表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/266

76.5 バセット オマケ

今回のみ、バセット目線なのでオマケ扱いです。

文字数が、本編と同程度なので1話分として掲載させて頂きます。

脇腹の血が止まらない。何故、自分がここに居るのかも朧気にしか思い出せない。


同僚との呑み、奴隷の癖に! と怒りを露にするデブ、 蹲る髪の長い人、月夜に輝く水滴、嗤う猿、腹から生える短刀の柄。


目が覚めた時にフラッシュバックした光景。デブと髪の長い人はまだ分かるが、水滴と猿……なんだったかなぁー。


腹を押さえ、痛みを紛らわす為に考える。が、痛いので集中出来ない。仕方がないので、お情け程度に持っている神力を使い、腹の傷を無理やり着けて、体の血の巡りを整える。1日1回、これで少しの間動ける。


初日は長いこと使えたが、怪我と空腹と疲れからか、日々、使える時間が短くなる。


何処かの地下牢。と言っても、多分、身分が高い、訳ありの人を入れておく為の部屋だろう。窓は無いが、ベッドや家具は高級品、風呂やトイレ等も完備されている部屋に放り込まれていた。


部屋を調べれば、案の定、ベッドには寝たきりの男がいた。この男、何をしても起きないどころか、戌の印を持っていた。ならばここは戌族の牢か?


答えは、俺の倍はあるほどの巨体を小さくし、扉から入ってきたゴリラによって知らされた。


とっさに、身近にあったスツールの脚を無理やり折って構えたが、俺が用があるのは寝たきりの方だ。とつまらなさそうに注射器を取り出して、採血をしながら俺の質問に答えてくれた。


ここは奴隷の待機所。この部屋は奴隷を()()するための部屋らしい。全くもってヘドが出る!!


で、この寝てる戌族も奴隷として買われたそうだ。誰が連れてきたのかは教えて貰えなかった。一応、印持ちの人獣なのでちゃんとした部屋に寝かせているらしい。


あと、この場所は戌族の領内の端で、奴隷の確保の為しばらくはここを動かない、と教えられた。


「ありがとう、ゴリラ。」


「……オラウータンだ。」


……すまん。と言ったが聞こえたかどうか、さっさと出ていった。


それから何度かオラウータンの獣人は寝たきりの血を採取しに来た。その度に弱っていく俺を哀れんだ目で見るが、助ける気は無いらしい。


そろそろダメだな……と限界を感じた頃、女が1人連れてこられた。一応、スツールの脚を裂いたシーツで手に巻き付け威嚇しながら話を聞く。


が、なんだこの女、あれよあれよと俺をベッドに寝かせ、傷を治そうとしてる。治癒魔法など一部の適応者か、上級の魔法が使える者しか使えないと言うのに……それどころか、魔法を使うのに呪文がいるかどうかの初歩の初歩で躓いてるじゃないか?? 絶対治せないだろ……



◇◇◇◇


「私、すっごい食べるんです!!」


なんの宣言だ……。大声で叫ぶ女の声で意識が戻る。いつの間にか寝てしまったらしい。と、ここで腹の痛みが無いことに気づく。動いたことを悟られないように傷を確認すれば、呪いの効果で塞がらない筈の傷が綺麗に無くなっている。まさか、呪解した上に、治癒魔法を使ったのか? 首だけ動かして明るい場所にいる女を見る。


黒髪……目の色は分からないが、女の天創人など初めてみた。と、食事が運ばれてくる。途端に部屋がいい匂いで満たされた。


グウウと腹が盛大に鳴った。……恥ずかしい。何日も食べて居ないのだから仕方ないのだが、音、大きすぎだろう……。


意識が朦朧としていた時に名を聞いたそうだが、覚えていないのでお互い自己紹介から始める。天創人を疑い、酷いことをしたが特に怒ることもなく、飯も俺の為に大盛りにしてくれたらしい。……寛大な上に素晴らしい気遣い。ヤバイ、惚れそう……。


飯を食い終わったあたりで、男と、ゴリラといつものオラウータンが部屋に入ってきた。俺は怪我で動けないフリを続ける。


イチカの様子を見に来たのだろう。問題ないと分かると、寝たきりの血を採って帰る素振りをする。が、突然俺の話を始めた。


オラウータンが頭を踏みつけ、傷が治ったとバレないように隠していた血まみれのシーツを、無理やり取り上げられた。 それも使えるでしょう。 男はそう言って更に集めろと指示を出して部屋を出ていく。


あんなもの、何に使うのか……?


男達が出ていったあと、イチカと少し話をした。どうもイチカは帝国以外の国から来たらしい。治癒魔法も使えるし、凄く可愛い容姿からしてエルフなのかも知れない。髪と目の色で迫害されて魔法の使い方を教えて貰えなかったとか……? と、見つめていたら、イチカの目がショボショボし始めた。


ベッドは使えないので、ソファーに寝るように促す。と、俺の寝る場所が無いことを気にしたのか、とろんとした目で見上げ、コテンと首をかしげながら


「バセットさんは?」


と、きたもんだ。あー、なんだこの可愛いの。初めて見たわ。エルフって皆こうなの?? ちょっとした兵器や攻撃魔法より破壊力抜群でしょ……。


抱きしめたい衝動と闘いながらソファーにエスコートする。ありがと。と眠気を堪えて微笑みながらのお礼を目にした途端、思考と体の動きが停止した。ただただイチカの可愛い寝顔を見つめる。一瞬なのか、長い時間なのか分からないが、ンッ、とイチカが声を出して寝返りをうつまでフリーズしていた。


3人が不自然にフリーズしたのもきっとこのせいだろう。が、見つめていられるなら悪くない。

そう思いながら、ベッドに凭れて眠りについた。

読んで頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ