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69. I 魔法取得?

麻袋のまま、お姫様抱っこされてる。多分ゴリラかマンドリルの獣人が運んでるんだろうけど、抱っこされたまま随分と長いこと移動している。重くないのだろうか??


どのくらい移動したのか、ボソボソと話声が聞こえてきた。


「『嗅ぎ分け』と『透視』のスキル防止を施した特別室に空きはありません。」


「ここは2部屋あっただろ? 両方使ってるのか??」


「ハイ。愛玩用には戌が。堅牢の方には魔物が入っております。」


「……ならば、愛玩用に入れておけ。」


「よろしいのですか? 戌は2人共に雄ですが……」


「……1人は寝たきり、1人は瀕死だろ? 構わん。」


「畏まりました。」


ガチャガチャと鍵が開く音と、ギィっと扉が開く音。そこで私はお姫様抱っこから解放され、地面に降ろされた。


頭の上の縛り口がシュルシュルと解かれていく。被されていた麻袋が、足元にストンと落ちる。目の前にはパンパンなスーツを纏ったゴリラの胸板があった。


先程の声はゴリラだったのか……結構流暢に喋るのね、なんて思っていたら


「他の商品が揃うまではここで待機だ。同室の者もいるが手を出すなよ。」


ゴリラは私の猿轡と両手を外すと、言うだけ言ってさっさと出ていってしまった。手を出すなとはどういう事か? 襲うなよって事?? ゴリラには私はどう映って居るのだろう……??


愛玩用の部屋と言っていたか? 猫さん達に捕まっていた時よりも広く、家具なども置いてある。窓もないようで、奥の方は影になっている。キョロキョロしていると、奥にある椅子? の下で何かがモゾモゾと動いた気配がする。反射的にバッ!! っと勢い良く振り向き、入ってきたはずの扉に背をつける。もしや、Gでは!? ……超ムリ! ムリムリ!! と薄目で動くモノを見る。


Gではなく人……だった。床で寝ていたようで、更に奥にあるベットに手を掛けて起き上がったところだった。寝相ワル……!


「ダ……レダ……。」


「い、一華 影野と申します。」


起き上がった人は、ハッハッと短い息を繰り返しながら立ち上がって影になっている部分から出てきた。


よくよく見ると、脇腹から血を流し、しかめっ面をした男の人が、片手で腹を押さえ、もう片方の手に椅子の脚を折った様な木材を巻き付けこちらに向けている。


「オマエ……も、捕まった、の……か?」


「そうです、そうです。ちょ、怪我してるじゃないですか! 何もしないですから座って!! いや、ベットがあるんだからそこに横になって!!」


「大丈夫だ。……これくらいなら暫くすればなお「らないですから!! ほら、寝る!!」…………」


遠慮無くグイグイと近づくと怪我人をベットに押さえつけて座らせた。と、ベットに先客がいた。胸が微かに上下しているので寝ているようだ。


「……ビックリした。ちょっと、お兄さん! この人怪我してるから替わってあげて?」


揺すってみたが反応がない。そういえば、この部屋には『寝たきり』と『瀕死』が居るって言ってたっけ。じゃあこの怪我人が瀕死?


私はベットの反対側に回ると、寝たきりのお兄さんと布団の間に腕をっこんで引っ張ってずらしてみる。


「お前、ナ……ニを!!」


怪我人が何故か怒っているようだが気にしない。男2人では少し窮屈だが、寝られないことはないのだ。私は怪我人の横に戻ると肩をグイグイと押して布団に寝かせた。脇腹が痛いだろうに無駄に抵抗したお陰で自分で押さえている腕も血まみれだ。


「服、めくりますからね!」


怪我人が何か言いかけたが気づかぬフリをしてめくりあげる。……までは良かったが、この後どうすればいいか分からない。


取りあえず止血しなければと、布を探して近くのタンスを開けてみる。


……大人のオモチャが入ってました。


慌てて閉めてから、下の引き出しを開けると、シーツの替えだろうか。白の大きな布が出てきた。このままでは使いづらいので、鋏かナイフ的な物を探すが見つからない。どうしようと見回して、怪我人が手に巻き付けた木材に目が行った。


「これ、外すね!!」


と、問答無用で巻き付けた布をほどき、折れてささくれだっている木材を布に突き刺す。穴が空いたところに指を突っ込んでビリビリと破ってみた。大分歪だが使えるだろう。


奥にリベル達の宿で見たようなユニットバスがあり、布を濡らして傷の周りの血を拭き取る。刺し傷?? なのか縦に一本線が入ってそこからじわじわと血が出てくる。一番大きく残した布を折って傷口を押さえる。


「この後、どうするんだろう?? 外にいる人に言えば薬くれるかな……。いや、無理か。ここ、奴隷商の中だった……。あー、どうせなら治す魔法とか使えれば良かったのに。」


ぶつぶつと無意識に一人言を呟いていたようだ。


「治癒の……魔法はそうそう使えるやつはいない……。」


「ちゆ? あ、治癒、治すのね。治す魔法はあるにはあるのね?」


「……あぁ、だが……だいぶ特殊でな、ハッ……ハッ……北の王族と辰、あと……はエルフ族が使える位だ。」


痛みを紛らわす為か、しかめっ面をしつつも答えてくれる。


「やっぱり魔法の呪文とかあるの? ホイサ? とか、ヒール? だっけ??……」


ブワっと手元の布が光った。と、短い息を繰り返していた怪我人の首がガクッと布団に沈み、スースーとリズムがが整った寝息が聞こえた。


び……………びっくりした……。でも、もしかして、もしかする?? と、そっと布をどかしてみる。…………やっぱり。傷が無くなっている。血の痕から推測される、傷があったであろう場所を触ってみるも傷跡すら残ってない。


バリーさんは魔法は使えないって言ってなかったか? いや、 取得がない……だったかな?? ってことは、呪文みたいなものを覚えれば使えるのか??


ちょっと楽しくなってきた。 火が出たり氷を作ったり出来るかも! と、寝てしまった男の人を尻目に兄がやっていたゲームを必死に思いだした。

読んで頂き、ありがとうございました。

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