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77. T 、合流

ノリアスと共に歩き始めて大分経つ。マップには城壁が見えているのになかなか近づいて行かないのは何故!?


はぁぁー。と盛大なため息をつく。


「タイラ、疲れた?」


コテンと小首を傾げる。うん、今、癒されたからもうちょっと大丈夫。


「無理はダメだよ! 多分明日も歩き通しだからね。……寝られそうな場所があったら今日はそこまでにしよう。」


確かに、癒されたからと言って、体力が戻るわけでも無し。……そうだ、回復薬を飲めばスッキリ爽快なんじゃね?


良いことを思い付いたとばかりにノリアスに話す。と、こんどはノリアスが大きなため息をついた。


「戦闘で傷を負った訳でもないのに、回復薬なんて渡すわけ無いでしょ? 自己回復能力無くなっちゃうよ? タイラ、只でさえひ弱なのに……。」


ひ弱……反論出来ずに項垂れてみる。ノリアスは言い過ぎたと思ったのか、フォローを始めた。


いや、うん。大丈夫だよ……。回復薬は、今日休んで、明日起きてみてから考えよう。と言うことで話が纏まり、休めそうな場所を求めて歩く。


ガサガサっと言う音とともに、ゲーム内の中ボスクラス、人形(ひとがた)まで進化しているビスカスという名の魔物と、それに付き添う魔人が数体出てきた。


「我らが魔王。お迎えに上がりました。そちらのお付きの魔人と共に我らの用意した国に来ていただきたく……。」


「もう! 何人来ても魔物の国なんて行かないよ!! 魔王として君臨する事も、人族や獣人と闘うのも嫌だ!」


「……歴代の魔物、魔人において、あなた様程の魔力、知識を兼ね備えた者はおりません。是非とも我等と共にお越し下さい!!」


「嫌だって言ってるじゃん!! しつこいな!」


「………………」


あ、ヤバそう。魔物と魔人の表情が険しくなってますけど!?ノリアスはお構い無しで続ける。


「第一、魔王に何させたいの? さっきも言ったけど、この世界の征服とかだったら全く興味無いからね。」

「………………」


ノリアス……もう、その辺で……。余程溜まっていたのか、ノリアスの愚痴は止まらない。と、いきなり首もとを抱えられた。首が締まるので、抱え込んでいる手をタップする。

やっぱり外してくれない……


「!! オマエ達、タイラに何をする!!」


「従者に名を与えるとは……その寛大なお心で我等をお導き下さいませ!!」


ヤバイヤバイヤバイ! 意し、き……が……


落ちる寸前、ボンヤリとした中で繰り広げられたのは、ノリアスによる一方的な殺戮。魔物達は抵抗らしい抵抗も出来ずに倒れ、魔素に戻りノリアスの刀に吸収されていく。


俺を拘束していた魔人も倒されたらしく、ヒュッっと突然呼吸が楽になり、激しくむせた。


「タイラ! 大丈夫?? ごめんね……巻き込んで。」


むせながらも、今にも泣きそうなノリアスの頭をポンポンし、ちょっと待てとジェスチャーをする。


ヒューヒュー言いながらもなんとか咳を止めると、ノリアスが差し出した水を一気に飲む。フーっと息を吐き呼吸を整える。


「さっきのビスカスって魔物だよね? 結構強いと思うんだけど、怪我とかしてない?」


ノリアスが何故か驚いてこちらを見る。


「怒ってないの?」


「? なんか怒られるようなことしたの?」


「してない。けど、さっきの奴らは僕を狙ってて……タイラは巻き込まれて苦しい思いをしたでしょ?」


「それをいうなら、ノリアスだってアイツらの事情に巻き込まれて、魔王なんてもんを押しつけられそうになってるんだから、ノリアスが気に病むことなんて1つもないんだよ!」


「………ぅ、ぅ、ぅわあぁぁぁん」


エェッ! 泣いちゃった!?


「な、泣かないで!! どうしていいかわからない! ……よ、よーし、よしよし。」


抱きしめて頭をグリグリ撫でてみる。暫くはされるがままだったノリアスだが、


「……フフッ、慰めるの下手すぎでしょ。ってか、僕でも涙が出るんだ。初めて泣いた……何で泣いたんだろう……。」


「え? 俺のいい感じの話を聞いて感動したからじゃないの?」


「タイラ、なんかいいこと言ったの??」


さっきまで大泣きしてたとは思えない程の返答。やっぱりこの子に魔王なんて似合わない。そう思いながら暫く抱きしめていた。


寝る場所を探しながら旅を再開し、いい感じの場所を見つけて夜営する。と、風に乗って微かに声が聞こえる。よく見れば、風が吹いてくる方角がボンヤリ明るい。


「あっちの方、誰か居るのかな? 声が聞こえる気がするんだけど……」


「そうかもね。でも、僕はまだしも、タイラは見つかったら大騒ぎされそうだから姿を見せるときは注意しないと。」


「そうかぁ。じゃあ近づかないほうがいいかな……」


「…………そうかもね。」


この日はそのまま、二人とも寄り添うように木に寄りかかって寝た。


次の日は何故かノリアスが誘導するというので、黙って従う。

すると、人の声がうっすら聞こえる。驚いてノリアスに話しかける。


「声がするよ? ちょっと道代えようか?」


「いや、このまま行く。でも、ちょっと声のトーンを下げて!」


「了解。」


ノリアスの指示に従って歩く。が、ふと思う。


「魔物ってことはない? 大丈夫??」


コクコクと頷いて返事をくれた。


「あ、火が見えるってことは、人か獣人が居るって事だよね?」


「シーッッ!!」


「このボリュームでもダメなの!?」


ノリアスに付いて、慎重に近づいていく。つもりだったのだが、グゥゥゥゥと空気を読まない腹の虫が盛大に鳴る。


これ以上無いだろうと言う程冷たい視線を浴びるが、覗いた先の人達はこちらに気づいて居ないようだ。


嬉々としてノリアスに報告するも、ため息混じりに人の前に出ていった。かと思えば何故か、刀を足元に置いてそのまま後退りしている。どうやら敵意が無いことをアピールしているようだ。


真似をして両手を上げて出ていくと、どこかで見たことがあるカップル……誰だったか……?


2人は俺達に食事を出してくれた。が、ノリアスは魔素を摂取したので、あまり食事を必要としないらしい。僕の分も食べていいよ。とコッソリ言うのでありがたく頂いた。


子供の分まで食べるとは何事か!!


ノリアスの分を食べ終えた瞬間、その事に気づいた物凄く美人なお姉さんに正座させられ、説教を受けたのはそのすぐ後の話。

読んで頂き、ありがとうございました。

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