリオンと『合体』した事で伸びた爪で攻撃する。
マメとコンの攻撃を主体でレオンと自分でフォローする感じでオルトロスを追い込む。
攻撃力は先のゴウキやハクレン、デュークの猛攻には劣るがコンビネーションとか素早さではこっちの方が上だ。
オルトロスは先程までの殴り合う様な戦闘から一転して、スピード感のある戦闘に切り替わり追いつけなくなる。




