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90. T 出発!

「タイラ様、『了解、セス達と合流したら教会にお祈りを』と神託を受けたとの返事が来ましたが……」


あの後、バリーに何故御神木に居たハムスターの事を知っているのか問い詰められ、説明した後、益々顔色が悪くなった彼に少し休めと言い城を出た。


城下町で、俺の防具一式と護身用のナイフ、それとノリアスの防具を購入し、宿に戻った。


食事をしながら、セス達から来たコトリに書かれていたセス達の行動予定を聞き、こちらも合流するための計画を立てる。どうやら彼らの報告からすると、(ひつじ)の攻略対象者のイベントが始まったようだ。


「あー、ディアンの虹色の秘薬かぁ。あれ、材料集め、めんどいんだよねー……。」


ポツリと呟く。と、リベル、フィルソン、ノリアスが一斉に俺を見る。


「え? なに?」


「い、いえ……今の話だけでのシープス領で起こっている事がお分かりになるのですか?」


あ、しまった。コトリで知らされた内容は、魔物の討伐で人獣が怪我をして、薬が必要だから材料を採りに行くって事だけ。誰が、何の薬を必要とするかは書かれていない……


はぁ……俺ってばなんでこんなに迂闊なんだろう……。期待に満ちた目で俺を見るノリアスに目を合わせると苦笑いをして、ゆっくりと首を振った。


「全てが分かる訳じゃない。実際、イチカの居場所は分からないしね。今回はたまたま……うん、たまたまだね。」


「ふーん。……ま、そういうことにしといてあげる。」


唐揚げっぽいなにかを頬張りながら、ノリアスが含むように言う。


「ディアンとは、未の印もちの指揮者(コンダクター)ディアン様の事か? あの方が魔物にやられたのか!?」


驚いたように、フィルソンが飲みかけの果実酒を置く。


「う、うん。たぶんそのディアン。シープス領だろ? あそこはアブノラ(だったかな……?) って蜂とか虻みたいな魔物が多かったはず。そいつに刺されて動けなくなってるんだと思う。」


「毒使いなのか?」


「アブノラは麻痺毒を使う魔物だね。刺された奴は毒が回った所からパンパンに腫れ上がって、体に毒が回りきる頃にはブックブクで自分で動くことも出来なくなる。で、動けなくなった奴を巣に持ち帰り、皆で食べて栄養源にするか、女王が卵を産み付けるか。」


ノリアスが思い出しながら補足情報を言う。


「……食事中にはあまり聞きたくない話ね……」


「確かに。うぅ、虫は嫌いだ……。」


「タイラが言い始めたんだろー! ってか、アブノラは虫じゃなくて魔物だよ。」


「見た目が虫なら、俺の中じゃ虫なんだよ……。しかも、俺と大きさ変わらないんだろ?……………… ウワァー……想像しただけでキモチワルイ……」


そんな話で盛り上がりながら食事を終えた。結局、明日からの予定と言えば、子族の領から山間に入り、一旦、中央の丑族のスタイン領に向かう。そこから帝国領を南下してシープス領に向かうというザックリとしたもの。


その後は各々の部屋に移動するも、ノリアスが俺と同室がいいと言い張るので、それぞれシングルの部屋からツインに替えてもらった。


明日の持ち物を一通りチェックして布団に入ると、


「タイラはイチカを見つけたら神様の国に帰っちゃうの?」


「そうだねー。俺も魂だけでここに居るようなもんだからね……。見つけたら肉体に帰らなきゃ。」


「タマシイ??」


「……あー、うん。人族の中身みたいなもん。無くなると死んじゃうのと一緒。」


「じゃあ、神様の国ではタイラは死んだことになってるの?」


「いや、多分、向こうでは寝てるだけ。仕事中に仮眠とろうと寝てそのまま起きなくなってると思うから、近くにいる人達は皆、ビックリしてると思う。」


「そっかぁー。……じゃあ早く帰ってあげないとね……」


その日はそのまま、布団に入って話してる間に2人とも寝てしまった。


◇◇◇◇


扉をノックする音で目を覚ます。とりあえず返事だけでもと、寝起きのがらがら声でハイ。と言えば、以前、フィルソンの従者だったという男の声で、


「おはようございます。フィルソン様とリベル様が食堂でお待ちになっております。支度が済み次第、お越し下さい。」


と淡々と言われた。2人を待たせるんじゃねーよ! と声に込められてるように感じて、急いでノリアスを起こして食堂に向かった。


「おはようございます。タイラ様、ノリアス。」

「おはよう! 待たせてごめんね。」

「……おはよう」

「うん。」


ノリアス、寝ぼけてるようだが、挨拶は大事だぞ!! と、ノリアスに言えば、素直に


「うん。……おはよう……。」


と挨拶をする。よしよし、とばかりに頭を撫でれば、鬱陶しそうに手を払う。でも、顔は嬉しそうだ。なんだかんだと、人間と変わらないノリアスといると、お父さんになった気分になる。


朝食を頂きながら、移動はスピード重視する為馬で。と言うことになった。残念ながら俺は乗馬など出来ないので、オッサンと2人乗りとなるフィルには罰ゲームでしか無いだろうが、頑張って貰おう。


ノリアスは"だーく"に乗っていた事もあるので、普通に1人で乗れるそうだ。得意げに言われてちょっと悔しいので、この機会にフィルに教えて貰うことにした。


朝食を終え、昨日用意した装備一式を装着する。リベルがもっと良いものを!! と張り切っていたが、この初期の街で買える良い防具は鉄の胸当て等々、重たい物が多いのだよ。


普段、パソコンの前から動かず、折角入ったスポーツクラブも名ばかり会員の俺には着けて歩くのは無理! って事で、いかにも冒険初心者って感じの服と装備で、俺はセス達に合流するための旅に出た。



読んで頂き、ありがとうございました。

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