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61. F の送迎

東の国の城を出て、卯の印持ちの騎士団、第3隊副隊長のホードル様に監視されながら馬車で国境に向かう。


徒歩ではやたらとかかった森の中の道のりも、整備された街道を馬車で進めばあっという間だった。


「国境で北の者と交代致します。お二方ともお気をつけてお戻り下さい。」


茶会や夜会で何度か会っているが、相変わらずお堅い。


「ホードル様もお気をつけて。ご迷惑をおかけしました。」


リベルが返事をするのに合わせて、俺も目礼をする。


そのまま無言で馬車は進み、国境で我々は引き渡された。驚いた事に、引き取りには兵士を率いた第3王子が来ており、ホードル様と入れ替わりに馬車に乗り込んできた。


「久し振りだな! 聞いたぞ、操られて大暴れしたんだって?」


オモチャを貰った子供のように目を輝かせて聞いてくる。12歳年の離れたこの王子には、子供の頃から何かと世話になっている。

リベルと顔を合わせ、どう答えるか意志疎通を試みる。……やはり無理なものは無理だと悟った瞬間だった。


「大暴れと言うほどでは無いですよ。我々を拘束しに来た兵士と王子を少し投げ飛ばしたりエルボーを喰らわせたりしただけです。」


王子は驚いた顔をしたあと、大笑いして怖い怖い。と呟く。そこから真面目な顔をすると、これから先の話を始めた。


どうやら、北の国でも我々は操られていたとしてお咎めなし。公爵家も管理体制と警備の強化を指摘されただけで済んだらしい。と、言うのも、もう一つの公爵家であるカピクールのバリー殿が、イチカのよく分からないスキルを言い訳に使い、操られていたなら致し方ない。と言う方向で話をまとめてしまったらしい。


しかし、その話で女好きと言う噂の第2王子の興味が削がれたものの、第4王子の興味は増すばかりで必ずつかまえると張り切っているらしい。


「イチカは……「フィル!!」」


話そうとするとリベルに止められた。


「オイオイ、リベル。そんなに警戒するな……。昔はお兄ちゃん、お兄ちゃんと付いて回って宰相殿に怒られる程懐いてた癖に。」


「……その節は失礼致しました。」


それだけ言うとプイッと横を向く。全く、ドラトゥスト王子の時と言い、この姉は男に対して潔癖過ぎる……。


皇族と王族、それと我々人獣は重婚を認められている。この第3王子ことリルク様も2人のお妃が居る。それが気に入らないようだ。

リルク様は 哀しいねぇ と笑って言い、俺に目を向ける。リベルには悪いが、リルク様には全て話させて貰う。と城までの道中、イチカが現れてからの行動、マリアが受けたという神託などを全て話した。


「ヒルダ神とヨルダン神、それに別世界のプロデューサー神? え? イチカは何者なの? ってか、神託ってそんなに頻繁に受けるもの!?」


「そうそう受けるものではないという印象でしたが、寝る前に聞こえるそうですよ。」


「寝惚けてるか、夢の話とかじゃなく?」


「勇者様の言うことですからね。そこは信じられると思いますが……」


うーん、と悩むリルク様に


「我々にお咎めが無いのなら、またイチカの許に戻り、彼女がプロデューサー神の許に戻れる様に尽力したいのですが……」


「私もです!!」


あー、とか うー、等と王子は悩んで居たが、


「そうだな。わかった……。俺からも陛下に進言しよう。」


「「ありがとうございます!!」」


「但し、操られていたから咎めがない訳だから、そこはバレないように。バリー辺りと話を詰めて口裏を合わせた方が良いだろうな。」


「…………リルク様。お願いが……」

「分かってる。俺がバリーに伝えておくよ。だからお前達は安心して陛下と宰相殿にお叱りを受けてこい。」


リルク様はニヤニヤと笑いながらいう。

そんな話をしているうちに、城下に入り城門をくぐる。謁見の間に通され、ドラトゥスト王子やアモイ達と口裏を合わせたストーリーを話す。


案の定、東の国からの正式な報告書と同じ内容なので疑われずに済んだ。ここから、今度はイチカの許に戻る為の交渉をしなければならない。と、謁見の間の扉をノックする音が聞こえる。リルク様とバリー殿だった。


我々の願いに対し、バリー殿の捕捉、それとリルク様の援護によりイチカを追う許可を貰った。


その後、バリー殿の執務室で話をする。オヤジ殿もバリー殿から報告を受けて居るようで怪我には気を付けろ。とだけ言うと仕事に戻って行った。


改めて、バリー殿に向き直りイチカの様子を聞く。と、


「見失った。」


「はいぃ?」


聞かされた一言が衝撃過ぎて、思わず襟首を掴む。リベルに窘められ、話を聞く。と、どうやら東の国の国秘が絡んでいるらしい。しかも、どちらかといえば、ダンがやらかした事が直接の原因ならばバリー殿を責めるのはお門違いと言うものだ。


申し訳ないと謝り、どうするのかと聞けば、見つかり次第フレミッシュ公爵に保護して貰える手筈らしい。


慈悲深いと言われるフレミッシュ公爵ならば、悪いようにはしないだろう。またイチカの許で、と約束を交わし、我々は城下にある宿に戻った。


数日ぶりだが何だかひどく懐かしい。仕事は公爵家から来ている者達がやってくれているので、リベルと二人、ゆっくり休まさせて貰うことにした。

読んで頂き、ありがとうございました。

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