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異世界改革 6 出会い(宰相・料理長・メイド視点)

出会い


アンハルト宰相視点


昼休み、食堂に行こうと中庭に差し掛かったところ、シートを広げ、竹皮につつんだ昼食と水筒を持っている少年をみた。包みを開けたところ、大人のこぶし大の白い粒に黒い紙。はて?と思いながら、声をかけて見た

「それは何の虫ですか? 食用ですか?」

少年はぷりぷり怒りながら、「みんなそれを言うから、一人で隠れて食べなきゃいけなくなるんです。これは山〇おにぎりです!!」と

「騙されたと思って一口どうぞ。」渡され食べて見たところ、美味だった。

そのおにぎりと言われる中に魚、昆布、胡麻、梅干しがなんとも食欲がそそる。

「お茶をどうぞ」と言われカップを見ると、これまた驚いた。黄緑色。

おそるおそる飲むとのど越しがいい。おにぎりとお茶のおかわりをお願いした。

これがクルト・ベルガーとの出会い。

聞けば、リヒト・フォン・ルックナー宰相補佐官室で働いているらしい。

あの敏腕だが、巨大な猫かぶりで性格難あり腹黒の男の下でですか。

よく付き合えるものだなと最初は思ったものだが。

なんのなんのこの子はルックナー宰相補佐官を振り回している。

ちょくちょく喧嘩しては私のデスクの下に転がり込んで、

あの鉄仮面ルックナー宰相補佐官が苦虫顔で迎えにくるというイベントを迎えている。

これはこれで、ルックナー宰相補佐官の人間らしい一面が見られるようで、なによりですけど。

仕事でクルトに会うたびに、おにぎりや茶を褒めていたら、彼も気をよくしたようだ。

ルックナー宰相補佐官が出張でいないときは、私の部屋にピクニックランチを誘いに来るようになった。

「きょうは巻きずし、ぶりの竜田揚げ、卵焼きですよぉ。力作ですよ。デザートはみたらし団子です。行きましょう。」と

それが楽しみでルックナー宰相補佐官には外の仕事を定期的に入れているのは秘密ですがね。




料理長視点


私は城の料理場を総括している。

今、王城内では、あちこちで改革が始まり、新しい風を肌で感じるようになった。

私も、何か刺激されたようで、休日はもっぱら、商業施設で食材の見分を行っている。

今日は東国フェア。大通り公園でテントを張り、大々的に物販を行っているようで、私も行ってみた。

各店舗前に、試食コーナーがあり、そこには1口大のにぎり、揚げた魚、魚の干物、魚の味噌煮、イカ焼き、イカ飯、海鮮サラダなどなど

私が今まで見たことのない食材や料理ばかりだった。匂いにつられてイカ焼きを試食。絶品!!。

これが東国の庶民の味だよと言われた。目からうろこがぽろぽろ落ちるのが分かった。

作り方を聞くと「しょうゆ」というもの以外はわが国でも流通しているものだった。

ぜひ私も挑戦しようと「しょうゆ」を扱っている店舗の前に行ってみたら、

「しょうゆ大瓶3本。味噌は4パック、酒大瓶3本 みりんも大瓶3本ください。あと昆布10本に鰹節3本も」と言っている少年がいた。

どんだけ買うんじゃいと突っ込んだ私は間違っていない。

横にはリヒト・フォン・ルックナー宰相補佐官が

「今日はデートのはずですが・・・」とぶつぶつ言っているのが聞こえたが、

少年には聞こえていないようだった。

これが私のクルト少年の初見だった。

翌日、少年が、調理室に来て私に「昨日フェアにいらっしゃいましたよね。俺からの提案です。」と

東国の料理レシピとしょうゆ、味噌、酒、みりん、昆布と鰹節をそれぞれ1本ずつ渡してくれた。

「試してみてください。」と

そうですね。私も改革とやらをやってみましょうか。




メイド視点


身だしなみはメイドの基本。ヘアのリボンには正直、悩んでいた。ゴムでくくってからのリボン。このリボンがよく緩む。落ちる。

落としたリボンも場所によっては使えなくなる。

リボンも高価なものだし、買うのも躊躇する。

この宰相補佐室では、主がこういったメイドの身だしなみに関心が薄いので問題はないのだけど。

高位の貴族が面会に来るときはやはり気をつかう。

今日も落としたリボンをとろうとかがんだ時に、クルトさんと目があった。

「あのヘアゴムを何本かお持ちですか?」と聞かれたので、予備に持っているゴム2本を見せた。

「お借りしてもいいですか」と聞かれたので、家には予備が何本もあるので承諾した。


翌日、3重にしたサテン生地をリボンの形に成形しその上にレースとビーズをあしらったリボンゴムとシンプルなシルク生地のリボンゴムを作ってきてくれた。

「これでリボンは落ちないと思いますよ。似合うといいんですけど。リボンは簡単にしか縫っていませんから、気に入らなかったら外してくださいね。」

と、この子は天使か? この子抱きしめてぇと悶えた私は悪くない。 

リヒト宰相補佐官の視線は怖かったけど。




リヒト視点


ここ宰相補佐室は15時に一旦30分ぐらいの休憩に入る。

15時、ドアのノックが聞こえた。

アンハルト宰相が「クルト君、東国から抹茶を入手したんだが、茶の入れ方がわからんのだよ。入れてくれんかな。」と

次のノックが、料理長「クルトさん、さば味噌煮を作ってみたんですが、試食しませんか?」と

メイドが「東国フェアでどら焼き、買ってきました。」と

クルトを囲んでた。



・・・・・こいつどこで何人たらしこんでんだ?



睨んでいる俺に気が付いたクルトが

「リヒト様はここ」と二人掛けのソファーに座り、隣をポンポンとたたき

「一緒にごちそうになりましょう。」とかいがいしく世話をしてくれるのだからよしとしようかな。










(ちなみに、2人掛けソファーはリヒトがクルトといちゃいちゃしたいがために

自費で購入し、補佐室においているものです)


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