82. K ゲームを進める
マリアを後ろから追うような視点で、帝国の首都、セクトリアへ向かう。
しばらく進むも、全く魔物が出てこなかったのだが、トラット領内で、一度だけ戦闘があった。……いや、戦闘と言えるかは甚だ疑問だが、魔物が現れた事を知らせる曲が流れ、テロップに ジャワとマトラが現れた! と表示されたので魔物かと思った。だが、森の中の画面が切り替わり、画面に出てきたのは、黄色い髪のドレスを着た女の子と、虎が1匹だった。
早速、攻撃……え? 口撃?? を喰らった。らしい…………
これ、テロップ、間違ってるんじゃないか??
ピッピッとボタンを押して話を進める。と、内容からするに、どうやら戦闘中の曲はかかっているが、実際に戦っている訳では無いようだ。
ジャワの口撃→話の内容→ファジールの口撃→話の内容→マトラは様子を見ている→マリアは様子を見ている→セレネスは様子を見ている。
素早さの順番にテロップが流れるが、HPもMPも減っていかない。が、ターンが進むに連れて、何故かジャワと書かれた女の子のキャラクターだけがドンドン顔色が悪くなっていく。
こちらの口撃が効いているらしい。……なぜだ!? さっぱり解らん。
話には聞いていたが、思い描いていたRPGとは大分違う。慣れ親しんだRPGの部分でこれならば、乙女ゲームモードに入ったらついて行けるのだろうか……??
そんなことを考えながら、勝手に進む話を読むだけの戦闘が終了。ジャワは退散したようだ。出番の無かった俺はそのままマリアを操作して、画面内で山越えをする。
山を越えた先は、帝国内の四人獣の公爵、丑族のスタイン、辰族のテルリア、未族のシープス、戌族のグッドルが管理していて、トラット領からは未族の領内に入に続いている。
国境を意味する門があり、門の絵に近づけば関所へのズーム画面に切り替わる。
普通のRPGと同じように進めて構わない。と言われているので、門番達の詰所等のタンスや置かれている甕等を割って中身を持っていく。
一通り終わると、詰所を出て門番に話しかける。といきなり戦闘になった。敵は"黒い人"。どうやら門番に擬態した魔物のようだ。
マリアとセレネスのコマンドで行動を指定。もちろん"戦う"を選択。だが、ファジールの番になったときに戦闘音が消え、テロップに文字が流れる音だけになる。
どうやら、人が操られているので、その原因を調べるらしい。関所を出ると、導くように赤いモヤが出ては消えてる。見失うと、その場で360度ぐるっと回ってモヤを探す。
探しながら進めば、洞窟があり、洞窟の回りには赤いモヤが纏わりついていた。
装備をもう一度確認し、洞窟内に入る。
普通のRPGのダンジョンでホッとする。魔人が何人か出て来て戦闘になるも、マリアの魔法攻撃で1ターンで終了。聞いていた通り、戦闘においては、全滅の心配は無さそう。
一番奥までたどり着くと、ひときわ多きな、ラフレシアのような花の魔物と、蜂の魔物が居る。このダンジョンのボスだろう。
コマンドで今度はオートバトルを選択をする。と、素早さで勝るファジールが一番に動き蜂を攻撃。その後マリアが花を攻撃、そしてセレネスが風魔法を放つ。2ターンで戦闘は終了。経験値やら報酬をもらい洞窟を出ると、先ほどまで居なかった人がウロウロとして居る。
セオリー通りに話しかける。
「救って下さりありがとうございます。シープス領の街で武器店を営む商人、シウボと申します。街にお越しの際は是非お立ち寄り下さい。お礼をさせて頂きます。」
そういうと、シウボはまたその場でウロウロし始めた。何度も話しかけると、重要な話をするキャラも居たりするので、もう一度話しかける。
「申の奴隷商ですか? 噂程度しか知りませんが、帝国内に幾つかアジトを持っていると聞いたことがあります。」
ビンゴ!! また話を切り上げてウロウロするシウボに更に話しかける。
「ここに来る前に、丑族のスタイン領にて奴隷狩りが出ると話を聞いた気が……」
おお、かなりの有力情報をくれた。もう一度話しかけると、先ほどの"ここに来る前に、"と同じ台詞を繰り返す。これ以上、聞いても無駄なようなので先に進む。
◇◇◇◇
コンコン、ガチャ
「戻りましたー!!」
コンビニの袋を片手にプロデューサーが戻って来た。
「平良のお姉さんが来てくれて、簡単に説明して交代しました。過労を疑われてちょっと面倒でした……」
「お帰りぃー。ご苦労様ー。ご家族の所には、僕が今日、日が出てから説明に行くよー。」
「そうして下さい。で、これ差し入れてです。カズヤさんもどうぞ!! 何が好きか分からないので残ってるもの全種類買ってきました。」
「ありがとうございます。で、医者はなんと?」
「イチカさんと同じ症状だと思うって言ってました。ただ、イチカさんも詳しい検査は明日……じゃなくて今日、転院した先でやるので、原因は分からないって。転院先で分かったら情報を共有してーみたいな話をお姉さんにしてました。」
「そうですか。取りあえず病院に入れてもらえたなら良かったです。」
「ホントにね。で、ゲームはどうなりました??」
2人に商人シウボに聞いた話をする。
資料の地図を広げ、シープス領の街は今居るところより南西に向かった所にある。そして、奴隷狩りにあっているスタイン領は北西だ。物語的にはどちらを優先するのか、2人の返事を待つ。
「シープスの街の武器商人? ……確かに武器店はあるけど、店主の名前なんて初めて聞いた。これも没案??」
「うーん、僕も記憶に無いなぁ……」
モブもモブ、製作者側が存在すら認識していないキャラの言うことを信用して良いものか……
結局、本編にも無い話と言うことで、怪しい武器商人の正体を暴くため、シープスの街に行くことにした。
読んで頂き、ありがとうございました。




