ストーカー君と僕
僕は雪島 白愛 14歳 ♀︎
最近...誰かにストーカーされている。
正確には気づいたのは最近であったという事で、もっと前からつけられていた可能性はある。
きっかけは偶然。後ろを見た時に気がついた。
あ。....隠れた。「...ストーカー...」の訳ないか。
それからの学校の帰り道、チラッと....振り返ると、そそくさと電柱に身を隠す姿を目視すること度々。
友達と並んで帰る時も...1人の時も関係ない_______つまり、尾行されているのは___男勝りな僕をつけまわすなんて、変わった人も居たもんだね。ははは。
危機感なく呑気なものである。
それも、最初の頃の話だが。正直言って今は迷惑してます。
誰に相談する訳ではなく、1人で追っ払ってやろうと躍起になっています。
僕もだが、ある意味、あのストーカー君も凄い勇気の持ち主と言えなくもない。...が、どうだろう。違う方向にその勇気を向けられてれば良かったのになと心底思う。
やれやれ。今日も性懲りもなく...
僕が前触れなくスカートをユラユラ揺らしながら走っても、奴は合わせたように駆けてくる、気配を感じる。
「いい加減ウンザリだ。いつもいつも。
いつもいつもいつも。何が目的なんだよ...!
足か?この生足がいいのか?変態めっ!」
目的不明な変人に嫌味を投げつけるのが精一杯。
これに懲りてくれ、頼む。と、念じて。言葉の暴力を今日も全力投球。
日課になりつつある。
「......」
やはり反応はない。効果も期待するだけ馬鹿を見る。
陸上部、距離で鍛え抜かれた白愛の身体には無駄なものがほとんどない。引き締まった細身の身体。必然的に胸もない!
しかたない事だけど...泣けてくるぜ...くぅ〜っ。
だから、僕をつけるような奴は引き締まった足が好き...大好物に違いない。プルプル。ゾゾゾと背を駆け抜けて....考えていて悪寒が走った。
そんなマニア以外に僕をつけるような奴は居るのだろうか。
出るところも出てなくて、ぺったんに近い...ガサツで...僕っ娘で...魅力が...女としての魅力が....
_____チーン
「ぐすん...ぐすん..マジ泣ける...」
僕が不意を突くように立ち止まったとしても、最近ではすぐに隠れる。振り返る頃には姿はない。
「.....」
ここまで来ると拍手を送ってあげたいよ。
すっかり手馴れたものだね、って。ストーカーの中のストーカーって感じだねって。
「ストーキング開始から1ヶ月。ついに隠密スキルを完全会得したようだね、おめでとう....」
なんてボソリ。流暢に賛辞を送れるのも相手に何となくの見当がついているからだった。
相手も制服。学ランに身を包んでいることから学生さんで、恐らく同じ学校の男子生徒。
ただ、部活帰りで辺りは薄ら暗くなり始めて、顔までしっかり確認する余裕はなかった。
大方の見当はついているけど、見当はまったくついていない白愛だった。
隠密スキルを極めた彼の姿を拝める機会など、もうないかもしれない。
これから先も、ずっとつけられるのかなぁ...。
脚フェチさん...本当に誰なんだろう。
不安と疑問に思考が、占拠された。
僕は目元を拭って、今日も事なきを得て家のドアを開けた。
「....ただいま」
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扉が閉まりきると少年は曲がり角から姿を現した。
「誰が、脚フェチだ。誰が、ストーカーだ....クソ女め」
悪態をつきながら姿を現したのは白愛の幼馴染の、羽川 樹 14歳 ♂
陸上部次期キャプテン。学校では優しい人気のある爽やかイケメンだ。
世間的には。
「1つ言わせろ。俺の家...お前の隣なんだけどな」
ただ、最近...白愛の顔を直に見えない。
超が付くほどの恥ずかしがり屋。そうゆうお年頃。
「そもそも...お前が走らなければ、俺も走って追うことは.....あぁ〜!もういい..帰ろ」