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65. T の仮眠

居酒屋を出で、歩いて20分程度の会社に戻る。途中、コンビニに寄り、飲み物や、摘まみだけでは膨らまなかった腹を満たすための夜食等を買って行く。


「そういえば、イチカさんが現実逃避した嫌なことって何なんです?」


何気なく聞いてみたのだが、カズヤさんの方からヒヤッと冷気が漂った気がする。


「!! べ、別に無理に話す必要は無いんですけどね……」


「……いや…………知っておいて貰った方がいいと思います。イチカが現実逃避したのは多分、幼馴染みの恋人が別の女性とデキ婚したからですね。」


「え?」


「倒れた日は、そいつの結婚式と二次会の帰りだったんです。」


「うわぁ……って、あれ? 家族全員招待されたってお聞きしたような……??」


「ええ、新郎の家と我々の家が隣どうしでして、私と新郎が同じ年、親同士も年が近かったため家族ぐるみで付き合って来たんですよ。」


「はあー、それで、全員招待されたんですか……」


「はい、そして、両親は新郎と一華が付き合っていたことは知りません。一華は幼馴染みの事を、もう一人の兄と慕っている!行きたくないと駄々を捏ねるのは、兄を取られる事から来る可愛いワガママ!! と脳内花畑な両親は、欠席を許しませんでした。」


「あぁ、知らなかったのなら出なさいって言うでしょうね。でも、イチカさんからしたら、そんな相手の結婚式は出たくは無かったでしょうね。」


あれ? でも、カズヤさんは知ってた?? と、ちろっとカズヤさんを伺えば、物凄く冷ややかに嗤って


「うん、知ってたら出席しろなんて言わないでしょうね……」


え、じゃあなんで??


「えっと……、カズヤさんが止めてあげなかったんですか??」


「止めませんよ。僕に隠れて付き合うだなんて、許せませんからね。アイツも、まさか一華に手を出すとは思いませんでした。……まあ、不幸にしたい訳じゃ無いですからね。一華に似た女をあてがってやったんだから、せいぜいその女と幸せになればいいんですよ。」


「………………んん?」


()()()()()()()()って言った?? どういうこと??

もしかして、カズヤさんは重度のシスコンでいらっしゃる??

……うん、見た目王子の闇? 病み?? を垣間見た気がする……。


病院での様子を思い出す……手を握り、寝顔を見つめながら頭を撫でる……うん、たしか()()()()()に見つめてた。………………あぁ、これ以上は聞かない方がいい気がする。よし、話題を変えよう。


「カ、カズヤさんは普段からゲームはやったりする方ですか?」


露骨ですみません。話題を変えるって、俺には難易度が高くて直球になりました……。

カズヤさんは俺を見るとニッコリ笑って、


「子供の頃、って言っても中学生あたり迄でしょうか……好きでやってましたよ。最近はめっきりですけど……」


「そうなんですね……」


「乙女ゲーム? は初めてなんで色々教えて下さいね。」


「アハハ……確かに。私も個人じゃ手を出さないジャンルですからねー」


話にノッてくれてありがとう! 話題を変えたことで、変な緊張感も無くなり、雑談していたら会社に着いた。カズヤさんは来客扱いとし、取りあえずハルさんが来るのを待つ。


しばらくすると、ハルさんが笑顔で出勤してきた。挨拶と、お互い自己紹介を済ませ、早速会議室に入る。どうやらプロデューサーにも声をかけたらしく後から来るようだ。


「早速で申し訳ないのですが、今までのデータ、見られるだけでいいので見せていただいても良いですか?」


「あぁ、そうですね。その方が分かって頂けるかと思います。」


カズヤさんをモニターの前に座らせ、ハルさんと俺が後ろに座って所々解説をしながら今までを振りかえる。


途中、プロデューサーも合流し4人でワイワイと見ていたのだが、お酒と寝不足のせいで結構ヤバイ。眠い……。


ちょっとデータを見終わるまで寝かして貰います。と3人から少し離れて会議室の机に突っ伏して仮眠をとる。


やっぱりプロデューサー同様、俺も年なんだろうか……。25才位までは3徹位は……へい…………き……ZZZ。



◇◇◇◇


「キィィィィィィィィーーーーーー!!」


黒板を引っ掻いた様な不快な音。3人で何をしてるんだ……。と目を開ければ、目の前に人の顔。目を見開き、俺の顔をまじまじと覗き込んでる。ちょっ! 近い近い!! と、突然サラサラと風に乗って端から砂のように崩れて飛んで行く。


「あれ? 人族じゃ無かった??」


声のする方を見れば、体より随分長い抜き身の刀を持った超絶可愛い男の子。


「お前も魔人??」


刀を両手て持ち、目一杯体を伸ばしている。その体制! ガッツリ突き刺すつもりですよね!?


「チガイマース!!」


何故か片言で否定した言葉と、耳元でザクッって刀が地面に突き刺さる音が同時でした。


「あぶ、あぶ、あぶなーい!! ダメ! 子供が刃物持っちゃ絶対ダメでしょう?? しかも、人に向けるなんてしちゃいけないの!! ママは? お母さんは何処? 君も怪我したらどうするの??」


男の子はポカーンと口を開けたまま俺を見下ろしている。

……あれ? この子誰? ってか、明るいけど寝すぎた!?


耳元の刀からそっと顔を離してから、体を起こしてみる。男の子は、丁度俺の座高と同じくらいの身長。思ったより小さい……いや、それよりもここはどこ?会議室の机で仮眠をとってた筈ですが??


「えっと……お母さんか、お父さんは居ないかな?」


子供はフルフルと首を振る。


「君1人? お家近い??」


子供は首を振り続けている。聞いて分かるかな? と思いつつ質問してみる。


「ここは何処かはわかる?」


「……たぶん、北の国の森の中。」


「き、北の国??」


「うん。北の国、ノースキー王国の森の中だと思う。」


おや? おやおやおやおや????

どうやら、俺はまだ夢の中のようだ………。

読んで頂き、ありがとうございました。

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