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87. F の決意

森で会った子供と男を宿に連れて帰ってきた。


タイラと名乗った男の方は、亥族の機密にあたる事まで知っているので、この上なく怪しいが、奴の行動や言動からすると他国のスパイやら魔物等に操られている様にも見えない。


と、言うか、もしそういった類いの奴ならば明らかに人選ミスだ。


子供のノリアスに関しては、子供らしくない。この一言につきる。


オーラを判別しようにも、2人とも見たことが無いような特殊なオーラを放っていて判断が付かない。なので、森を出る前にバリー殿に鑑定を依頼した。


一旦、宿で休んだ後、計ったようなタイミングで迎えに来た馬車に乗り込み、城につくと、2人を別室に案内し、バリー殿にザックリ説明する。


仕事が詰まっていたのか、酷く顔色が悪いが、サクサクと鑑定を始めた。バリー殿の言葉にタイラが反応し、ノリアスを庇う。飯は子供の分まで全部食ってしまうくせに、身を呈して守るとは……。予想外の行動だ。


と、また予想外の行動をとる奴がいた。バリー殿だ。突然タイラに向かい、王の御前でするような最敬礼をタイラにし始めた。


慌てて、引退後も従者を続けると言い張り、バリー殿の世話をしているセバスチャンが、止めさせようとバリー殿に近づく。しかし、逆に一緒になって敬礼するように強要されている。


あろうことか、この場に居るリベルと俺にも同じ様にするように言われ、操られてるのでは無いかと警戒を強める。


やめて! とタイラが慌てて止めさせようとするが、バリー殿の発した言葉で、全員その場で固まった。


「何を仰います、この世の創造主よ! お目にかかれて光栄の極みにございます。ステータスにも神と記されております!!ご尊顔を拝謁いたす事をお許しください。それに、知らぬこととはいえ、数々のご無礼、誠に…誠に申し訳ございません。」


創造主?? ステータスに神……だと?


反射的に俺もリベルも最敬礼する。 神であるタイラ……様は凄く寛容な神のようで、無礼も何も無かったことにし、今まで通り振る舞うように言われる。うむ、神が言うならば仕方がない。と、近くの椅子に座り話を聞く。


「……ここには、この世界に迷い込んだイチカ カゲノを探しに来ました。」


思わず立ち上がる。イチカを探してどうするつもりだ?


話をすれば、肉体は神の国あり、このままでは肉体が死んでしまうので、神のいた国に連れて帰ると言う。ここに居たら生きられないと前に聞いたが、そういうことか……


だが、肉体が無くてもここで普通に生活しているじゃないか! 俺の作った料理をうまそうに食べて、リベルとドレス選びでキャーキャー騒ぎ、セスの質問に悩みながらも一生懸命答えていた。


ここで、この世界に居れば俺が守ってやれる。だからどうか、イチカを見つけても連れていかないでくれ……


思いを込めて色々言うが、家族が待ってるとタイラ様は言う。イチカの兄に頼まれたのだそうだ。俺以外にもイチカを探して待ってる人が居る……当たり前の事だが、改めて言われるまで失念していた。


俺はイチカを見つけたらどうするだろう……イチカは、タイラ様の話を聞いてどうするだろう……思いに耽っていた時、


「タイラ様、魔王をお連れになってる理由をお聞きしても?」


バリーがとんでもない事を言い出した。


魔王? 魔王って魔王?? この子供が?? 確かに子供にしては表情も乏しく、話すことも話し方も大人びているとは思ったが、まさか魔王とは……タイラ様を見れば明らかに動揺し、あたふたしている。


神様のクセに威厳がないと言うか、親しみやすいと言うのか……


セスとマリアが王達から聞いた、魔王が誕生したようだ、と言う噂はこの子の事を言っていたのか……?


タイラ……様、バリー殿、リベル、それに何故か従者のセバスチャンまでもが加わりノリアスの今後を話し合っている。魔王の存在を確認しているのに、報告しないとなれば重大な裏切り行為だが、神の命令となれば話しは別なのか??


何はともあれ、ノリアスについてはバリー殿が折れ、報告はしない事になった。そして、話しはイチカの捜索についてに移る。


「えっと、イチカに関してはどういう状況? 俺がこっちに来たときは…………えーーーー、あーーー……」


「イチカはトラット領で我々と別れた後、バリー殿の案内でフレミッシュ領の御神木に隠れていたところ、猫族に拉致され、その後、申族の廃嫡されたダスキートと言う人獣が営む奴隷商に連れていかれ、その後の行方が分かりません。」


「あー、そう……え? 奴隷商?? そうだ! ハイテンションのハムスター見つけて、卯の子を見つけて、そこでそんな話を聞いたたんだ……そうそう……」


タイラ様がブツブツ言う独り言に、何故かバリー殿がギョッとして聞き入っている。


「それで、この後セス達と合流の予定は?」


「あります。言俐(コトリ)を使ってどこかで落ち合うつもりです。」


「じゃあ、僕たちも一緒に行く。目指してる所は皆一緒だしね。で、悪いんだけど、まず先にコトリで伝言を頼む。」


リベルに何やら頼んでいる。と、突然俺の方を見て、


「君には辛い旅になるかも知れない。けど、協力して欲しい。」


タイラ様が俺に頭を下げた。多分、俺の気持ちの話をしているのだろう。さすが神様とでも言うべきか、全てお見通しのようだ……


俺は黙って頷く。イチカが帰ると言えば送り出そう。でも、ここに残ることを選ぶのならば……俺は神と闘う事も厭わない。そう決心し、イチカを探す旅に同行する。

読んで頂き、ありがとうございました。

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