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83. S の悩み

「これで全部かな……」


鍾乳洞内での闘いを終え、中に居た人達を外に出す。


卵を産み付けられてない人達がチラホラと目を覚まし、我々に事情を聞くと、手伝う者もいれば、礼だけ言ってさっさと冒険や仕事に戻るもの等が出てきた。


この場を離れる者達には街や村に居るであろう、騎士や兵士に伝言を頼む。


「ねぇー、もう良いじゃん。助けたんだし、後はここの首領に任せようよ。ここはシープスかスタイン領でしょ?2人ともしっかりした首領だ、ってお母様が言ってたから悪いようにはしないだろうし……僕、一応、さっき言俐(コトリ)を姉様に飛ばしておいたから、中央に伝言してくれてるだろうし。すぐに誰か来ると思うよ!」


「あのー、お話し中失礼致します。私、シープス領の街で武器店を営む商人、シウボと申します。助けてくださり、誠にありがとうございます。街にお越しの際は是非、私の店にお立ち寄り下さい。お礼をさせて頂きます。」


先ほど助けた人達の中で、一際大きく、きらびやかな服を着た男が揉み手をし、お礼を言いながらマリア嬢に近づく。


「……困っている方を助ける事が、勇者の証を継いだ者の使命だ と言われました。なのでお礼などは……」


「えー、くれるってものはもらおうよー!」


「「…………」」


「勇者様御一行でしたか!! えぇ、えぇ、えぇ、えぇ、是非とも! 是非ともお越し下さい。」


「……商人と言ったか? 畑違いなのは分かっているのだが、奴隷商について何か聞いたことがないか?」


「えぇと……失礼ですが、あなた様は?」


簡単に我々を紹介すると、慇懃無礼な態度が若干和らいだ。


「そうですか、そうですか。北と東の公爵様の……。えー、奴隷商の話でしたね。申の公爵様の廃嫡されたご子息が、そのようなことをしていると聞いたことがございます。……噂程度しか知りませんが、帝国内に幾つかアジトを持っているとか。」


アジトは1つではないのか??


「あぁ、そう言えば、ここに来る前に他の商隊の方とお話をしましたが、丑族のスタイン領にて奴隷狩りが出る、と話を聞きました。」


ドド、ドド、と馬が数頭で走るような音が近づいて来た。到着するやいなや、


「シープス公爵の私兵隊隊長、ヨウモと申します。東の公爵様より、応援の要請を受けて参りました!! この場の責任者の方はおられますかー?」


馬の上で大きな声で叫んでいる。シウボとの会話を切り上げ、返事をする。


「北のウリーボ公爵の嫡男、セレネス。私がここの指揮をとっていた。迅速な対応感謝する。」


「北の?? あ、セレネス様。この度は領内の魔物を討伐していただきありがとうございます。えっと……東のフレミッシュ公爵様の要請とお聞きしたのですが……」


「あぁ、フレミッシュ公の嫡男のファジールを通じて要請を出したので……ただ、今回は我々は勇者と共に旅をしております。討伐したのは勇者ですので、家同士の問題にはならないかと……」


ヨウモはパッと明るい顔になり、


「そうなのですね。勇者様、ファジール様もありがとうございます。ここ数日、商人や冒険者が来ないという相談が多く、調べていたのですが、何人か見知った顔がおります。ここの魔物の仕業だったのですね……」


我々はヨウモに一通り説明し、後を任せて先に進むことにした。


◇◇◇◇


後に聞いた話では、魔物達に捕まって居た人達は、この近隣の村人達と街道を通る商人や冒険者だったことが判明。


香りに惑わされていただけの人々は、全員正気にもどったそうだ。ただ、卵を産み付けられた人々や、卵を産んでしまった人、それに、生まれて黒くなってしまった人達時間が経っても元には戻らなかったらしい。


各国の魔物の研究者達でチームが組まれ、治す方法を探していくそうだ。


◇◇◇◇


「今後はどこに向かいますか??」


「そうですね……スタイン「シープスの街で!!」……奴隷狩りをしているならスタインに居るんじゃ無いのか?」


「申族のダスキート? だっけ?? 僕、その人会ったことないけど、後継ぎだったんでしょ? で、今は奴隷商のエライ人。そんな人がわざわざ狩りの現場に行く??」


……一理ある。が、イチカの時は、話の流れからも本人が迎えに来たように感じたので、狩りなどにも同行するかもしれない……


シープスとスタインはここからだと正反対の位置になる。どうしたものか……


「悩むのでしたら、取りあえずファジール君の言う方に言ってみませんか?先ほどの商人の方もまだ何か知っているかも知れませんし……」


そうだ、さっきのシウボは何処に行った??もう少し話を聞きたかったのだが……キョロキョロと周りをみるが見当たらない。


「さっきの商人なら、さっさと護衛を起こして、ペコペコ頭を下げて帰って行ったよ。僕、なーんかあの人きらーい。マリアさんにはニコニコしてさ、僕なんかずぅーっと見下す? 感じ。まあ、背は僕の方が高いから、実際はそんなことを無かったけどさ。」


「……そうですね。あの方、人によって態度を変えているようで私もあまり良い方には思えなかったです。」


散々な言われよう。でも、確かにまだ何か情報を持っているかも知れない。まあ、イチカが何処に居るか分からないので、少しでも可能性があるところは全て回るしかないだろう。


ファジールの提案に乗り、帝国の南東部を治めるシープス領の街に向かう。


読んで頂き、ありがとうございました。

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