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10話 BOSS猪 VS パンサー

久々の『合体』。

ゲーム初日にイナバと『合体』して以来の感覚だ。


テスカと『合体』した事で体が軽くなった感覚。

イナバの時も素早さが上がって体が軽くなったがあの時の比ではないな。

見た目の変化としては上下2本ずつの牙が生えてきて、黒い耳と長い尻尾が生えてきた。


手は大して変わっていないが、太腿のあたりは下に行くにつれて黒くふさふさな毛に覆われている。膝下に関しては、完全に豹の足になっている。


イナバと『合体』した時も似た様な感じだった。


「行くよ。テスカ」


グルゥ!!!

身体の中でテスカが返事した気がする。


BOSS猪に正面から向かう。

自分を敵と認識したのか突進してきた。


物干し竿を地面に突き立て、上空へ跳ね上がる。

テスカのステータスも合わさったお陰で、いつもより数倍、上空へ跳ね上がる事ができた。


「うぉったけぇ〜」

全体を俯瞰できる。ピーちゃんは目覚めたのかイナバとシロツキと一緒に3匹の猪を相手してくれてる。


オッサンはまだ動けないみたいだ。

自分を見失ったのか、BOSS猪は自分の真下で周囲をキョロキョロとしている。


喰らえよ。脳天直撃物干し竿をアタック!!!!

「ブモォォ⁉︎」


まだまだ。横に回り込み、今回は高さより前方に飛ぶ事を意識しつつ物干し竿を地面に突き立てる。


パンサーキック!!!

横っ腹に飛び蹴りをお見舞いした。


流石に怯むまでは行かないか。

BOSS猪さんは大変ご立腹のご様子で、自慢の巨体を生かしての体当たりをしてきた。


何とかテスカのステータスと物干し竿の陰で吹き飛ばされるのは耐えられたが、HPはだいぶ減ったな。


BOSS猪さんはご自慢の牙を使って攻撃してきた。

全力で避けるが、結構ギリギリだな。

攻撃を当てる隙が無い。



「ブフゥ、ブフゥ、ブフゥ」

スタミナが尽きたっぽいな。そりゃああれだけ全力で頭を振れば疲れるだろう。


よし。今のうちに。

少し距離を取って死角からさっきと同じ様に物干し竿で前方に向かって飛ぶ。


今度はキックではなく物干し竿による打撃攻撃からのその場で跳躍、物干し竿での叩き付け横薙ぎ、からの突き!


威力はそこまで高く無いが連続攻撃で休む暇を与えない。

物干し竿と飛び蹴りで休む暇を与えずに攻撃し続ける。


そろそろ、自分のスタミナが尽きそうだ。

まぁスタミナなんてステータスは無いんだけど。


少し距離を置き、魔法で時間稼ぎをする事にした。


「ファイアーボール」

焚き火用に取得した『火属性魔術』だ。

思わぬ所で役に立ってくれて良かったよ。


今の所、『水属性魔術』は役に立ってないけど。

「ファイアーボール」


でもやっぱり魔術は使いにくいな。

MPを消費する上に動きながらだと狙いが定まらない。

おまけに次の魔術を使うまでに少し時間を置く必要がある。


「ファイアーボール」

魔術を主体として戦闘する人の立ち回りとか気になるな。少なくとも、1体1で魔術は使い難いだろうしどっかのパーティーに入ってたりするのかな。


「ファイアーボール」

それに今の所、魔術を使う系の従獣がいないから、『合体』しても大して活かせないんだよね。


「ブモォォ!」

「おっやべ...」

ご自慢の巨体で突進してきたBOSS猪さん。

流石にそれに当たると即死だから全速力で進行方向から逃げる。


「危ねぇ〜結構ギリギリだったかも」

何とかヘッドスライディングして避けられた。


「キュイ!」

「うん?うおうおう」

イナバの鳴き声が聞こえそちらを見ると目の前にはBOSS猪では無い方の通常の猪が突進してきていた。

何とかゴロゴロと転がる事で回避した。


流石にイナバとシロツキ、ピーちゃんだけでは猪3匹の相手はキツかったか。


まぁオッサンが回復するまでもう少し耐えてもらうしか無いが。


てかオッサン回復するまで時間かかりすぎじゃね?

と思ってオッサンを探すが見当たらない。

あれどこ行った?敵前逃亡か?


「ファッファッファ、ミヅキよ。助かったわい」

「それは良かったです」


いきなり背後から話しかけて来やがるからマジびっくりした。

何とか表情には出さなかったけど。


「思わぬ攻撃で麻痺ってしまったが、ワシが復活したからには安心せい。と言ってもここまで長引くとは思っておらんかったからのう」

「何が言いたいんですか?」


「先程の様にワシとお主で役割分担するより今のまま、3匹の猪に関してはピーちゃん達に任せて、ワシとお主でBOSSの方を倒してしまわんか?」

「良いですけど、連携とかは出来ないと思いますよ」

「構わん構わん。お主は気にせず攻撃をすれば良い」

「わかりました」


じゃあ、早速BOSS猪に向けて走り出す。

何度も練習して来た棒高跳びを行いBOSS猪の頭上に飛び上がる。


オッサンはBOSS猪の正面に立ち注意を惹きつける。

「『魔装』」

拳を握りしめて猪の鼻っ面に打撃を叩き込む姿は生粋の戦闘狂だ。


なんせ、左手には杖(棍棒)右手は素手。

杖と素手での殴打の連続だ。

正直、BOSS猪がかわいそうになってくる。


BOSS猪も負けじと攻撃してくる。

それをオッサンはステップや身のこなしだけで躱し攻撃を続ける。


ヤバいな。仮にオッサンとサシで闘うとなった場合、自分に勝ち目がない。遠くから魔術で攻撃しても躱されそう。


そんな事を考えつつもBOSS猪の背中に物干し竿を叩き込み、そのまま背の上でジャンプからの踵落とし。


「ブモォォ!」

BOSS猪はあいも変わらずお怒りのご様子だ。


「うぉっとっと」

そのままBOSS猪の背の上で攻撃しようと思ったけど振り落とされてしまった。


少し落下ダメージ喰らってしまった。

さっきからの攻撃でHPも心許ないな。


今更だけどHP回復用のアイテム買うの忘れたな。


「オッサン!!回復アイテムとか持っていたら少し分けて欲しいです」

「む?残念じゃがワシも残り少なくてのう2本しかない。1本だけ渡すから大切に使うんじゃぞ」


ポン!!っとメッセージが表示された。

メッセージを開くとアイテム欄にHPポーションが1本入ってる。


「ありがとうございます」

早速、HPポーションをグビグビと飲む。

なんか甘いなぁ。

全回復とまでは行かないが8割ぐらいまでは回復した。


BOSS猪に改めて向き直る。

BOSS猪も自分の残りHPが少ない事を察しのであろう。最後の力を振り絞る様に暴れ始める。


1撃でもまともに喰らえばほぼ即死だな。


「ファッファッファ、ミヅキよ。次の大技で決めるから少し注意を引いて欲しいんじゃが出来るかのう」

「わかりました。出来る限り注意を引きつけてみます」

言葉で言うのは簡単だけど実際に注意を引くとなると難しいな。


オッサンは何か呪文みたいなのをブツブツ唱えて瞑想してるみたいだし、完全無防備だ。


何とか大振りはせずに物干し竿を振り回して叩き込む。

物干し竿の扱いも慣れたもんだが、なんか伸びる棒を操る猿になった気分だ。

自分の物干し竿は伸び縮みはしないけどね。


そう考えると猿を『テイム』して『合体』したらどうなるんだろうか。

腕力は上がったりするのかな。


「ブゴォオオオオオオオオオ!!!!!!」

そんな無駄な事を考えていて油断してしまっていた。

本日2度目の大咆哮。


もろに正面で咆哮を浴びたせいか、体が痺れる感覚がする。

オッサンほど近距離で闘っていたわけじゃ無いからか、テスカとの『合体』中でステータスが上がっているのが原因かは分からないが、何とか物干し竿を杖代わりに立っていられる。


「くぅキツいな」

正直立っているだけで限界だ。


目の前を見ると突進直前で後ろ足を蹴ってるBOSS猪がいる。


バンッ!って言う地鳴りとともに発射されるBOSS猪の突進になす術なく棒立ちになる自分。

目の前に迫るBOSS猪は何故かスローになった様でゆっくりと自分に向かって突進して来ている気がした。


単純にそう感じているだけってだけで実際は物凄い速度で突進して来ているんだが。


そんな時、体の中で「グルゥ」と言う小さな鳴き声が聞こえた気がした。


「ふっそうだよね。ここで諦めるわけにはいかない。って物語の主人公なら言うんだろうけどね。自分は勝つ事を諦めるよ。負けない事を祈ろうかな」


直後、バキィッ!!!と言う音ともに衝突する自分とBOSS猪。勿論、吹き飛ばされる自分。


「むぅう。間に合わんかったか。全員で生き残って勝ちたかったんじゃがのう。じゃが、これで終わりじゃよ。さらばじゃ大猪よ」

今まで体全体で纏う様に漂っていたオーラみたいなもにはオッサンの右腕に集結され、より強い光を放っていた。


「ブヒィィィ」

その右腕をBOSS猪の背後に向かって正拳突きの様に繰り出す事でBOSS猪はその巨体を地に伏せることとなった。


周りにいた3匹の猪はBOSS猪がやられたからか、森の中に帰っていった。


残されたBOSS猪は光となってその場から消えていった。

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