表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/106

12話 それぞれの視点

■ミタカ


ワシはゲームが好きなお爺ちゃんじゃ。

人里少ない田舎で悠々自適な暮らしをしているせいか、最近は人との交流が少なく寂しい。


オンラインゲームじゃったら、色んな人と会話ができて認知症の対策にもなるじゃろうと始めてみた。

思いのほか楽しくハマってしまった。


特に攻略組と呼ばれるゲームの最前線で遊んでいる様な人達は面白い奴が多いと思う。


最新の話題作を手に入れから、ネットで色々と下調べすると魔人族が1番強いという評価じゃったから、魔人族で始めた。


キャラクタークリエイトで、なるべくリアルに近づけたのじゃが、作成できる最高年齢が50歳ぐらいまでじゃったから、髭とかつけて誤魔化した。


初日は攻略情報をもとに最初のBOSSを発見し、何度もBOSSに挑んでようやく、勝てそうな所まで来た。


その日もBOSSに挑む為に森に入る。

少し気分転換がしたくなり、BOSSへの道を外れ森の奥の方までやってきた。


すると何処かから美味しそうな匂いがした。

その匂いに釣られ、森の中をさらに奥へと進んでいくと動物と戯れる女性プレイヤーがいた。


今まで攻略組と呼ばれる変人集団とばかり接してきたが、こんな攻略とは関係の無いところで、『料理』という趣味スキルで動物と戯れているプレイヤーに興味を持った。


『テイム』している動物を見て掲示板で話題になっていたモフモフさんと言う事もわかり、このプレイヤーを攻略組と呼ばれる変人集団の中に入れるとどうなるのか試してみたくなった。


話しかけて一緒にBOSSへ挑む様に持ちかけた。断られたらそれまでじゃが、あっさりと了承され拍子抜けしてしまった。


戦闘は掲示板で話題になっていた通り物干し竿みたいな棒で空中に飛び上がりそこから攻撃する感じじゃった。


ワシは勝つつもりでBOSS猪を請け負った。

何度も挑んで攻撃パターンも読めており周囲の雑魚猪に注意する必要がなければ、負けは無いじゃろうとも思った。


じゃが猪を追い詰めてもう直ぐ勝てるといったところで、今までにない攻撃をして来た。

見た事のない攻撃モーションで少し距離を置いて警戒はしていたが、少し距離を置くだけじゃ足りんかった。


負けたと思った。体は痺れて動けないし、事前に聞いていたミヅキのレベルと戦闘方法を加味しても負けは確実じゃと思った。


じゃが、ミヅキはワシが復活するまで持ち堪えて見せたのじゃ。


その後は、なんとかBOSSを討伐することが出来た。

久々にハラハラドキドキの冒険が出来た気分じゃった。


人間とは誠に業が深い生き物で、一度満足しても次は前回より良いものをとより上を目指してしまう。


ワシも人間じゃからもっと面白い事をしたいと思ってしまう。



■ディアナ


私はディアナ。

親友のティアーナちゃんに誘われてゲームを始めた。


種族が巨人族なのはランダムで決めたから。

それに普通の巨人族じゃなく、巨人族(純血種)だ。

ティアーナちゃん曰くレアな種族らしいから、あまり言いふらすと余計な恨みを買うことになって面倒だから言わない方がいいって言われた。


その日はティアーナちゃんからBOSS攻略に誘われた。

ティアーナちゃんと一緒なら何処でも良かったから二つ返事でOKした。


BOSS戦は咆哮が厄介だったがスキルで案外簡単に倒せた。

私よりも大きい敵の相手は初めてで戸惑ったけどティアーナちゃんが肩に乗って指示を出してくれたから倒せた。


第2の街についてからは驚きの連続だった。

第2の街は第1の街より廃れていて少し見て回ったがお店も殆どやっていなかった。


噴水広場に戻ってくるとお爺ちゃんと黒髪猫耳の美人が立っていた。どうやらBOSS戦を終えたばかりみたい。


ティアーナは普通に話しかけに行った。

私はそう言うのは苦手だから毎回、ティアーナは凄いなと思う。


猫耳の美人はミヅキと名乗ってからは会話には一切参加していない。私と同類だ。


暫くすると突然、ミヅキさんの体から黒豹が出てきた。ビックリしたが、それよりもミヅキさんは白髪だった事と、さっきとはまるで印象が違う。


さっきまでは近寄り難い黒髪の美人だったのに今は美人の中にあどけなさを残す感じで、物語に出てくるお姫様みたいな印象だ。


ティアーナちゃんも驚いてる。


その後は一緒に狩りをしたがミヅキさんもミタカさんも凄く強かった。

正直、私とティアーナちゃんが一緒になれば負け無いとは思うが、ミヅキさんが見せてくれたのは白猫ちゃんとの『合体』だけで白兎ちゃんと黒豹ちゃんとの『合体』があるからまだまだ本気は見れなかった。


ミタカさんも奥手をまだ隠し持ってる感じだったってティアーナちゃんが教えてくれた。


フレンド交換もしたし、また遊ぶ約束もしたから、ミヅキさんと会えると思うと少し心が弾む気がする。


■グレン


俺はあと数日で高校生になる。

幼馴染3人と同じ高校に通う予定だ。


そんな春休みに発売されたゲームの抽選に当たって幼馴染4人組でゲームを始めることになった。


ゲーム開始、3日目にしてようやく最初のBOSSを討伐することができた。

普段は攻略の最前線に入れる事があまり無いから今は凄い楽しい。


一旦、昼休憩をはさんで再びログインする。

相変わらず第2の街は廃れているのは仕方ない。

何か物語に関係してくるだろう。


「さあ、本日もシャキッとやるか」

「あんまり、張り切らないでね。あんたに付き合うと私達も疲れるんだから。ねぇカナタ」

「うん。そうだね」

「グレンが元気なのはいつもの事じゃん」


魔術師風の格好なのがリンカ。家が隣同士で付き合いは1番長い。


次に僧侶風の格好なのがカナタ、幼馴染から見ても可愛い感じのThe女子って感じで誰に対しても優しい。

カナタには中学の卒業式にこっそり告白しているが返事は保留にされている。


そして槍を担いだヤンキー風の格好が幼馴染兼親友のミツル。


みんな大切な俺の幼馴染だ。


■カナタ


ログインして驚いた。


みんなで一緒にログインして直ぐに視線を感じた。

何故か私は昔から色んな人から視線を集めてしまう。

だから、今日も視線を感じいつもの事かと思ったがふと視線を感じる先へ振り向いて驚愕した。


第2の街にプレイヤーがいたのは驚かなかった。

兎と猫と豹がいる事にも驚いたが何よりも此方に視線を向けるプレイヤーの美貌に驚いた。


私も結構、容姿には自信があったんだけどな。

会釈してその場を離れ、前を歩く3人に追いつく。


3人と一緒にいるのは凄く居心地が良かった。

周りからの嫌な視線から守ってくれるのも皆んなだった。


多分、私の人生においてかけがえの無い最高の友達だろうと断言できるくらいには、皆んなの事を信頼している。


だけど、最近になって、そんな仲も永遠では無いんだなと実感した。

実はグレンくんに先日、告白されたのだ。


グレンくんの好意には気付いていた。

今のこの仲が壊れるのが怖くて気づいていないフリをしていた。

今も仲が壊れるのが怖くて告白を保留にしている。


そう、告白に対する回答は既に出ている。


だって...だって私、女の子が大好きだから!!!

正直、グレンくんはイケメンだと思う。


だけどやっぱり男の人は無理。

どんなにカッコ良くてもドキドキしないのだ。

それが女の子相手だと小さな仕草でもドキッとしてしまう。


この女の子の全てを支配してしまいたいと思ってしまうのだ。


今の私の心を打ち明けた時に幼馴染達はどんな反応をするのか。この関係は必ず変化するだろう。


今はそれが怖くて仕方がない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ