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85. T 慌てふためく

しばらくすると、先ほどの品の良いお爺さんが扉を開け、そのあとからリベル、フィルソン、そして、顔色が酷く悪いインテリイケメンが欠伸をしながら登場。


「で、選別するってこっちのおっきい方?」


インテリイケメンが俺とノリアスを見比べ、俺を指差してリベル達に聞く。


「そう。でも、出来たら2人ともしてちょうだい。」


「はぁ……こないだから、ウリーボの人達は俺をこき使うねぇ……」


苦笑いと共にそう言うと、インテリイケメンは俺の対面に座り、紙とペンを用意し


「では、始めるね。」


と俺の頭の上を凝視する。


ちょっと待て、始めるねって、このインテリイケメンが誰なのかも説明はなしか?


ん??? さっき、選別って言ったか?? 目の前のイケメンをジッとみる。 !!!! あれ? もしかして、子族のバリー!?


ヤバい! ノリアスのステータスを見せるわけにはいかない!! 急いでノリアスを抱え込む。当然ながらその場に居る者達は俺の行動の真意が分からない。


「大丈夫だ。危害を加える訳ではない。」


何かされるのでは!?とノリアスを庇ったと思ったのか、フィルソンが安心させようとポンと肩に手を置いてノリアスから離そうとする。


「今はお前のステータスを見せて貰っているが、特に痛かったり気分が悪いことは無いだろう?」


確かに。体調に変化はない。が、待て、俺のステータスって確か……


バリーをチラッと見る。疲れからか、会った時から顔色が悪かったのだが、今は更に血の気が失せたように真っ白になっている。折角用意した紙にステータスを書き写す事もなく、俺の頭上を見て、餌をねだる鯉のように口をパクパクさせている。


様子がおかしいことに気づいたお爺さん(どうやらバリーの従者らしい)が、バリー様? と声を掛ける。と、息をすることを思い出したらしいバリーが、ヒュッっと息を吸い、この国で最敬礼であろうポーズを俺に向けてとる。


「な、何を……」


突然の行動に、誰より驚いたのは俺である。


その次はやはり、従者のお爺さんだろうか。品の良さを何処かに置いてきたかのような慌てぶりで、主人であるバリーのもとへ行く。何をなさってるのですか!? と少し責めるような口調で問い詰め起こそうとしている。多分、皇族や王族にするようなポーズなのだろ。と、従者はバリーに逆に袖を引かれて膝を付かされた。


バリーがリベル、フィルソンそれぞれに顔を向け、お前達も! と声を荒げた。皆はなぜ、何処にでも居そうな男に頭を下げねばならないのかと納得がいかないようで、棒立ちでバリーをみる。


「や、いい、そういうのいいから! お願い、やめてぇ!」


「何を仰います、この世の創造主よ! お目にかかれて光栄の極みにございます。ステータスにも神と記されております!!ご尊顔を拝謁いたす事をお許しください。それに、知らぬこととはいえ、数々のご無礼、誠に…誠に申し訳ございません。」


あぁ、そうだよ。すっかり忘れてた……俺もステータスは見られちゃいけない人種だった……(仮)とは言え、神と記されてればそうなるよね。あーーーー、説明、どうしよう……


バリーの言葉を聞いた面々は、酷く驚き、一様に同じ様な最敬礼のポーズを俺に向けた。モゾモゾと腕の中で動くノリアスも、見てみれば同じ様に驚いた顔をして俺を見上げる。


一度息を吸い込み、ゆっくり吐き出すと、覚悟を決めて話し始める。


「えっと、まず、その敬礼みたいなの止めてね。それと、バリーは分かると思うけど、俺の名前は平良! 岡本平良ね。」


「!! 私の名前を御存じでしたか!! 恐悦至極にございます。」


ちがーう! いや、知ってるよ、知ってるけど、そうじゃないのぉー……そこ食い付かないでぇ……


「ぅんんッ、うん、あの、人獣の何人かは知ってる……けど、そうじゃなくて!! あーもー、まず、皆敬礼止め!! で、俺の話を聞いて!!」


ちょっと強気でこの場に居る人達に言ってみた。ササッと立ち上がると、俺と、俺が抱え込んでいるノリアスの座るソファーの対面に一列に並んで立つ。


それも止めて欲しい……。


「……普通の、さっきと同じ様に接して欲しい……」


ポツリとこぼすと、顔を見合せ、バリーが恐る恐る、では、と向かいのソファーに腰かける。リベルとフィルソンもここへ来たときとは別人のように小さくなり、空いているソファーに腰かけた。


「……ありがとう。」


そう言ってノリアスを解放する。何か言いたげにノリアスが此方を見ているが、口パクで "ごめんね" と言えば、仕方ないとばかりに肩を竦めて皆と同じ様に話を聞くスタイルになる。


皆は今か今かと説明を待っている。


「まず、自己紹介から……改めまして、創造主で、神? の岡本……ここじゃぁ平良(タイラ) 岡本かな? デス。ここには、この世界に迷い込んだイチカ カゲノを探しに来ました。」


ガタッっと、椅子を鳴らしながらフィルソンが立ち上がる。


「探して……探して神の国に連れて行くのか……?」


あれ? この感じ……もしかして……?


「フィル!! 神様になんて口の聞き方を!!」


リベルが怒るが、フィルソンは気にしていないようだ。ぶっちゃけ俺もどうでも良い。が、


「リベル、タイラの方で呼んで。あと、俺が神とか、創造主ってのは内緒ね! 他の人……あ、セレネスには後で連絡して。伝えて欲しいことは後で言うね。で、話を戻すけど、そうだね、イチカは連れて帰る。だから出来ればイチカを探す事に協力して欲しい。」


「「…………」」


リベルとバリーは何も言わず静かに頷いた。フィルソンだけは悲痛な顔をし、顔を逸らす。


……あー、なんか罪悪感……ごめんよ、フィルソン。


心の中で謝りつつ、俺は話を続けた。

読んで頂き、ありがとうございました。

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